寒風

ボローニャの旧市街に焼き栗屋さんが建つようになった。大抵はポルティコの下の歩行者の邪魔にならない隅っこに居て地味な存在なのだけど、何しろ香ばしいいい匂いを発しているので地味だけど直ぐに見つけることが出来る、それが焼き栗屋さんなのだ。まだそれほど流行っていない。でも、もっと冷え込んできたら焼き栗を求める人も多くなるに違いない。と思ったのはつい最近のことなのに、ここ2、3日の冷え込みと言ったらない。熱を出して2日寝込み、今朝3日振りに出勤しようとしたら寒いではないか。窓の内側から寒そうだとは思っていたが、まさかこんなに寒いとは想像していなかった。気温は0度。首に巻いていたシルクのスカーフを解き、改めて何処からも風が入り込まないように首にぐるぐると巻きつけた。丘の斜面には早くも霜が降りて、まるでうっすらと雪が積もったように白かった。そんな様子を眺めながら、焼き栗屋さんの季節到来、と考える。私は栗が好きだ。栗拾いは嫌いだけれど、栗が好きだ。それ以上に焼き栗屋さんの存在が好きだ。10代前半に見た欧羅巴の何処かの映画の冬の町角に焼き栗屋さんを見つけて以来、私にとって欧羅巴の冬、イコール焼き栗屋さんなのだ。実際前を通ると暖かくて冬に欠かせない存在だ。ボローニャ旧市街の雰囲気は今も私が暮らし始めた頃もあまり代わりが無い。しかしひとつひとつをみると驚くくらい入れ替わっているもので、時々そんな場所で足を止めては考え込む。さて、この店は一体いつからあっただろうか、と。その前はどんな店だっただろう。この角の店もその一つで数年前にguess に替わってモダンな雰囲気になったけど、ああ、その前は何だっただろう。私はこの通りが好きなのだ。だから散策をする日は必ず此処を通る癖がある。この先にある高級ブランドのセレクト店は数年前までごく普通の衣料店だった。通りに面したショーウィンドウには冬になると色んなデザインのウールの温かそうな下着が奇麗に並んでいたし、若い人達にはちょっと似合いそうにない洋服が陳列されていた。店に入っていくのは大まか60歳近くのご婦人達だった。時々若い人も見かけたが、大抵は年配の母親に付き合う娘達だった。あの店が高級ブランドのセレクト店になった時の驚きといったらなかった。店が替わった途端にあの界隈が急にお洒落になった。それで此処は何だっただろう。暫く店を観察しながら記憶を辿っていたが、寒風が吹き出したので肩をすくめて歩き出した。

コメント

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風邪の具合はいかがですか、随分ボローニャは冷え込んできたようですね。しばらくぶりにお邪魔致します。先日、娘のメールからも霧が出たかと思ったら、気温がぐっと下がって3℃と伝えてきました。もう冬ですね
私もボローニャから2週間ほど前に戻り、たまった仕事を片付けながらやっと落ち着いたところです。娘の生活するボローニャの街をたっぷり散策してまいりました。とても落ち着いた、いい街でした。yspringmindさまのブログの素敵なお写真の場所を見つけては、うれしく思っていました。学生街は新学期を迎える前で大変華やいでおりました。娘も2週間ほど前から大学の授業が始まり忙しくしているようです。
ところで私も卒業旅行で行った2月の巴里で焼き栗屋さんから
新聞紙に包まれた熱い焼き栗を買って食べたことを覚えています。今回の旅でも、ローマのサンタンジェロ城前で焼き栗屋さんを見つけ、迷わず買ってしまいました。とても美味しかったです。
寒くなってまいりました、どうぞyspringmindさまもお体ご自愛くださいませ。また、寄らせて下さい。

2009/10/16 (Fri) 03:49 | may-green #79D/WHSg | URL | 編集
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こんにちは。本当に寒くなりました。一昨日まで夏用のズボンをはいて頑張っていましたが(何を頑張っていたのか分かりませんが)、もう限界です。衣替えをしました。
yspringmindさんは、寒いのが苦手なのかなというのが文面から得た感じです。それならば、焼き栗は美味しいでしょうね。
今度私も買ってみます。
may-green さんは、お嬢さんに会えて良かったですね。そうですVia Zamboniは、今、学生たちであふれかえっています。13時から14時は、mensa(学食)も座れないくらいです。
これからもっと寒くなるのでしょうか?ボローニャは?

