賑やかな9月

9月になって町に活気が戻ってきた。ついでにいつもの交通渋滞も戻ってきた。夏の間、人も車も少なくて快適だった分だけこの混雑具合にうんざりするが、それも仕方がないと言うものだ。まだ夏休みが続いているイタリアの子供達を他所に、大人の大半はすっかりいつもの生活に戻った。帰りのバスに乗ればいつもの顔ぶれが並んでいる。先週のある夕方、旧市街へ行った。昼間の残暑と呼ぶべき纏わり付くようなねっとりした暑さも、夕方遅くになると俄かに涼しい風が吹く。もう直ぐこんな涼しい風が昼間にも吹くようになるのだろう。多分あと数週間もしたら。ボローニャの町の中心のPiazza maggiore には普通の生活に戻った大人達やこれから戻ろうとしている学生達で賑わっていた。広場の前の薬屋、市庁舎の建物の地上階の一部を用いた薬屋は、何時行っても混んでいる。便利だからだろうか。それとも親切だからだろうか。私はこの薬屋に入ると何時も同じことを思う。そして多分便利だからに違いない、と店から出ながら思うのだ。その日は店の奥へと足を運んだ。奥にある、肌の手入れ用品のカウンターに用があったのだ。若いお嬢さんではないのだから当たり前といえば当たり前。しかし私は悩んでいたのだ、現実の年齢と外見の変化と気持ちの年齢が上手く噛み合わないことを。つまりは私自身が現実を受け入れる準備が出来ていないという簡単な話であるが、それにしても気持ちというのは物を動かずほど簡単ではない。若さだけで美しかった時期は過ぎた今、変化してゆく外見のケアが必要なようである。と、そんな簡単なことに最近やっと気が付いたのだ。奇麗だが感じの悪そうな店員だった。にこりともしない。ところが話を始めると表情が変わり別人になった。どうやら私よりいくつか年上らしかった。彼女自身もそういう時期を通過したので私の気持ちがよく分かるという。彼女は悩んだのだそうだ。そうだ、彼女は奇麗な人だから私以上に外見の変化に悩んだに違いない。悩んだ挙句に見つけた答えは何だったと思う?と訊く彼女に私は困惑した顔を向けると、それは気持ちなのだと言った。変化していくのは現実。年をとっていくのも現実。だから気持ちが大切なの。奇麗でいようという気持ちなのよ。若い時とは違った奇麗もあるのよ。そう言って私に赤いグラジオラスのような華やかな笑顔を見せた。へえ。そうか。 生まれつき単純な私だから彼女の言葉にすっかり気分が晴れてきて、有難うと一言残して店を出てから買うものがあったことを思い出した。ま、いいさ。近いうちに立ち寄って彼女とまた言葉を交わすのも悪くない。そう言って賑やかな町をまた歩き出した。

コメント

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yspringmindさまコメントのお返事、ご丁寧にありがとうございました。
娘のボローニャでの留学生活も2週間を過ぎ、ゆっくりとそちらの生活に慣れてきている様子です。yspringmindさまのおっしゃるように、大学の授業が始まるまで、まだしばらく時間があるようで、ボローニャの町の散策を楽しんでいるようです。
yspringmindさまのブログで9月のボローニャの様子がとてもよく分かりました。今後も楽しみに読ませていただきます。

2009/09/06 (Sun) 23:37 | may-green #79D/WHSg | URL | 編集
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今晩は。yspringmindさんのブログを借りて申し訳ございません、かつ余計な御世話かもしれませんが、may-green さんのお嬢さんがボローニャ大学に留学。私も少しだけ同大学に関係していますので、お嬢さんがどこの学部か分かりませんが、日本人と感じたら思い切って声をかけてみてください。もし私でしたら、日本人女子留学生のかた(この方は法学部5年生なので色々と頼りになります)を紹介できますから。気が向いたらでよいので。(ホントに余計なお節介でスミマセン)
yspringmindさんの文章が生き生きして来たと感じています。夏バテも克服しお元気になられた様子、おめでとうございます。これからも楽しみにしています。

