電話で話す

電話を掛ける習慣があまりない。電話が嫌いな訳ではないから掛かってくる電話を嫌がることも無い。昔のように電話代金が高い訳ではないから、節約している訳ではない。ただ、電話を掛ける気になる回数が少ないだけだ。電話で話すよりも顔を見ながら話す方が好みなのだ。かといって、遠く離れて暮らす相手ならばこれが一番簡単な交流法で、顔が見えないからなどとは言っていられないのだけど。夕方8時前、山の友人から電話を貰った。先々週末会う筈が、結局会えずじまいだった友人だ。この友人との付き合いは長い。もう16年もの付き合いだ。私達が知り合った年、友人が長い休暇を過ごしたサルデーニャから黒猫のマザニエロを連れてきた。それだから黒猫のマザニエロとも長い付き合いで、電話で話をすることもなければ一緒にピッツェリアに行くこともないけれど、山の友人宅へ行くと互いに歩み寄って元気だったかと声を掛け合う。もう随分な高齢になり、昔のような機敏な動作は無い。昔は向こうから駆け寄ってきたかと思うと私の膝小僧にパンチのひとつもくれたものだ。痛い! と騒ぐ私を振り返りながら猛烈な勢いで逃げていったのに、今はパンチもしなければ走ることもなくなった。友人が同じようにしてサルデーニャから連れてきた行儀の良くて賢い犬は年をとって昨夏の終わりに逝ってしまった。兄弟姉妹のようにして育った動物達だったから、マザニエロは寂しいに違いなかった。16年前、動物達も友人も若かったし、私の相棒も若かった。そして私はとびきり若くて、何もかもが可能に思えた年頃だった。16年の歳月を経て私達は良くも悪くも色々学び、あの頃のように夢をがむしゃらに追うことがなくなった。そんなことを時々思い出しては、寂しいなあ、と思うのだ。勿論今だって夢はある。ただ、あの頃のようなとてつもない夢を追うことがなくなり、その代わりに安易に手に入りそうな夢を追うようになった。夢と言うには小さすぎるようなものばかり。計画、と言うほうがぴったりくるようなものばかりだ。友人との話はそれとは全く無関係の楽しい話題であったけど、私は何故かそんなことを思い出していた。ひょっとしたら友人もまたそんなことを思い出していたかもしれない。うーん、やはり電話より会って話す方が宜しいようである。

コメント

No title

「夢」という言葉さえ、忘れていました・・・私もそんな歳なのかな。道に迷うのは、歳のせいだったのか・・・マザニエロは何歳なのだろう。

2009/06/23 (Tue) 23:22 | Via Valdossola #79D/WHSg | URL | 編集
No title

おはようございます。
電話ねぇ・・・・・・・・普段、友達と長電話してます。(笑)
用事があって電話する時は、短いですけど・・・・
何を喋ったか全然覚えてないけど・・・電話で喋るの大好きです。(汗)
(英語でも日本語でも)・・・・
そういう私の長電話に付き合ってくれる友達がいるというのは、考えてみれば、ありがたい事なんですよね。

うちにも、娘の猫なんですが、14~15歳になる大年増の猫がおります。
先回のイタリア旅行では、動物病院に預けていったんですが・・・・
引き取りに行った時、請求書を見てその高さにびっくりでした。(汗)

2009/06/24 (Wed) 15:23 | mjmnomama #79D/WHSg | URL | 編集
No title

若いときの夢はずっと遠くを見ていたけど、年を経てからの夢はつい目の前を見ていますね。なぜなら、もう遠くが無いから・・・
その代わり振り返ることが多くなりました。

2009/06/24 (Wed) 15:29 | september30 #79D/WHSg | URL | 編集
No title

Via Valdossolaさん、忙しく日常生活の渦に巻き込まれていると、夢の存在を忘れてしまいがちですね。それに気がついたので、最近は時々立ち止まって夢の事を考えます。路に迷うには、多分ボローニャの道が複雑だからでしょう。そう思いましょう。
マザニエロは人間で言えば80歳ってところです。100歳までは頑張れそうな気配です。頑張って欲しいと思います。

2009/06/24 (Wed) 22:44 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
No title

mjmnomamaさん、こんばんは。
私も時々長電話します。でもそういう時は、よし!今日は沢山お喋りするぞ! と初めから気合を入れて電話するんですよ。でもまあ、ほんの時々です。電話で会う約束して、美味しいものでも頂きながら相手の顔を見ながら長話する方が好みなのです。
娘さんの猫、大年増なんですか。その面白い表現、気に入りました。動物病院は高いでしょうね。イタリアも動物病院やペットホテルは、老人ホームや私営の医療施設のように高いのですよ。

2009/06/24 (Wed) 22:53 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
No title

septemberさん、年を経てからの夢は目の前を見ている理由がもう遠くが無いからというのには驚きました。そんなことを考えたことが無かったんですよ。うーん、そうかもしれない。色んな経験をしているうちに考え方が現実的になったから、目の前ばかりを見るようになったのかと思ってたんですけど。しかし振り返ることが多くなったのは私も同様です。

2009/06/24 (Wed) 22:59 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集
No title

こんにちは。リンク頂いているvruocculuです。
なんだか、妙にしみた記事でした。
「夢」 そうですね。。。あの頃の様に無謀にまわりがみえないくらい自分の夢につっぱしれなくなっていました。
そう本当の意味で人生の折り返しに気がつく前までは。
足掻いて、足掻いて。折り返しだと自分の中で認識が出来た時、
ようやく足下の夢を見る事ができました。
歳をとるということはそうゆう事なのかな〜? なんて。

2009/06/25 (Thu) 05:43 | vruocculu #79D/WHSg | URL | 編集
No title

vruocculuさん、こんにちは。妙にしみてしまいましたか。
夢、という響きはいいですね。夢を見る、夢を叶える、夢を追う。どれも素敵な言葉だと思います。若い頃は夢は見るだけでなく叶えるものと信じてました。振り返ってみると実に私らしい考えであり、同時に全てが可能に思えた自分を怖いもの知らずの鉄砲玉のように思えます。何にしろ、若さならではのことです。今の自分は冷めているような気がします。妙に現実を直視して、落ち着きを払っている。そんな自分に気づいたとき、若くないなと思うのです。誰もが通過することなのかもしれませんね。

2009/06/25 (Thu) 22:14 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する