クロアチアへの想い

土曜日恒例の遅起きをしてテラスに出ると、近所の家族や若い夫婦が車に沢山の荷物を詰め込んでいる様子が目に入った。どうやら休暇に出かけるらしい。6月だもの、そんな人達がいたって少しも可笑しくない。察するに、あの若い夫婦は海に行くようだ、と思ったところで大きな声で道順について討論しているのが聞えてきて、彼らの行き先がクロアチアの海と分かった途端、クロアチアの海が恋しくなった。もう5年も前のことになってしまった、私と相棒が友人達とつるんでクロアチアへ行ったのは。あの夏は雨が多くて肌寒くて参ったけれど澄んだアドリア海が私達を魅了して、本気で其処に小さなアパートメントを購入しようと考えた。そうすれば好きなときに車を飛ばしてこの美しい海の町に戻ってこれると思ったから。それから美味しい海の幸。二度通った小さな食堂で二度頂いたイカとじゃがもの料理。友人はこの町の出身でこの店のことを良く知っていたから、何か美味しいものを食べたいと言う私達を引き連れて真っ直ぐこの店にやって来た。狭い店内にテーブルが並びきらないので道にも大きなテーブルを並べていた。相席はごく普通のことらしく、知らない人同士が隣り合わせに並んでいた。私達は既に座っていたアメリカ人らしい家族の横に席を作って貰い、まだ椅子にも座っていないのに、メニューも見ていないのに友人の勧めで例のイカとジャガイモの料理を注文した。先に席に着いていながらまだ注文が決まっていなかった隣の家族が目を丸くして驚いているので、友人が幾つかの料理を薦めてあげると彼らは喜んでそれらを注文した。私達と隣の家族の注文した料理が同時に来たので皆で一緒に食事をする形になった。よく冷えたスパークリングワインを分け合って乾杯した。それにしても美味しかった。それを表すために美味しい美味しいと連発する必要はなかった。食事をしている人達の顔を見れば直ぐに分かる。皆楽しそうに笑って食事をしていた。結局私と相棒の2人はあの甘くて柔らかいイカを忘れることが出来なくて翌日の昼にも戻ってきた。店は満席だったが店の奥さんが驚くような速さで奥からテーブルと椅子を持ってくると木陰に席を作ってくれた。決して愛想は良く無いが、てきぱきと動き回る奥さんは見ていてとても気持ちが良かった。勘定を済ませる時にイカがとても美味しくて2日続けて来たことや即席で席を作ってくれたことに対する礼を述べると、喜んで貰えて嬉しいと奥から出てきた店の主人と一緒に奥さんは笑顔で答えた。無愛想なのは忙し過ぎるからなのかもしれない。また近いうちに戻って来たい。そう思ったのに5年が経ってしまった。今年もまた夏が来た。丘に咲く赤い芥子の花が風に揺れるのを眺めながら、いつか、いつかと心に誓う。

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コメント

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おはようございます。
随分前から気になってるクロアチア・・・・・
私の場合は、大のお気に入り、サンフランシスコのタテッジの創業者がクロェイシアの出身、それから友人のお母様の祖国も同じ。
タテッジの美味しいものが彼らの祖国で食べられるかな(笑)と思ったのが興味の最初でした。
先回のイタリア旅行でイタリア半分、クロアチア半分にしなかったのは、正解だと思うけど、何時かは行きたい所です。

2010/06/06 (Sun) 15:50 | mjmnomama #79D/WHSg | URL | 編集
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mjmnomama さん、こんにちは。タテッジの創業者がクロアチアの出身だなんて知りませんでしたよ。あの店に入ったことは一度もありませんが古い創業と美味しいことで有名ですよね。そういえばmjmnomama さんはタテッジが大好きでしたね。それではクロアチアが気になるのも無理がありません。クロアチアの一部は昔イタリアだったこともありイタリア語が通じるんですよ。でも食べ物は随分違う。イタリアもいいけどクロアチアのは違う味わいで美味しいです。多分期待を裏切りませんから、一度どうぞ。イタリア半分、クロアチア半分なんて事はせずに、どうぞクロアチアをぐるりと回ってくださいね。素晴らしい国立公園もあるんですって!

2010/06/06 (Sun) 22:19 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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