celestiniの壁

期待していた通りの晴天になった。窓越しに外を見ると人々は軽装だった。目を疑いながら窓からそーって手を出してみると、昨日とは空気の質が異なっているのを感じた。人々が軽装なのも頷けるというものだ。昼過ぎにやっと重い腰を上げて旧市街へと出掛けた。今日のピアノーロは何時になく風が無くて穏やか。気温は既に20度を上回っていた。この分だと旧市街はもっと暖かいに違いない。そう思っていたところ、バスを降りるなりトレンチコートの襟を立てた。建物と建物の合間を風が吹き抜け、思いのほかひんやりしていた。しかし見回すと人々は軽装でここには確実に春が到来していることを知った。広場には既にテーブルと椅子が並び、屋外でカフェを楽しむ人、人、人。そんな光景を横目で見ながらvia d'azeglio へと向かう。今日は目的のない散策。単に街を徘徊して気分転換しながら春を感じたいだけなのだ。この通りには幾つか好きな店があり、通る度に必ずその前で足を止める。もっとも中に入って買い物することは殆どない。いつだって見るだけである。その少し先へ行くと右手に小さな広場が広がる。piazza de' celestini という名の広場である。とても狭くて地味な広場だが私は個人的にとても気に入っている。ただここには時々ずるりと服を引きずった感じの犬を連れた若者達が数人いて小銭をねだってきたり、時には得体の知れぬ署名を求める若者達が居たりするので、なかなか難しい場所でもある。via d'azeglio とpiazza de' celestini の角に私の好きな教会がある。san giovanni battista dei celestini という名の長い名前を持つこの古い教会の何が気に入っているかといえば、教会内にある絵画でも何でもない、外壁である。それは教会に対して失礼なことだろうか。と一瞬思いながらも、いいや、そんなことはない、と思う。じっと眺めていると壁の暖かい色が私にも伝わってくる。何年も前から私はそこをcelestiniの壁と呼んでいる。

Pagination

Trackback

Trackback URL

http://yspringmind.blog.fc2.com/tb.php/433-9421f1ac

Comment

Post Your Comment

コメント:登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

yspringmind

Author:yspringmind
ボローニャで考えたこと。

雑記帖の連絡先は
こちら。
ysmind@gmail.com 

フリーエリア

月別アーカイブ

QRコード

QR