きらきら光る

ポルティコの下を歩いている時に見つけた。大きなガラス張りの向こう側に並べられたガラスの器。その中にふんだんに盛られた菓子。グラニュー糖の衣を着せられたゼリー菓子が私は大好き。と言っても子供の頃から好きだった訳ではない。この手の菓子とは縁がなかった、ボローニャに暮し始めるまで。あれは春だったかもしれない。多分復活祭の前後の俄かに暖かくなってきた頃だったと思う。相棒の両親の家で何をしていたのだろうか、私は相棒の家族と一緒にテーブルに着いていた。と、姑が戸棚からごそごそと出してきたもの、それがこのゼリー菓子だった。昔から甘いものに目がない私は、このきらきらと光る美味しそうな菓子をひとつ摘まんで口に放り込んだ。果汁の美味さが口いっぱいに広がることを期待しながら。ところが思いがけず頭痛を引き起こすような甘さで、飲み下した後に大きなコップ一杯の水を飲み干さなくてはならなかった。それはグラニュー糖のせいばかりではなくてゼリーも負けずに甘かったからだ。あのひと粒で私はゼリー菓子がきらいになり、もう二度と食べないから、と心に誓った。だから他所の家でそれを出してもらっても手を出すことはなかったし、ましてや家にそれを買って帰ることなどは一度もなかった。ある日。それは本当にある日、知人が小さな透明の袋に詰めたゼリー菓子を私の為にと言って買ってきてくれた。知人は、私がそれを苦手とは知らなかったのだ。そんな知人は菓子店の店先に並んでいたゼリー菓子がとても奇麗だったからと、自分の分と私の分を購入したのだそうだ。確かに奇麗だった。きらきら光る少女の夢のようなゼリー菓子。知人がそれをひとつ摘まんで口に放り込み、舌の上で転がしながら、うーん、と感嘆の声を上げた。それで私もつられてひとつ口の中に放り込んでみたら、まあ、なんて美味しい。果汁の酸味とグラニュー糖が交差して、あの日私が期待していた味に近いような気がした。不思議である。いつの間にか、私はこんな甘い菓子も頂けるようになってしまった。兎に角、あのひと粒から私はゼリー菓子が大好きになり、菓子店の前に並んでいるのを見かけると、あの日、知人がそうしたように小さな透明の袋に幾つかゼリー菓子を詰めて貰うのだ。時には鞄に潜ませて、ちょっと疲れた時にひと粒口に含ませる。酸味と甘さが交差して一瞬夢心地になる。それがゼリー菓子の魅力。

人気ブログランキングへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する