古くて新しい

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スコットランド辺りに居た大きな低気圧が急降下しているとのこと。風に押されてぐんぐんとイタリアを目指しているそうで、今夜から明日にかけて雨が降り、その雨によって気温がぐっと下がるだろうと、天気予報の男性が話していた。この春辺りからイタリアの気候は支離滅裂で、もう大抵のことでは驚かない。イタリアばかりでなく、地球単位の問題かもしれない。何かちょっとへん。暑かったり寒かったり、7月らしくないじゃあないか、と溢す相棒は地震が起きなければいいけれどと言って話を締めくくった。確かに。夏は暑く冬は寒く、その合間に春と秋が存在する、ごく普通であって欲しい。普通であるということは大変有難いことなのだ、と今更ながら気が付いた。

旧市街の、塔のすぐ傍にあるRoxy Bar。モデナ生まれのロック歌手Vasco Rossiが歌ったVita Spericolataに出てきて一躍有名になったが、昨夏店を閉めた。それを買い取ったのが051。051とは数年前からボローニャ旧市街に飲食店を多数展開して上手くやっているグループ、みたいな存在。多くの人達が知らないだけで、あれもこれも051の手の下に存在する。それでRoxy Barだけど、彼らの手によって店名を変えることなく存続することになった。名前を変えなかったのは実に正しかった。何しろRoxy Barは、店に通うことはなくとも、ボローニャ人の心に深く植え付けられているからだ。多くの小さな店が消えていく今は、古い店の名が残るのは私達にとって嬉しいこと以外の何者でもない。
私がこの店に入ったのは一体何時のことだっただろうか。確か相棒と誰かと私の3人で、喉が渇いただか、小腹が空いたかで、此処に入ろうということになったのだ。やっと2000年になったばかりのことだと思う。店の中は案外古臭くてVasco RossiのRoxy Barをイメージしていたので少々拍子抜けだった。とは言っても実は私は彼の歌など聞きかじったことしかなかったので、勝手に作り上げたイメージだったと言ってよい。店の中は古臭かったが、店の人達は飛び切り感じが良かった。それから食前酒の時間帯は驚くほど沢山のつまみが用意されていた。気前がいいと言うのか何と言うのか。確かにボローニャの知人達に訊いても、彼らが若い頃にはよくこの店に通ったとのことだったけれど、成程、感じが良いからなのかと思った記憶がある。時は流れて、今のボローニャはこの手の店がひしめいている。何処へ行っても程度の良いいワインやカクテルを求めることが出来て、つまみがふんだんに用意されている。私がボローニャに暮らし始めた頃に比べたら、まるで違う街のようだ。こうした店が流行る時代になったのだ。けれどもどの店も似ていて、当惑している。もう少し特色があってもよくないだろうか。もう少し拘りがあってもよくないだろうか。Roxy Barは今も健在。古い名前の新しい店だ。願わくば、拘りを持って、昔ながらの気質を失わずにいて貰いたいものだ。

足の爪に色を塗った。赤ワインよりもさらに濃い赤。自分らしくないといえば自分らしくないような気もするし、ならば自分らしい色とは何だろうかと思えば思いつきもしない。夏だもの。サンダルを履いて、爪の色で遊ぶのもいい、と思っていたのに急に涼しくなってサンダルどころではなくなった。あはは。何時だってこうだ。私はサンダルと相性があまりよくないらしい。




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Via Valdossola

Roxy Bar 私も数回行きました。そうですか、人手に渡って、でも店名がそのままというのがホッとします。思い出と記憶が消されないで良かったです。
  • URL
  • 2019/07/15 08:18
  • Edit

yspringmind

Via Valdossolaさん、こんにちは。Roxy Barに行かれたことありますか。塔の下の一等地のバールですものね、やはり気になりますよね。陽と手に渡って少々雰囲気が異なりましたが、あの看板、あの名前がそのままで、ほっとしているのはVia Valdossolaばかりではないでしょうね。
  • URL
  • 2019/07/16 19:44

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