見慣れたこの町の風景

ブダペスト。この町を訪れるのは7ヶ月ぶりだ。たった7ヶ月だから何か特別驚くような変化や発見があるわけではない。けれど相棒とこうして何日も纏めてボローニャを脱出するのは2年ぶりで、そんなことで今では見慣れたこの町の風景もいつもと違うように目に映る。それにしてもこの町は、日々新しくなっていく。2年前あった古い大きな建物がすっかり取り壊されて、新しい鉄筋コンクリートに建て替えられているのを見つけては、ああ、ここもまた、と溜息をつく。ハンガリーの首都であるここは、ユーロに加入する少し前から急速にそんなことが展開されている。それを町の人達は良く思っているのだろうか、と町を歩きながら思う。どんどん近代的になっていく建物、町並みから古いものが消滅していくこと。確かに古いものを保つのはお金が掛かるのだ。例えばアンティークの家具が良い例だ。修復するお金で新しい今風の家具が買えるのだから。だから町が新しくなっていくのもまたそんな理由なのかもしれない。ただ、見慣れた古いものが忽然と姿を消すのは少なくとも私の好みではない。もしかしたらボローニャなどという小規模の町に暮らす私だから、首都ブダペストの未来に向ける展開についていけないだけなのかもしれない。何しろ町に漂うエネルギーが違うのだ。ボローニャのようなのんびりした空気はない。道で見知らぬ人とちょっと世間話なんてこともない。都会なのだ。退廃とは全く逆の驚くべき活気が詰まっているのだ。そんなことを考えていたら私はボローニャで丁度良いのかもしれないと改めて思いつき、歩きながらひとりでにやにや笑った。ゲッレールトの丘の頂上に在るCitadella (要塞)からドナウ河の向こう岸に広がる町を眺めた。知ってはいたが大きな町だ。ユーロに加入して以来、不動産も生活必需品も価格が上がる一方のこの町。8年前に初めて訪れた時とは比べようもないが、考えてみればイタリアもまた8年前とはとんでもない違いで物価高甚だしいのだから、時代の流れとしてそれもこれも受け入れなくてはならないのだろう。何時になく真面目腐ったことを考えたのは何故だろう。変化が苦手な私らしいと言えばそうなのだけど。何時までも昔のままでいて欲しいと思うのは無理なのかもしれないけれど。9回目のブダペスト訪問はそんな少し違う視点で始まった。

コメント

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こんにちは。ブダペストはエネルギーが違いますか。仕方ないかもしれないですね。井上ひさし『ボローニャ紀行』(2008年)に、「古いものは観光資源になる(だけでなく)…古いものの前に立つと…消え失せたはずの時間が・・・一瞬のうちに目の前に立ち現れ・・・だれもが、自分が現代に孤立して生きているわけではないという真理を直観する・・・過去と未来をつなぐ役目を背負っているという責任を自覚し・・・すべて人間を勇気づける…あらゆる思想の主流になりました。」(84頁)という言葉が書かれています。ブダペストの選択は、もう少し待ってみないと分かりませんね。ハンガリー自身の時代の流れかもしれないし。
それにしても、写真からもちょっとバタバタしているような慌ただしい雰囲気が出ていますね。

2009/08/14 (Fri) 10:01 | Via Voldossola #79D/WHSg | URL | 編集
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またまたブダペストに行きましたね。それも今回はノートブックのパソコンでも持っていったのか、記事がリアルタイムです!! 
Yspringmindさんに会ったとき、ボローニャの印象を聞かれて、自分には大きすぎる、と言ったら驚いていたのを思い出しましたが、私にはパルマとかモデナあたりが理想的なのです。ひっそりと庵(いおり) のような小さな家に住んで、たまに近くの大都市に遊びに出かけるのが夢ですね。ブダペストの記事楽しみにしています。

2009/08/14 (Fri) 18:14 | september30 #79D/WHSg | URL | 編集
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Via Voldossolaさん、“ブダペストの選択”という言葉が気に入りました。確かにもう少し見てみないと分からないことですね。Via Voldossolaさんが言うようにハンガリー自身の時代の流れなのかもしれません。あまり進みすぎないうちにハタと足を止めて良い選択をしてくれると嬉しいです。
ブダペストは凄い活気なのです。こんなに活気があっていいのかしら、と思うほどなのです。それに加えて今は何処もが工事中で益々慌しい雰囲気なのです。

2009/08/14 (Fri) 23:44 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
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septemberさん、ええ、また行ってしまいました。しかし記事がリアルタイムに感じるのは単なる偶然で、今、ボローニャの家の机の前で色んなことを思い出しながら綴っています。今回の休暇中に色んなことを考えました。それがちょっとリアルタイムに聞える理由なのかもしれません。
そういえばそんなことを訊きましたね。私にとってはボローニャは大きすぎるとは思いませんが、ブダペストは確実に大きすぎます。私もまたのんびりした田舎に暮らしながら、気が向いたときに都会に行くのが丁度いいようです。

2009/08/14 (Fri) 23:51 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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