Via de’Toschi 界隈

ボローニャ旧市街の古い町並みは、私が此処に暮らし始めた頃からあまり変わらない。古いお屋敷や崩れ落ちてきそうだったポルティコの天井が修復されたりすることはあっても、基本的なところは今も昔も同じ。そんな気がする。多分ボローニャの人達はそれをとても誇りに思っているに違いない。そういう私も実はそんな人のひとりだ。修復されること無くいつまでも古いまま、朽ちたままのものもある。町の中心にあるPiazza Maggiore に程近いVia de’Toschi 界隈もそんな場所のひとつだ。この道は面白い。名の知れたブランドの店や高級食器店が点在する。最近その食器店が無くなってしまったが、此処を歩く時は必ず歩調を緩めて、美しい食器やグラスを眺めた。それらはちょっと手の出ない価格だったから、そんな風に見るだけしか出来なかったのだ。その少し手前の変わった造りの建物の中には趣味のよい眼鏡屋さんがあった。しかしそれもまた私を置き去りにして何処かに消えてしまった。場所は決して悪くない。その証拠にその直ぐ後にこれまた趣味の良い店がオープンした。それからこの道のずっと先左手には私好みの鞄を置くセレクトショップらしきものがあり、この古い通りに思い切り高級な風を吹かせている。そうだ、私はいつだってショーウィンドウを眺めるだけ。中に入ったことすらない。それがまた私らしくて我ながら笑ってしまう。そんな中に殆ど手付かずの古い建物がある。その様子は町にぽっかりと穴が開いたような不思議な印象があって、此処を初めて歩く人は大抵足を止める。ミラノのように都会ではない。フィレンツェのようにルネサンスの匂いが漂う町でもない。ヴェネツィアのように幻想的でもなければ、古代ローマの遺跡が町中に存在するローマとも違う。文化的だがちょっと野暮ったい、それが私の持つボローニャの印象。頑固で昔からの物事を変えたくない、それがボローニャ。それでいい。いつまでもそんなボローニャであって欲しい。この界隈を歩く時、私はいつもそんなことを考える。

人気ブログランキングへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する