石の壁

ボローニャ旧市街の古い建物の多くが、レンガ造りの上をきれいにセメントで塗りつぶして赤い塗料で彩っている。赤と言っても色々あって朱に近い赤もあればもっと明るくて限りなくベージュに近い赤もあるし、ボローニャの赤と呼ばれる独特な赤色もある。私はそれらが大好き。それで私の家は赤い壁なのだけど、もうひとつ好きなのは石の壁だ。色など塗られていない。一体何処から運んできたのか知らないが、どれひとつ同じでない石を積みあげた素朴で田舎風の壁だ。昔の人達は一つ一つ石を運んできては壁に嵌め込んだらしい。それは気の遠くなるような作業だったに違いない。昔の人は忍耐力があったのだ、今の私たちよりも。私のように忍耐のないものはその時代には生きていけなかったのかもしれない。石を積み上げた家は頑丈で、夏は涼しく冬は暖房の温もりを外に逃がさない。昔の人達が知恵を寄せ合った傑作品だ、と思う。先日こんな壁を見た。何でもありの壁だった。色も違えば石の模様も大きさも違う。その中に地層のような横筋が幾本も入った石を見つけた。河川から持って来たのだろうか。この辺りに流れるsavena川のものだろうか。そう言えばsavena川は昔はもっと幅広で深く、流れが早かったと聞いたことがある。今は暫く雨が降らないと干上がってしまう、そんな川だ。昔の人が空から見てたら、嘆いているに違いない。壁に触れてみた。川の流れの音がする、そんなことを言いながら昔にタイムスリップした瞬間だった。

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