バスに乗っていこう

忙しい週末だった。金曜日の夕方の雨のボローニャ散策に始まった週末は、翌日またもや雨の中を、いつもなら車であっという間に到着してしまうボローニャ郊外の町Baricella を93番のバスに乗って訪問した。車とは不思議な乗り物だ。バスのようにいちいち停留所に停まることがない分だけあっという間に目的地に着けて、その分だけ本当の距離より少々短く感じる、と思う。いや、それともバスが本当の距離よりも少々長く感じるのかもしれない。兎に角、ボローニャ旧市街の大通りから93番のバスに乗り込んで、私は酷く後悔した。それはまるで高校生専用バスのごとく、授業を終えて家に帰る高校生達で混み合っていたからだ。自分が異星人のように感じた。幾つもの瞳が私をまじまじと観察する中、私は彼らの真ん中辺りに腰を下ろした。居心地が悪いながらも聞き耳を立てるとなかなか楽しく、時々うっかり笑いそうになるのを堪えるのが大変だった。一人前の大人のような顔をしてブランドのジーンズやジャケットを身に着けているが、話している内容はやはり高校生。特に女の子達のお喋りはまるで本を読むような面白さで、ええ、それでそれからどうなったの、と時にはなかなか先に進まない彼女達の会話を急かしたくなった。バスはどんどん郊外へと走りちょうど1時間経った頃、ようやく Baricella の町の中心に到着した。この辺り来るのは初めてだ。いつもはもう少し手前で左に曲がってしまうのだ。何もない田舎町だと思っていたが、何もない田舎町などイタリアには存在しないらしい。いや、何もないことすら素敵なことだってあるのだから、何でも見てみるものである。大通りの向こう側に渡ると、一本道があった。大通りと一本道の角っこには古い屋敷があり、その敷地をぐるりと古い塀が囲んでいた。古い門の左手には一体何の建物なのか、古い木の扉が今にもごとりと音を立てて外れそうだった。それでいて私はこんな建物が大好きで、修復したらなかなか良い感じになるのではないかと想像したりした。敷地内の建物は今でこそ寂れているけれど、昔は豊かな家族がここに暮らしていたことが分かる。100年、200年前、どんな町だったのだろう、ここは。目を閉じてみるとこの家の周りにはただただ農地が広がっている風景が浮かんだ。そしてもう一度目を閉じてみると、今度は先ほどとは違う活気のある風景が浮かんだ。さて、本当はどうだったのか。そんなことを知っている人はもうあまり居ないかもしれない。ボローニャを出た時は雨が降っていたのにこの町は既に止んでいた。町が私を歓迎してくれているような気がして、嬉しくなった。

コメント

No title

私は地図を見るのが好きで、地名やバスNo.が出ているとついついGoogle Mapを開いてたどってしまいます。
93番はこんなルートを通っていくんだ…と賑やかなバスを思い浮かべながら見ていたら、Baricellaに着くまでに野球場を2つも見つけました。(Minerbio scuoleとPirandello(14,35番バス)の近くです)
イタリアにも野球をする人がいるのは知っていましたが、これだけの間に2つあるのは意外な発見でした。

2008/12/17 (Wed) 15:07 | s_fiorenzo #79D/WHSg | URL | 編集
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s_fiorenzoさん、私も地図が好きなんですよ。だから地図を持ってどんな知らないところにだって行ってしまいます。93番はなかなか長い距離を走ります。バスが空いていたら、ちょっとした遠足気分を味わえるような田舎の風景や小さな町を通過するんです。でも野球場があるとは!信じられないことに気が付きませんでした。周りに聞き耳を立てていたせいでしょうか。でも、仰るようにイタリア人が野球・・・あまりしないですよね。そういいながらボローニャには確かに野球場が幾つかあるって聞いたことがあるんですよ。
途中のMinerbioがまた可愛い町で、私のお気に入りでもあります。

2008/12/18 (Thu) 00:03 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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