迷信

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昨晩服用した薬が身体に堪えた一日だった。それでなくとも金曜日は、平日の終わりの日。多少ながら疲れが溜まっているところに此の薬だから、身体が悲鳴を上げているようだった。カレンダーを見れば金曜日で17日。アメリカで13日の金曜日が不運の日とされているように、イタリアでは金曜日で17日ときたら、迷信と笑う人も多少いるにしても、大抵の人が眉をしかめてみせる。私は日本人だから全然平気、と家を出る時に相棒に向かって言ったくせに、職場について少し経つと妙に落ち着かない。金曜日で17日。それがどうやら頭の何処かに引っかかっているようだった。しかし其れも夕方になるとすっかり忘れ、ようやくたどり着いた週末の始まりに心を震わせ、軽い足取りで帰ってきた。良い週末を、と言葉を交わすのが大好きだ。朝のおはようの挨拶と同じくらい、大切だとも思っている。

家の近所のクリーニング屋さんに立ち寄ったのは、頼んでおいた洗濯物やら何やらを引き取る為だった。先週の金曜日に頼んでおいたものが仕上がっている筈だった。店に入ると私の声を聞いた女主人が、来た、来たと言いながら奥から出てきた。嬉しそうな表情で、すぐに分かった。頼んでおいたスカーフ。解れてしまった4辺を綺麗に縫って貰えたのだろう。案の定、彼女は裾上げの済んだジーンズと、そして綺麗に畳んだ私のスカーフを手にしていた。ほら、こんなに丁寧に、綺麗に仕上がったと言って私の目の前にスカーフを差し出した。手に取ってみたら、スカーフはすっかり綺麗になっていた。お直しをしてくれるシニョーラが小さな縫い目をひとつひとつ拾って、全く素晴らしい仕上がりだった。しかし、と彼女は言葉を続けた。凄く時間が掛る作業で、しかも予想を超える大変な作業だったから、代金は安くない、と。ところが訊けば思いがけぬ料金だった。旧市街の頼めば、この程度では済まないに違いなかった。それにしても、此れは本当に大変だった筈。作業をしてくれたシニョーラは本当に忍耐力があると感嘆すると、女主人も同意した。そして付け加えるのだ。情熱がなければできないことだと。聞けばシニョーラは84歳なのだそうだ。若い頃、4人の子供を育てながら仕立て屋さんに勤めていた。外に出掛けたりバールに行ったりする趣味は無く、家でコツコツ何かをするのが好きだったらしい。仕立て屋さんに勤めていたから、服を縫うこともできるそうだ。ただ、今はもう其れはせずに、お直し専門にやっているのだそうだ。84歳でまだ針を持って布を縫う。ミシンだって踏むというのだから驚きである。手にしたスカーフを眺めながら、このシニョーラの計り知れない情熱にただただ脱帽するばかりだった。運が良かったスカーフと私。金曜日の17日など、やはり単なる迷信なのだ。運の悪いとされる金曜日の17日は、とても良い一日になった。

今夜頂いた林檎の何とみずみずしくて美味しかったこと! もちろん銘柄はふじ。美味しいのを選んでほしいと頼む私の為に、青果店の主人がじっくり選んでくれたものだ。林檎を食べて医者いらず。この冬は沢山林檎を食べて元気に過ごそうと思っている。




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micio

こんにちは、yspringmindさん。
林檎の産地として有名なボルツァーノに行ったときも、フジが沢山並んでいてびっくりしました。
せっかくだからと違うものを買ったのですが、食べてみても良かったかなと後悔しています。泣
  • URL
  • 2020/01/18 15:07
  • Edit

yspringmind

micioさん、こんにちは。フジは今はイタリアに大変浸透した種類です。どの店に行っても必ずありますよ。私が日本人だからということもあるでしょうけれど、どの林檎よりもフジが美味しいです。micioさんにも食べて貰いたかったなあ。
  • URL
  • 2020/01/19 00:25

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