雨降り

金曜日の朝からボローニャは雨続き。でも、不思議なことにちっとも嫌ではなかった。いつもなら雨で憂鬱だとか何とか言いながら、文句のひとつも言うところなのに。今朝、雨音で目が覚めた。もう起きてもよい時間だったが、雨が降っているのでもうひと寝入りしようと試みたが眠りに落ちることが出来なくて、やれやれ、と言いながらベッドから抜け出した。家の中が暖かかった、もう暖房はとっくに使わなくなっているのに。空は鼠色だし路面は濡れている。しかし確かにもう冬でないことを感じて、急に嬉しくなった。雨は降っているがバスに乗って旧市街へ行こう。そう思いが辿り着くまで余り時間を要さなかった。気に入りの朝用ミルクカップに温めたミルクと淹れたてのカフェを注ぐ。週末の朝のこの瞬間が好きだ。時間と競争する必要の無い週末の朝。雑誌の頁を捲りながら朝食を頂くこともあれば、ミルクカップを片手に熊のように居間をうろうろしては時々窓の外を眺めながら頂くこともある。どちらにしても時計を一度たりとも見ることなく朝食をとることが出来るのは素敵なことだ。昼に家を出た。バスに乗り込むと妙に人が少ない。成る程、雨のせいだな。つい最近までの私だって雨の日は家の閉じ篭っていたのだから分からないこともない。でも、私は今日から違うのだ。雨が降っても降らなくても週末を楽しむのだ。そう思ったら一歩前に進めたような気がして妙に嬉しくなった。なに、大したことではない。でも何かいい感じだ。ボローニャ旧市街は時々横殴りの霧雨が降っていた。それだからポルティコに覆われている通路も濡れていた。それで気が付いた。此処。此処を歩く度に薄暗い鼠色がかったこの通路を美しくないと思っていたのだが、雨に濡れて浮き上がった数種類の色のタイル。知らなかったなあ。知らなかったわよ、全く。そう言いながらタイルを眺める私を通りすがりの人達が不思議そうに眺めている。ひとりで喋るのは時として危ない人に見えるから気をつけなくてはいけない。ひとりで笑っているのはもっと危険に見えるだろう。そう思って、本当は色タイルを見つけて嬉しくて笑いが零れそうなのを一生懸命堪えた。いいもの見つけた。これも雨降りのおかげ。少し雨降りが好きになれそうな気がする。

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