バラトン湖を訪ねる

日曜日の朝、バラトン湖へと発った。一泊二日の小旅行だ。バラトン湖はブダペストから車で西に2時間くらい走った所に在る、大きな大きな湖である。いつも行き帰りの飛行機の窓から眺めているので大きいとは知っていたが、今回聞いて驚いた。東京23区がすっかしそのまま中に入ってしまうほどの大きさなのだそうだ。海を持たないハンガリー。だからこの国の人々にとっては海のような存在である。実際本当に大きくて、海です、と誰かに教えられたら信じてしまいそうな広さであった。私たちが目指したのはバラトン湖の南岸のリゾート地シオーフォクの隣の小さな町だ。シオーフォクは聞くところによると夜遅くまで賑わっているナイトライフの充実した町らしい。イタリアで言えばリミニのような町だろうか。私たちのように湖に安堵を求める種類の人達には少々喧騒すぎるという訳で、あえて隣町を選んだ。私と相棒と友人夫婦と、それに友人達が加わって8人と賑やかな小旅行となった。この辺りは遠浅らしい。湖の中を歩き回る人々の様子から、深さは60cmほどであることが分かった。何処までも何処までも遠浅なのか、人々はどんどん奥まで歩いていく。いい魚が釣れるのか、釣りを楽しむ人も居た。草の上で昼寝をする人も居れば、岸に腰を掛けて本を読む人も居た。明るくて淡々としていて健康的な湖。昔見た日本の映画に出てくる、あの陰気な湖とは全く印象の違うこの遠浅の湖が私には珍しくて、何時までも眺めていた。安くて驚くほど美味しい夕食と冷えた白ワインををたっぷり楽しんだ後、皆で海辺ならぬ湖のほとりをそぞろ歩きした。健全な町の人々は早くも眠りに付いたらしく何処もひっそりとしていた。水面に何か飛び込む音や岸に湖水が打ち付ける音、樹木の葉が風になびく音が聞えるだけ。そんな静寂を壊さないように、誰もが声を落としながらそぞろ歩いた。翌朝、友人と相棒と私はブダペストへ引き返し、残りの5人は自転車でバラトン湖一周の旅に発った。共に過ごしたのはたった一晩だけ。少し雨にも降られたけど、素敵な1日だった。そんな1日を共有出来たこと、旅の仲間に加えてくれた人達に特別な感謝を贈ろう。

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