骨董品の街

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間違えて到着したアレッツォ。事前の街の知識は全くなかった。其れに酷く空腹だった。既に14時近くだし、何処へ行けばよいのかわからないし、空腹だしで、私の機嫌は明らかに良くなかった。旅先でパニーノを齧る昼食が嫌いだ。少なくともイタリアでは。美味しいものがこんなに沢山ある国で、しかも楽しい小旅行で、わざわざパニーノを齧るなんてナンセンス、というのが私の理論だ。しかしである。時間が時間。大抵、店はこの時間帯の客を喜ばないどころか、入店を拒むもことすらある。歩き始めてすぐに良い感じのレストランの前を素通りしたのはそういう訳だが、相棒が私を引き留めた。此処はなかなか良さそうだから入ってみよう、と。店の人に訊いてみたら、時間的には全く問題ないとのことである。高そうなのが引っ掛かったが、折角だからと店の人に薦められた、中庭の見える明るい席に腰を下ろした。ピークの時間帯が過ぎているせいか、客は少なかったが、客層がとても良い。やはりこの店は高いのだろうと思いながらも、パニーノを齧るよりは断然良いと思って腹を決めたところ、貰ったメニューを見て驚いた。と言うよりは目を疑ったと言えばよいか。全体的にボローニャよりぐっと安い。おかげ安心して好きなものを注文することが出来た。パスタは店の奥で手打ちしているらしく、特にタリアテッレの仕上がりにうるさい私も唸った。素晴らしい、と相棒と感動していたら店主が横を通りかかり、ほら、あそこに居る黒い巻き毛の女性が手打ちしているんだよ、と教えてくれた。24年パスタを打っているベテランさんだそうだ。相棒も私もご機嫌で、またこの店に来たいものだと話しながら店を出た。間違えて到着したアレッツォだけど、出足好調と言って良いだろう。

空腹が満たされると人は機嫌が良くなるものだ。先ほどまでの不機嫌が直ると、見るものすべてが素晴らしく見えた。アレッツォの月に一度の骨董品市は有名も有名だが、此れほど沢山の骨董品店が存在するとは驚きだった。昔、私がボローニャに暮らし始めた頃、ボローニャの旧市街には驚くほど沢山の靴屋が存在したものだが、アレッツォでは骨董品屋がそれにあたる。そして絵や額縁、骨董家具の修復工房も。こうしたものが好きな私達には実に魅力的な街。一軒一軒に足を止めていたら、いくら時間があっても足らないだろう。教会に入ったり、路地を歩いたり、骨董品屋の前にかじりついたりしているうちに時間が過ぎてしまった。路上駐車の制限時間がとっくに過ぎていて、はらはらしながら車のもとへと歩いたつもりが、道を間違えてぐるぐる歩き回った。人に道を訊ねるのが嫌いな相棒が通りがかりの人を捕まえて訊ねるほどだ。彼もかなり焦っていたに違いない。ブダペストならば時間切れ直後に駐車違反の券が切られるところだが、さて、この街ではどうだろう。30分もオーバーしたが、運よく駐車違反の罰金は免れたようだった。運がいい。運がいい。そう言ってボローニャへの帰路についたが、私達の運はそれまでだった。帰りも道を間違えて、暗い夜道を走る大変な旅になった。

だから相棒は、たとえアレッツォが気に入ったにしても、暫くは行きたくないに違いないと思っていたが、そうでもないらしい。それにあの店でまた昼食をとりたいそうだ。珍しいこともあるものだ、相棒がそんなことを言うなんて。ということで、冬が来る前にもう一度足を延ばすことになりそうだ。今度はもう少し知識を持っていこうと思う。アレッツォの歴史を知ったうえでの散策は、もっと興味深いに違いないから。




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micio

こんにちは、yspringmindさん。
私の相方は教会よりも神社仏閣のほうが好きというかなり変わった人なので、私が教会を見て回っているときは、なんだか手持ち無沙汰な感じでつまんなそーにしているのが非常に気になるのです。
いっそのこと、1人でブラブラしていたいと思うのですよ。
運転手だけやっていただくということで。

とは言え、外国人の感覚から見たイタリアが面白いらしくて、ボローニャに行ったときは新たな発見があったと言っていましたが。
  • URL
  • 2019/10/08 12:55
  • Edit

yspringmind

micioさん、こんにちは。相方さんは教会には関心がありませんか。私はイタリアに居る時は教会に、日本に帰れば神社やお寺に足を運びます。その国の文化、歴史の一部と思っていて、特に日本に帰る時には、何故もそんなにお寺や神社に行きたがるのかと姉に驚かれるほどなのです。ところでうちも相棒と私のペースが異なるので一緒にどこかへ行くと色々あるんですよ。ひとり旅に慣れ過ぎていのかもしれませんね、micioさんも私も。
ところで相方さん、ボローニャに来た時に新たな発見があったとのことですが、それが何なのか気になります。
  • URL
  • 2019/10/08 22:09

micio

相方の発見というのは、別に大したことではなくて些細なことなのですが、
街中に体重計があるのはなぜ?公開処刑用?
と私が聞いたら笑ってたりとか、まあそんなたわいも無いことです。
  • URL
  • 2019/10/13 05:44
  • Edit

yspringmind

micioさん、確かに外国人にとって街のそこここに体重計があるのは普通の風景ではありませんね。私がボローニャに来た時に最初に目についたのが旧市街のポルティコの下に置かれた有料体重計でした。
  • URL
  • 2019/10/13 17:09

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