空気の奇麗な場所

昨日雨が降りすぎて、もう空に水滴ひとつ残っていないらしい。今日の晴天をボローニャの誰もが心から喜んだに違いない。テラスの植物や街路樹は沢山の雨の恵みを受け生き生きしているが、多分彼らもまた内心雨はもう充分、と思っているに違いない。それよりも太陽。太陽の光を欲しているのではないだろうか、私たち人間と同じように。窓をこんな風に開け放ったのは久し振りだ。太陽で温まった空気が家の中に入ってくるのを感じながら、これから毎日こんな風であって欲しいと思う。夕方5時を過ぎた頃、山へと向った。目的はない。言うなれば気分転換だった。何しろ最近は日没が8時過ぎと遅いのだ。だから夕方5時も6時も驚くほど明るい。山でもまた沢山の雨が降ったらしい。岩肌を流れる清水の勢いのよいことと言ったら。自然水を汲む場所を幾つか通過したが、何処も水がふんだんで、水を汲みに来た人々を歓喜させていた。途中で休憩した。此処は標高で言うと600m ほどのところ。相棒は長い間この場所に家を持ちたいと願っていたので、かなり思い入れの強い場所である。本当に何もない場所で、自然を愛する私だってちょっと考えてしまうような場所だ。確かに空気は奇麗だ。此処に暮らしていたら肺の中がすっかり奇麗になって長生きできそうな気がする。夏はきっと気持ちが良いだろう。夏の終わりの夕暮れもきっと素敵に違いない。ゆったりした気持ちで生活できそうな気がする。ところが秋の到来がとても早く、あっという間に冬になる。春が来るのはボローニャの町よりひと月半遅れと言えば丁度よい。寒がりの私がこんな場所に暮らせると思うのかと私が言えば、人間とは慣れるものなのだと相棒が言い返し、本気で喧嘩したのは随分前のことである。今思えば売り出してもいない土地のことであれほど激しい喧嘩をしなくても良かったのではないかと思うが、黙っていたら実現してしまいそうな気がして怖かったのだ。そんなことを考えていた時、相棒が言った。こんな場所で長い冬をどうやって過ごせというのだ。考えただけで恐ろしいよ、と。自分が言ったことを一切忘れることが出来るのが彼の特技であることは知っていたが、しかし奇麗に忘れてくれたものだ。拍子抜けして声を立てて笑っていると、相棒が不思議な顔を向けた。どうやら本当にすっかり忘れているらしい。ああ、出来れば私もそんな風になりたい。気持ちのよい空を見上げながらもう一度笑った。

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2010/05/17 (Mon) 15:09 | # | | 編集
No title

鍵コメさん、こんにちは。緑しかありませんが空気が奇麗で空が高くて気持ちがいいです。私も何時か山で、と夢見たことはありますが、此処まで山の中だとどんな風に生活していいの?っと言う感じなんです。多分、猪やキツネがいると思います、この辺りには。虫もいると思うけど、案外平地の方が虫は多いのではないかと思われます。何しろ一年の半分以上が寒いので虫もこんなところには居られないのでしょう。だから問題は寒さですよ。凄く寒くなるんです、この辺りは。
しかし相棒の性格は本当に自分に都合が良く出来ていて脱帽なのです。私もこんなだったら人生楽しいのではないかと思うのです。

2010/05/17 (Mon) 21:47 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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