土曜日も早起き

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待望の土曜日。気分は9月最後の土曜日だが、カレンダーを確認したら最後の土曜日は来週だそうだ。もう幾度も土曜日を通過したように思うけれど、そうか、もう一度あるのかと知って、ちょっと得したような気分になった。その理由は分からない。根拠のないお得感だ。

髪を切りに行った。本当を言えば2週間も前に行きたかったのだが、何となく先延ばしにしていたのだ。数日前、重い腰を上げて店に電話してみたら、土曜日は既に予約が一杯だが、何とか時間を作ってくれるという。有難いことだ。ということで朝寝を楽しみたいのを我慢して、髪を切りに行った。旧市街の路地に在るにしては、この店に来る客は洗練されている。此処に来るたびに新しい驚きを見つけ、こうした人は一体どんなことに携わっているのだろうと思いを巡らす。今日もそんな人がひとり。右隣の席に座って散髪して貰っている男性だ。鏡越しに彼の顔を見る。50代後半か60代初めと言った感じの、しかし少しも疲れた感じのない、端まで計算されたような粋な男性だった。時々髪を切るのを止めさせて、此処はこんな感じに、と小さく注文を出す。私のように注文するのは長さくらいで、後はお好きなようにどうぞ、などと言うことは決してない。私は小さな興味を持った。それがとても微妙な注文で、へえ、こういうことに拘るのか、と感心だった。切り手も慣れたものだ。恐らくは店の常連で、月に一度か、もしかすればもっと頻繁に来る客なのかもしれない。私のように6週間ごとにしか足を運ばぬ客はこの店にはあまりいないらしく、左隣の女性客は店を出ていく時にこう言ったではないか。それじゃあ、来週の土曜日にね。毎週店に来る女性客。彼女のような客を上客と呼ぶに違いない。兎に角、右隣の男性が髪を切り終えて黒いマントをはらりと取り去ると、ああ、やはり洒落者であった。白いリネンの長袖のシャツ。袖を少しまくり上げて、首元のボタンをふたつ外した感じが素敵だった。裾は外に出したまま。そしてパンツの色はサーモンピンクだ。素足にベージュのモカシンシューズ。イタリアの男性はこうした装いが大好きだが、人によって印象が随分違う。彼について言えば、すっかり白くなった髪が更に魅力的に見えるように計算しての色選びだったに違いない。こういう人の奥さんは、夫を自慢に想うのか。それとも魅力的過ぎて、何時もやきもきしているのかもしれない。兎に角大変魅力的な男性に、店の誰もが注目していた。年齢を重ねた素敵な人が沢山存在することを、私はとても嬉しく思う。気持ちにもお金にも若い時より余裕が持てるようになった年齢の人達がお洒落を楽しんだり、人との交流に期間を費やしたり、旅行をしたり。昔は年を取ることを残念に思っていたけれど、今の私は昔よりもずっといいと思う。自分らしさが分かるようになったし、何をしたいかが分かるようになった。周囲の人に対する気持ちの余裕も持てるようになったし、自分のことをじっくり考える余裕もある。アメリカに居た頃は楽しかったけれど、私は自分のことで手いっぱいで、それに自分のことをじっくり考えることもなかった。我武者羅で無我夢中で、鉄砲玉のようだった。少しは成長したと言うことか。しかし随分と時間が掛ったものだ。

新宿中村屋のカリーあられの最後の一袋が終わった。ボローニャへと発つ日、空港で見つけて大袋を抱えて帰って来たそれは、中に小袋が幾つも入っていて、気が向いた時に封を切ってちょっと摘まむのに最適だった。それに予想していた以上に美味しかったから、もっと沢山購入すべきだったと思ったものだ。貴重なあられ。相棒に、くれぐれも気安く食べないように注意しておいたけれど、気が付けば一袋しか残っていなかった。相棒よ。食べたね。うん、ごめん。そう素直に詫びられると困ったもので、だから最後の一袋はふたりで半分こ。3年後に帰省した時には大量に購入することにしよう。しかし、3年後かあ。随分と先の話だ。




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