atti

ボローニャ旧市街には一体幾つの店があるのだろう。見応えたっぷりな大きなショッピングモールや何階建てものデパートメントストアは無く、日本で言うちょっとした百貨店風の店が一軒二軒あって、あっちとこっちにガッレリアと呼ばれる高級店が集まった場所がある。後は基本的に小さな店ばかりであるが、その小さな店の面白いことといったら無い。ポルティコの下をそぞろ歩きながら店のショウウィンドウを眺めるのが好きな人がボローニャには沢山いることを私は知っている。週末などはそんな人達で一杯だ。私にしても然り。これといって買うでもないが、歩いては足を止め店のガラス窓を覗き込む。strada maggiore のビンテージ物を置く小さな店、via farini の家庭雑貨店、via san ferice の靴屋。挙げたらきりが無い。今日はこの界隈を、次はあの界隈を。時間の無い平日の夕方はそんな風にして見て歩く。でも、誰にでもあるように、私にも毎日でも吸い寄せられるように立ち寄る店がある。それが食品店、atti だ。ボローニャの人でこの店を知らない人は居ないに違いない。他の店より値段が高いのに、何時覘いても客人でに賑わっている。ここの黒パンの美味しいこと。昔、友人家族に連れられてドロミテ山脈の谷間にある町cortina d'ampezzo へ行った。そこでプッチャと呼ばれる黒いパンが大変気に入り、大量に買い込んでボローニャに帰ってきた。その後色んな町で探してみたが見つからない。残念だなあ、と思いながらいつの間にか忘れていったそれにそっくりのパンがatti の店先に並んでいたのを見つけた時の嬉しさといったら。店に入ってあのパン下さい、と注文し、店の人が紙の袋にパンを入れる傍からどれだけこのパンを探していたか、どれだけこのパンが好きかを語って聞かせると、店の人は嬉しそうに笑った。そんなことからatti が好きになった。好きな理由は他にもあって、それは店先に書かれた手書きのカード。チョコレートのカードにはこんな事が書かれていた。"通な方の為のブラックチョコレート" "チョコレート・私流、生活のストレスの解消法" そんなニュアンスのことが。一文字一文字丁寧に書かれた、懐かしい匂いのするカードが添えられているのもatti の人気の秘密なのかもしれない。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する