私達の夏

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こんなに涼しい7月は記憶にない。長袖こそ必要ないが、太陽の光が暖かくて気持ちが良いと思うほどの気温である。昔私が暮らしていたアメリカの海の街は海流の具合で水が冷たく、それでなのか夏でも涼しくて、時には朝晩は上着が必要なほどだった。一日に四季が詰まっている、とその街に住む人達が言っていたけれど、其の通りだと思った。昼間の暖かさに騙されてうっかり半袖ショートパンツの軽装で出かけようものなら、夕方に吹く海風に冷やされた肘や膝小僧がキリキリと痛くなることになる。昨日今日のボローニャはそれに似ていて、剥き出しになった足首が涼しい風に吹かれて酷く痛む。失敗したなあ、と眉をしかめながら、私は昔から少しも進歩がないと苦笑する。

7月も中旬を迎えて思う。何時もなら翌月に控えている夏の旅のことでわくわくしている頃であるが、今年に限っては何の予定もなく、あるのは3週間の長い夏休みだけだ。8月の休暇の予約手配を済ませた2月初旬には予想できなかったこと。4月にホテルを取り消した時も、7月になれば元に戻るのではなかろうかなどと思っていた。案外予定通り旅に出掛けることが出来るのではないかと、淡い期待を抱いていたと言ったら、人は笑うかもしれないけれど。それがどうだ、案の定と言うか何というか、私達の生活は見かけ上は随分元に戻ったように見えるけど、まだマスクは必要だし、店の中に入る時は必ず手を消毒する必要があるし、額に体温測定器を当てなければならないし、バスだって座席の半分は使用禁止のままだ。こんな状況だから、夏の休暇は家でゆっくりするのが得策と十分理解している。イタリアでは、国内での夏季休暇を推奨していて、そのために休暇先での宿泊施設費用の補助などもするとのことで、多くの人がそれを国に申請しているとテレビのニュースで言っていたけど、私はそれですら足踏みしている。マスクを着用しての休暇より、家でマスクをしない休暇が良いだろうと。そう言うと、まるで私が十分納得済みのように聞こえるけれど、実はそうではない。諦めが悪いと言うのか、往生際が悪いと言うのか、実は自分でさえも呆れている。ひと夏くらい、何処へ行かなくてもいいでしょう? と自分に言い聞かせながら、過ごす7月である。それも8月に入って夏季休暇を迎えれば、現実を受け入れることになるだろう。そして家でのんびりの8月も悪くないなどと言って、楽しく過ごせるに違いない。少なくとも私が家に行くことを、猫は喜んでくれるだろう。

7月も中旬を迎えて思うことはまだある。コロナウィルス騒ぎが始まってから半年が経ったこと。元気にやってこれたこと。派手な幸運はなくてもいいから、小さな幸運を探しながらシンプルに行きたいと思う。例えば空の星が綺麗だとか、猫が機嫌よくやっているとか。美味しいメロンが手に入ったとか、晩の風が気持ちよいとか。




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yspringmind さん。赤い標識が、なんとも心に響いてしまいます。私達の夏。ここフランスも涼しいですし、旅行をあきらめたのが、口惜しい。お宿やレストランで気をつかうより、家にいる方が、リラックスできるのかもしれません。頭では、わかります。でも、まだ、諦めが悪く、日帰りで海遊びに行けないか、と考えてしまいます。そう、猫ちゃんは、貴女が一緒で、大喜びですね。
  • URL
  • 2020/07/16 10:05

キャットラヴァー

こんにちは、今日は気温が79Fと過ごしやすい気温です。でも、明日から数日間、また猛暑がやって来ます。それも、日曜日は100Fにまで気温が上がる予報が出ていました。
コロナウイルスの騒ぎから、かれこれと6ヶ月が過ぎ去ろうろしています。こちらの教育機関は、秋のセミスターが8月中旬からスタートするので、その準備の為に多くの教育者達、そのスタッフの方々、この街のお偉方などが、学生が戻って来たときの対応策(グロスリーストアーやリカーショップ、レストラン他)を話し合っています。私の若い世代の友人達は、お子さんをオンラインのクラスを受ける選択をしました。中学生ですが、健康を優先。色々と家族で話し合って決めたと言うことです。マスクを着用したくない生徒(させたくない父兄)が存在するらしく、議論する前に2つの選択があるので、安全性を選択。おそらく、すぐに対面のクラスはキャンセルになり、オンラインに変わるだろうって言われているので、、、、、。
先日、このウイルスを信じない人間もいて、マスクなど必要ない。って悪態をついた人物を見て、あのナイチンゲールも、衛生観念を重要視する言葉を残しています.それを、信じない、フェイクだって悪態をついてお店に買い物に来るなんて、米国のコロナウイルスの拡大は、人災も関係しているんじゃないかな?って思います。だって、リーダーが、昨日もマスクを着用していませんでした(苦)
私も近場の美術館にこの7月や8月に行けるだろう、って信じていて、Nyではブロードウエイのお芝居を楽しもうって思っていたり、全米オープンにもいくつもりで張り切っていたんですよ。今は、恐ろしくて、Nyには近づかない。
そう小さな幸せを見つけて、16歳になるママボス猫とその彼女の13歳の子供達が、私と少しでも長く一緒に暮らしてくれることを願ったり、自分が楽しめる事を見つけて、この難しい時間を過ごそうって思っています。
でもマスクをしながらの休暇って、凄いですよね。想像しただけでも、暑苦しい。テニスをした時に、マスクを着用しましたが、即やめてしまったんです。でも、距離間隔は守っていますよ。
  • URL
  • 2020/07/16 20:49
  • Edit

yspringmind

お名前がない方、こんにちは。でも何となく誰だかわかります。うふふ。
赤い標識、進入禁止。今年は此れを見る度に、楽しい夏休みへの進入禁止みたいな気分になります。単なる気のせいだと思うのですが、何時もそんな言葉が思い浮かびます。諦めが悪いのは私達ばかりではないでしょう。きっと多くの人がそんな風な筈。海遊びなんて素敵な言葉、考えたこともありませんでした。私が思いつくのはせいぜい山歩きが良いところです。
家の猫は淋しがり屋なのです。だから家に人が居ると安心して大変機嫌が良いのですよ。ふふふ。
  • URL
  • 2020/07/17 22:30

yspringmind

キャットラヴァーさん、こんにちは。ボローニャもちょうど79Fくらいです。そして来週には暑さが戻って、連日100Fとのことです。暑さにめっきり弱くなりました。汗を掻くのが嫌いになりました。それだからマスクをする時間が少なければ少ないほど有難いです。マスクをしながらテニスを想像してみましたが、あわわ、此れは暑いし息苦しい。直ぐに止めて正解でしたね。私も外を歩く時はマスクをしていません。もっとも人が多い時はマスク着用しますけど、だからなるべく人の居ない道を選んでいるのです。
コロナウイルスの拡大は、人災も関係しているんじゃないかと、実は私も考えていたところです。人の心と嗜好を破壊してしまった、いいえ、破壊された人も存在すると私は周囲を眺めながら思います。こういう時はのんびり構えて、一歩離れた場所から現実を眺めるといいですね。そうしたら自然と現実が見えてくるはずですから。
猫は此処数日、人恋しいようで片時も傍から離れません。この夏はたっぷり一緒の時間があるので、きっと喜んで貰える筈。
  • URL
  • 2020/07/17 22:44

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