動物好き

子供の頃から動物が好きだった。7歳位の頃、私達家族は鳥篭に何羽もの十姉妹を飼っていて、毎朝菜っ葉を鳥篭の中に入れたり水を取り替えたり、少なくなった乾燥した小さな種のような餌を入れ物の中に足した。それが私の仕事だったし、私はそんな仕事が大好きだった。私には幾つかの仕事を両親に与えられていて、例えば夕食の後の食器を片付ける手伝いや、朝は布団を畳むこと、それから時々夕方になると近所の豆腐屋へも買い物に行ったし、母の帰りが遅くなる時は庭に出したままの乾いた洗濯物を取り込んだりもした。思うに、私も姉も色んな小さな仕事を言いつけられていたが、案外好んでしていたようだ。そういうことで両親が喜び、家に帰ってきた両親が自分たちと一緒に過ごす時間が増えるだろうと思って。昔は子供だけで留守番するなんてことは当たり前だった。長閑でいい時代だったからだ。母は結婚して主婦業についていたが、ある日突然外に仕事を得た。私が7歳の時だった。母は仕事をするという行為が好きらしかったから、疲れて帰ってきても嬉しそうだった。私と姉は外で働いている両親を思って何か手伝いたいと思っていたのだ。兎に角、色んな小さな仕事の中で小鳥達の世話をするのが特別好きだった。朝、小学校へ行く前の忙しい時間に母から新鮮な菜っ葉を貰って鳥篭に入れた時の小鳥達の嬉しそうなことと言ったら! 古い水を捨てて奇麗な冷たい水に取り替えると私の手がまだ鳥篭の中に入っているというのに楽しそうに行水を始める小鳥達の可愛いことと言ったら! 私達は本当に上手くいっていた。友達や姉妹のような関係。そんな感じだったのだ。あれは何時だっただろうか、両親が家に居る日の午後、私と姉は鳥篭の掃除をしていた。一瞬だった。小鳥達が籠の外に居ると分かった瞬間、彼らは庭に木の枝を目掛けて飛んだのだ。あっ、と私達が大きな声を上げると両親が庭に出てきた。でも何も出来なかった。小鳥達は更に高い樹のてっぺんへと飛んでいって、そのうちパタパタと庭の外へと飛んでいった。鳥篭で飼われている鳥はそんなに遠くまで飛べない筈だ、と隣の家のおじさんが言ったので皆で手分けして探したけれど、ついに見つけることが出来なかった。近所の小さな森に行ったのかもしれなかった。小鳥達は未知の世界を見たかったのかもしれない。暫く私は小鳥が飛んでいってしまったことを悲しんで家族をとても困らせた。どんな風にしてまた元気を取り戻したのか、どんなに考えても思い出せない。何か美味しいものでも食べたか、何処かへ連れて行ってもらって散々楽しんだか、多分そんなところだろう。
私が動物好きであることを、動物は直感的に分かるらしい。町を歩いていると動物達が通りすがりに振り向く。やあ、こんにちは、とでも言うように。

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コメント

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yspringmindさん、こんばんは。
yspringmindの幼い頃の思い出を回想した文面を読んでいると、昔を懐かしむ気持ちがじんわりと心に沁みて、いつも何だか穏やかで温かい気分になれます♪
私は子供の頃、両親に動物を飼いたいと言っても反対され動物は飼わせてもらえませんでしたが・・ちょっとしたお手伝いはよくしました。よく覚えているのは、近所にある小さな小売のヤマザキパンのお店へ、食パンを一斤買いに行く事でした・・昔は店のおばさんに“一斤を6枚切りにしてください”なんて言って、長い食パンをその場でカットしてもらって買っていましたが、それが楽しくて・・今ではスーパーで一斤づつ既に袋詰めされている物を買うだけで、そんな昔のあった小さなパン屋さんは今では見かけなくなりました・・・思えばそんなお手伝いが、とても懐かしく思います。
そんな風に時折、昔を懐かしく思うのって、何だかいいですよね。。

2010/10/02 (Sat) 19:23 | ca_fior #79D/WHSg | URL | 編集
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我が家も数年前まで十姉妹を飼っていました。
鳥かごに新鮮な菜っ葉を入れたときの彼らの喜びのchitt!
chi-chitt!!の声がオクターブ上がって巣からこぞって出てくるさま。そう!水浴び用の楕円の陶器になみなみと綺麗な水をこぼさないように入れていると はたからめがけてくる様子。
文章を読んでいて すっかり忘れていた彼らの可憐なしぐさが蘇ってきました。
ある日、勝手に鳥かごさげて帰ってきた相棒。世話は結局私!と不満言いつつ、気がつくとあの可憐さ、喜びのさえずりにいそいそと世話してました。
2羽の夫婦は子育て上手だったので何羽か忘れるくらい繁殖して、当時小学生だった子供たちが成人するまで。
「やっと」鳥の世話やわが子の世話から開放されて数年たちました。

2010/10/03 (Sun) 02:19 | pianyzza #79D/WHSg | URL | 編集
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2010/10/03 (Sun) 09:02 | # | | 編集
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ca_fior さん、こんばんは。昔話にお付き合いいただき有難うございます。家族と共に暮していたころはそんなことを考えるでもなく当たり前にすら思っていたのですが、家族から遠く離れて暮らすようになり、また父が戻らぬ人となってからは何か手の届かない宝物のような気がしてなりません。昔には戻れない、だからせめて忘れないでいたい。そんな感じです。
食パンを買いに行くお使い、私もしました。豆腐屋の斜め前が山崎パン屋さんだったんですよ。そうそう、長い食パンを店の人がスライスしてくれるんですよね。昔のあんな作業は今は非合理的なのかもしれませんが、合理化ばかりが進んでいることを少し寂しく感じます。多分、私達の子供時代は良い時代だったんだと思います。

2010/10/03 (Sun) 22:23 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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pianuzza さん、こんにちは。最近は十姉妹ってあまり見かけないのですが、気のせいでしょうか。私の子供の頃は小鳥といえばカナリヤか手乗りインコ、または十姉妹がスタンダードだったんですけど。現代はもっと華やかな小鳥が人気なのかもしれませんね。
兎に角可愛かったんです。喜びの表現がストレートで、私はこの小さな小鳥達を本当の友達や小さな弟や妹のように思っていました。
しかし繁殖しましたね。”何羽か忘れるくらい繁殖して、当時小学生だった子供たちが成人するまで” とは。
久し振りに十姉妹のことを思い出して書いているうちに心がほっとしました。十姉妹の可憐さを共有できて本当に嬉しかったです。有難うございます。これからもお付き合いお願いします。

2010/10/03 (Sun) 22:34 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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