2009/10/16 (Fri) 16:31 | Via Valdossola #79D/WHSg | URL | 編集
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may-greenさん、こんにちは。風邪はそれほど悪くありませんが妙な頭痛と熱が続いています。もしかしたら風邪ではないのかもしれませんね、といったところでそれでは何かと聞かれたら自分にも分かりません。ボローニャ市内は私が暮らすボローニャ郊外の町より4度ほど高いのでまだ0度にはなっていません、が寒いに違いはありません。まるで11月中旬のような気候で街行く人の装いは初冬、です。お嬢さんとボローニャで会えたこと、町散策を楽しめたこと、嬉しく思っています。学生街を歩くことは余りありませんが、二本の塔の下にある本屋さんへ立ち寄るとここが大学の一部なのではないかと錯覚するほど若い人達で賑わっています。現在のボローニャは丁度いいバランスで学生と市民と急激に増えた外国人が入り混じっている、と思います。
栗はいいですね。先日友人から栗を分けてもらったので家で焼き栗を作りました。熱々を手を黒くしながら割ると中から湯気と共にほっくり焼けた栗が出てきました。家で食べるのも美味しいけれど、でもやっぱり町角で買って食べるのがいい、と言い張る私に相棒はその心理を理解しかねると言うのですが、may-greenさん分かっていただけます?

2009/10/17 (Sat) 12:28 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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Via Valdossolaさん、こんにちは。私も月曜日まで軽装でしたが、その軽装がたたってすっかり身体を冷やしてしまいました。ということで今はしっかり身を包んでの外出です。文面からにじみ出ていましたか。仰るように私は寒いのが大の苦手。かと言って暑いのも苦手なので単に我侭なだけなのかもしれません。いやしかし、寒いのは本当に苦手なのです。だから冬は家でごろごろしたり、外出するときはがっちり着込んで帽子も被って、その上暖かい空気を発している焼き栗屋さんを見つけては近寄ってさりげなく温まるのです。しかし美味しいのですよ。数年前に比べると、高いなあ、と眉をしかめたくなるものの、大粒の栗をゆっくりローストしたそれは格別な旨さがあるので一度お試しくださいね。
この冬はとても寒くなるとテレビで言っていました。実際私がボローニャに住みはじめて、こんなに早くこんな寒さがやってきたのは初めてなのですよ。どうぞ暖かく冬を過ごす準備を今のうちに。

2009/10/17 (Sat) 12:37 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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迷わず、焼き栗屋さんを見つけて駆け寄ったくらいですので、yspringmindさんのお気持ち、よく分かります。寒い外でフーフーしながら食べる焼き栗が、また格別だと思うのですが。
けれども、私も家で焼き栗作ってみようかしら、なんて思ったりしています。日本は紅葉にはまだ少し時間が掛かりそうですが、朝夕の冷え込みは、冬の訪れを感じずにはいられません。冬のボローニャでぜひ、私も焼き栗食べてみたいものです。

2009/10/17 (Sat) 15:22 | may-green #79D/WHSg | URL | 編集
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may-greenさん、そうですよ、自分の息と焼き栗の湯気が白い煙みたいに見える寒気のなかで食べるのが格別なのですよ。家で焼き栗、これは寒くて外に出たくもない日に作ると楽しいです。ナイフで栗に傷をつけてオーブンで焼くんです。時々ごろごろと転がして。焼けた栗は乾いた布にくるんで暫く放置しておくと布の中で何か魔法が起きたみたいに柔らかくて美味しく出来上がります。どうぞお試しを。
ところで近頃の私は日本のもみじが懐かしくて堪らないのです。

2009/10/17 (Sat) 17:25 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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