お洒落さん

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今日は朝から天気がいい。天気がいいのが一番の薬。風邪が治らず気が滅入っている私には、明るい空が良薬だ。菩提樹の葉の幾つかが黄色く染まって美しい。雨が降ったり空が晴れたりしているうちに、気付けばすべての葉が黄色く染まり、陽に照らされると金色に光って美いことだろう。それもあまり先にことではなく、次の週末くらいのことだろう。この辺りの木の葉は赤くならない。どれも黄色く染まるから、秋は黄金色と表現されることが多い。日本の紅葉を知らぬイタリア人に、どれほど美しいかを見せてあげたいといつも思う。そしてそんなことを言っている私とて、もう27年も日本の秋の美しさを目にしていない。いつかきっと紅葉の季節に帰省するのだと願って随分と長い年月が経ってしまった。月日が経つのは何とはやいのだろう。

昨日のこと。久しぶりにウィンドウショッピングを楽しんだ。買い物をする予定はないけれど、どんなものがあるのか、どんな美しいものがあるのか、眺めながらそぞろ歩くのが好きだ。何時も外から眺めるだけのエルメスのショーウィンドウには、こんな素敵なものをどんな人が着るのだろうと想像を掻きたてる男性向けのセーターが飾られていた。グレーのセーターには微妙に異なるグレーの小さな幾何学模様のような図柄が嵌め込まれている。何故か私は男性物に惹かれることが多く、それらが女性物でないことを残念に思うと同時に、ほっと安堵の溜息をつく。女性物だったら、欲しくてどうしようもなくなるだろうから。それにしてもエルメスのスカーフの色合いは、いつ見ても美しい。こんな美しい色のスカーフをさらりと首元やベルト代わりに腰に巻いている女性をたまに街で見かける。お洒落な人はボローニャにも案外いるのだと思う瞬間だ。ミラノのような大きな街ではないから限りがあるにしても、ボローニャにもお洒落さんが通う店は幾つかある。2年ほど前に移動して、現在は路地の角地に在る店がそうだ。高級店であることは外観から分かる。だから中に入っていく人は少なく、道を行きかう人達がそっと外から中を覗く。手で異なる布地を縫い付けたに違いない、色鮮やかな美しいコート。見入っていると横に40代後半くらいのふたり連れの女性がやってきて、同じようにコートに見入った。一体どれだけの時間を費やすのだろう。それがこの高価なコートの値段なのだと思えば、それほど高いものではない、と横のふたりが話しているのを耳にして、彼女たちはモノづくりを知っている人達なのだろうと思った。そのうち彼女たちは肩のラインの美しさを語り始め、ボタンの位置や大きさについて話が移っていった。どうやら彼女たちはモーダに携わる人達らしい。ショーウィンドウから離れていく彼女たちを後ろから眺めてみたら、実にシンプルだった。ただ、自分に合うものをよく知っている人達らしく、またどのように身に着けたらよいかを理解した人達によくある、ありきたりでない感じが素敵だった。街の中にはお手本になる女性が沢山居る。真似をしたいとは思わないけれど、彼女たちのそうしたお洒落心はとても勉強になる。お洒落で居ることは良いことだ。お洒落心を持つこともよいことだ。そうしたことが自分を磨くことになる。歳は誰もが必ず取る。昔のような若さによる美しさは失うかもしれない。でも、若いだけが美しいわけではない。本人の気持ち次第で何時までも美しく居ることは出来るのだ。と言うことを私はイタリアに来てから学んだ。とても良いことを学んだと思っている。若い時は何を着ても美しく見えるから、若い時代を通過したらばいかに自分を自分らしさを引きだすお洒落を楽しめるかどうかが分かれ道だ。これもイタリアに来てから学んだことだ。イタリアに暮らし始めてから、私は年上の人達と交流することが多くなった。私はいつも若手の方。年上の彼らや彼女たちを眺めながら、なんて素敵な人達と思いながら生活してきた。勿論そんな人達ばかりではないけれど、私はそうした良いお手本を眺めながら自分もそうでありたいと願ってきた。今自分があの当時の彼らの年齢になって思う。今の私はどうだろうか、と。そういうことを考えながら生活している間は大丈夫だろう。何時も自問しながらお洒落に目を向ける気持ちの余裕があるうちは大丈夫。そう思っている。

そんなことを考えたのも、週末にクローゼットの中を整理したからだ。春夏物を奥にしまって、秋冬物を引っ張り出した。昨冬の終わりにクローゼットの中のものを随分と処分したので数は少ない。それにしても何と言うこと。無難なものばかりで驚いた。これでお洒落でいたいと思うとは。この冬は少し遊び心のある、カッコいいものを入手したいと思う。退屈からの脱出だ。




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高兄

yspringmindさん、こんにちは

イタリアのデザインの源流と云うか

様式美は、世界でも一級ですね

色んな美しい意匠がありますが

私が、一番驚かされたのは

ワインのフルボトルのシルエット

これは、フランスのボトルのシルエットに比べて

断然、かっこよく、美しい(個人的感想)^^v

yspringmind

高兄さん、こんにちは。私は実はフランス物にも憧れるのです。イタリアもフランスもデザインと言う点に注目すると実に色んなことを発見します。特にイタリア。いかに美しく見せるかについて熟考しているように思います。それが高兄さんの言うワインボトルのシルエットにも通じつのかもしれませんね。あくまでも格好良く、と言うのがイタリア。可愛いという観念はあまりないようですよ。
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  • 2018/10/13 15:44

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