窓の外

窓の外を眺めるのが好きだった。子供の頃、私は元気そうに見えながら少し病弱だった。色黒の私は、例えば熱があっても元気そうに見えたし、気分が悪くて貧血を起こす寸前でも顔が青ざめて見えることが無かったから、周囲の人がそれに気がつくことは無く、そして無理をする性格だったらしい私は自らそれを訴えることも無く、だから突然ばたりと倒れて皆を驚かした。すると私は数日家の中に閉じこもることになり、元気になったと自分が思っても大人たちが外に出ることを許さなかった。まだまだ。もう少し、などと言って。私が窓の外を眺めるが好きになったのはそんなことからだったのだろう。初夏の明るい夕方に、学校から帰った子供達の声が網戸の向うから聞えてくるのを耳にすると居ても立っても居られなかった。子供達がボール遊びをする様子や、飼い犬と戯れる仲良しのあの子の姿を窓からそっと眺めながら、ちょっぴり寂しい気分になった。ある日、夕方も遅くなると風が吹き始めて、原っぱの草木がさわさわと音を立てて揺れるのを窓から初めて見た。それは外国映画で見た様子に良く似ていて、子供ながら何かはっとするものがあった。窓から眺めるといつもの風景がこんなに違うのか、と。子供のときの癖や好きだったことは、大人になっても変わることは無いようだ。窓から外の街路樹を眺め、窓から道行く人たちの楽しそうな様子を眺める。でも寂しいわけではない。窓から幾つもの違う人生のひとこまを眺めているだけだ、映画館の片隅に座って初めての映画を眺めるように。

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コメント

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yspringmindさん、こんにちは。
子供の頃(若い頃)の反動、と言って良いのか分からないのですが、それについて考えさせられました。私の故郷は田舎で、小さい頃はそれはもう、夏休みは一日中遊びまわるような子供でした。真っ黒日焼けは言うまでもありません。プール、蝉取り、、。学生時代も部活に所属し、毎日夏は朝からプールです。就職し大人になってからの夏というのは、昼食後は動くのが億劫なのです。時間が勿体無いかな、とは思います。今しか出来ないこともありますし。ですから、昼寝が苦手というyspringmindさんが羨ましいですよ。
カブトムシのように朝は6時前に起きてごそごそし出すのですが、活動は午前中。午後は1時間は昼寝してしまいます。早起きは三文の徳といいますが、必ずしもそうでは無いかもなーと思っています。時間をずらしたほうが良いのでしょうか。

2010/07/26 (Mon) 11:13 | TSUBOI #79D/WHSg | URL | 編集
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TSUBOI さん、こんにちは。子供の頃は夏休みは一日中遊びまわって真っ黒の日焼けのTSUBOI さんを想像してみました。私も真っ黒でしたがそれは日焼けだけでなく、生まれつき色が黒かったのですよ。だからちょっと遊ぶと直ぐに真っ黒。だから顔色が悪くても全然それらしく見えない。そのくらい黒かったんですよ。多分TSUBOI さんよりもずっと! ところで早起きはやっぱり三文の徳だと思います。私は仕事の日こそ早く起きますが、週末はこれ以上は寝られない、というくらい寝ます。もっとも最近は暑くて寝ても居られませんでしたが、冬などは寝坊したがために週末を充分楽しめなかった、何てことが良くありました。今年の冬は気持ちを入れ替えてはやおきのしゅうかんにきりかえてみよう、と思っているところなんですよ。

2010/07/27 (Tue) 20:44 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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