2009/09/07 (Mon) 00:24 | Via Valdossola #79D/WHSg | URL | 編集
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may-greenさん、こんにちは。娘さんのボローニャ生活も2週間過ぎて慣れてきたそうで良かったです。若い方は慣れるのや馴染むのが驚くほど早くて私はいつも驚くのですよ。自分も昔はそうだったのだろうか、と思い返してみるのですが、私は性格上何をするにも時間が掛かるので娘さんほどのスピード感は無かったようです。大学生はいいです。よく学びよく遊ぶ。これはイタリアの大学生の特徴ではないかと思うのですが、私はとても好感を持っているんです。ボローニャは一昨日の土曜日の雨を境に急に涼しくなりました。朝晩は驚くほどの冷え込みです。そんな急に初秋の匂いを漂わせたボローニャの様子をこれから紹介できればと思います。

2009/09/07 (Mon) 22:35 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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Via Valdossolaさん、こんばんは。そうでしたか、ボローニャ大学に関係されていましたか。ボローニャ大学法学部5年生に日本人女性が居るんですか。同じボローニャにいても活動する場が違うとそういう方と会うことも無ければVia Valdossolaさんを町で見かけることもまだありませんね。人間関係が広がるのは素晴らしいことだと思いますからmay-green さんの娘さんともそんな良い輪が広がるといいですね。
ボローニャが涼しくなってやっと元気が出てきました。しかし涼しいですね、涼しすぎやしませんか。今朝8時に家を出たら12度しかなくて驚きでした。ボローニャの気候は中間の程ほど、丁度良いってことがない。困ったものですね。

2009/09/07 (Mon) 22:44 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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yspringmindさま、Via Valdossola さまコメントありがとうございます。娘は今週から留学生向けの語学研修が始まったようですが、名簿に日本人の名前は無いようで、Via Valdossola のご紹介ありがたく思います。本人に伝えてみます。ボローニャの生活が慣れたといってもスーパーに行ったり、大学の図書館に行ったりとすこしずづ、生活の幅を広げているといった感じで、はらはらしてこちらでは様子を見ています。yspringmindのコメントに12度と書いてありましたので、驚いております。東京もだんだんと朝晩、秋めいてまいりましたが、まだ日中は暑い日もあります。離れているといろいろ心配なことばかりで、yspringmindのブログ読ませていただいて、ボローニャの季節の移り変わりや、街の様子が手に取るように分かって、本当にうれしく思っております。

2009/09/08 (Tue) 11:43 | may-green #79D/WHSg | URL | 編集
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yspringmindさま、Via Valdossola さま, 先ほど書いたコメントに途中、敬称が抜けてしまいました。見直したつもりでしたが、本当にご無礼、申し訳ありませんでした。お許しください。

2009/09/08 (Tue) 12:00 | may-green #79D/WHSg | URL | 編集
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may-green 様。私についてはご配慮無用ですから、全く気にしないでください。お嬢さんも語学研修ですぐにお友達ができますので、大丈夫と思います。でもボローニャ大学は広大ですから、おそらく遭遇することはないかな・・・っと思っています。どうなるか、これも縁だと思います。
あと私は結構、旧市街をさまよっているのですが・・・yspringmindさんとも縁がないのでしょうか・・・でも、ブログを通しての方が楽しいかもしれませんね。私もようやく、長袖を着て寝るようになりました。冬物を用意しないと・・・。

2009/09/08 (Tue) 15:55 | Via Valdossola #79D/WHSg | URL | 編集
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may-green さん、語学研修の名簿に日本人の名前は無いというのは実に珍しいことです。一昔ならまだしも、ここ数年ボローニャには日本人の学生さんが沢山居ると聞いているからです。may-green さんのコメントを読んで私の母も私が日本を飛び出したあの頃、そんな風にはらはらして見守っていてくれたのかしら、などと思いました。親とはなんて有難い存在なのでしょう。可愛い子には旅をさせろと昔から言うけれど、私はそんな風に旅をしながら時には失敗したり転んで痛い思いをして強くなりました。飛び出した娘を応援してくれた親に今更ながら感謝です。娘さんもそんな風にして強く逞しくなっていくのだと思います。

2009/09/08 (Tue) 23:19 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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Via Valdossolaさんも結構旧市街を彷徨っているのにどうして街角でばったり会わないでしょうか。時間帯が違うのか、それとも歩くルートが違うのか。何にしても、はっ、もしやyspringmindではないだろうか! と思うような人物が歩いていたら是非声を掛けてくださいね。その辺で美味しいワインでも一緒にどうぞ。

2009/09/08 (Tue) 23:23 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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