NotteVerde

明日は雨が降るそうだ。幾つか天気予報を見たがどれもそんな風に言っていた。それで雨が降ると昼間の気温は23度にしか上がらないそうで、夏が確実に過ぎ去ろうとしていることをまたしても感じるのである。昨日の土曜日は朝から出掛ける用事があったので早起きした。いや、早起きしなければならなかった、というのが正しいだろう。私の週末はゆっくり始まるのがきまりなのに。でも用事があっては仕方がなかった。用事が済むともう昼になっていた。家に戻る気はない。20番のバスに乗って旧市街へと向った。町の様子はすっかり秋で、どの店のウィンドウも秋物で埋まっていた。しかし町行く人たちの姿は様々で、未だに肩を露にしている10代の女の子も居れば、先取りでジャケットを着込む人もあり。9月とは実に微妙な季節なのだ。夏と秋の狭間なのである。人は皆それぞれ、そんな理論があるかのように自分と違う姿の人を笑う人も居なければ批判する人も居ない。生ハムとチーズを挟んだパニーノとスパークリングワインで簡単な昼食で腹ごしらえをした後、気になる店を見て歩いた。気になる店とは眼鏡屋であったり、鞄屋であったり、帽子屋であったり、そして靴屋である。完全なる見て歩くだけのEye shopping であるが、なかなかの収穫であった。好みの眼鏡を見つけた。それから使い勝手の良さそうな鞄を見つけた。あとはいかに資金を手に入れるかであるが、これは口で言うほど簡単ではない。資金を手に入れる前に、それらはきっと売れてしまうに違いない。しかしそれはそれでよいと思う。案外そうであった方が良いのかもしれないとも思う。そうしてバス停に向う途中でなにやら楽しそうなことをしている人達を見掛けた。Via Castiglione にある13世紀の建物の入り口の前に家具やら植物やらを広げて、その横では温室のようなものを組み立てていた。NotteVerde に違いない。9月12日はこの界隈の店は24時まで開いていると先程何処かの店の前でそんな張り紙を見た。NotteVerde (Notte= 晩、 Verde= 緑、植物) とは何だろうと不思議に思っていたが、この温室を見てその答えを得たような気分になった。多分こんな温室がこの界隈のあちこちに置かれるのだろう。そんなことを考えていたら温室の中から女性が出てきたので話しかけてみた。NotteVerde の準備かと訊くと、うん、そうだ、と言う。素敵なアイデアだけど一晩限りとは寂しくないかと訊くと、うん、全くだ、と言う。それから女性は傍にあったNotteVerde のちらしを手にとって、18時から始まるから遊びに来ないか、と誘ってくれた。ありがとう、遊びに来れるといいと思うけど。そう言って私は手を振りながら其処から離れた。もう一度振り向いてその様子を眺めると、その晩の楽しそうな様子が目に浮かぶようだった。美しいライトに浮かび上がる植物。それらを取り囲む人々と話し声。幻想的な晩になるに違いない。数時間後にまたここに戻ってこれることを望みながら、また歩き出した。

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