考えごと

散策をしている時、私は単に歩いていることはとても少なくて大抵の場合は何かしらの考えをパンの生地のように捏ねまわしている。なのに何かが目に入ると考えはそこで一時停止して、観察なり何なりが終わるとまたスイッチが入ったように先程の考えごとが始まる。散策は私にとって掛替えのない考え事の時間でもある。仕事している時や気の知れた人達とお喋りしている時、映画を見ている時や食事中は考え事などしている暇がないからだ。それで考えごとだけれど、大そうなことを考えている時もあれば、私にとっては大事なことも他人にしてみれば呆れる程どうでもよいことを考えている時もある。先日私が考え込んでいたので相棒が何を考えているのかと恐る恐る訊いた。多分私は真剣な顔で考え込んでいたのだろう。ところが私が考えていたことといったら、トリゥフ入りペコリーノチーズのことだった。前々から気になっていたトリゥフ入りペコリーノチーズを購入したら思っていた以上に美味しくて毎晩赤ワインと一緒に頂いた。美味しいチーズと赤ワイン、何だか嬉しいねえ。そんなことを毎晩のように言いながら。そうしているうちにチーズを食べ終えてしまった。あれからそのチーズを購入した店や他の何軒かの店で探してみたが見つからない。あのチーズがあるだけで赤ワインが美味しく、赤ワインとあのチーズがあるだけで夕食がぱっと華やいだものになったから、それは私にとって既に無くてはならないもののひとつになっていた。ああ、何処で手に入るのだろう。と、そんなことであった。相棒は驚きと困惑と、それから呆れた表情だったけど、私にしてみたら結構大切なことであった。ところで数日前はとても真面目なことを考えていた。そしてあれこれ考えているうちにふと頭に浮かんだ言葉。もう少し大人にならなくてはいけない。これに気がついたのは私にとって大変な幸運であった。こういうことは自分で気がつくのが良い。何故なら他人にそう言われたら、いや、他人でなくても母親や姉、相棒に言われたとしてもあまり楽しくない言葉だからである。さて、もう少し大人にならなくてはいけない、というのは簡単そうで難しい。何しろ自分では既に立派な大人だと思っていたからである。でも大人になるって年齢や外見とは関係がないようだ。その証拠に私には確かに子供じみたところが幾つもあって、時々自分でもやれやれと手を焼くことがあるのである。成長してみようか。通り掛ったカフェ。誰もいないポルティコの下に並ぶテーブル席。ガラスに張り付いて店の中を覗き込むとアル・パチーノの写真パネルが幾つも壁に掲げられていた。店に入るでもなくそんな風にガラスに眺めながら店内を眺めながら、うん、そろそろ成長しよう、と呟いた。

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コメント

No title

よく一点を見つめてボンヤリしてしまう事がありますが、
その時一緒にいる友人などからは
「ねえ、何を考えてるの?」 とすこぶる真剣に聞かれる事が
多々あります。^^ 
yspringmindさんと同じく、あれこれ考えていたり、あるいは
何も考えていなかったり。 それでいて大切な時間だったりします。

「ねえ、何を考えてるの?」
そういえば子供の頃からよくそう聞かれていたかも。。

2011/01/25 (Tue) 00:28 | ミー太郎 #79D/WHSg | URL | 編集
No title

ミー太郎さん、こんにちは。考えるって無意識にするものなんですね。それから、考えるっていうことはとても大切なことでもあると思うのですよ。もっともそれも度が過ぎると変な方向に行ってしまうのかもしれませんが、自分の体の中で分解して自分なりに理解したり納得すって良いことだとも思います。そういえば私も子供の頃から考え事を沢山したほうかもしれません。大抵の場合は空想の類でしたけれど。子供の頃からの習慣が今も続いているのは、考え事くらいかもしれません。

2011/01/26 (Wed) 22:25 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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