独り言

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夕方の心地よい風。昼間の暑さが嘘のように、柔らかな、冷たすぎない風が肩を、腕を撫でていく。20時にもなると空はすっかり群青色で、もう少し前のような、夏の晩の賑やかさはない。ひっそりと影を潜めてしまった、とでも言うように、バールやカフェの外で賑やかにお喋りする人はまばらだ。私が帰省している間に成長したバジリコ。夕食時に摘んでは料理に使っているけれど、到底追いつけない、森のように茂ったバジリコが夕方の風に揺れるのを眺めながら、私達はいったい幾つの9月をイタリアで過ごしたのだろうと思う。指を折って数え始めたが、もうそんなことはどうでも良くなって止めてしまった。大切なのは私と相棒が此処での生活を幸せに感じていることで、幾つの9月を通過したかは重要ではない。幸せに感じ始めたのはつい数年前くらいからだろうか。それより前は幸せではなかったというよりは、幸せに気付く心の余裕がなかったのかもしれない。それとも幸せの枠が広がったのだろうか。何にしても、今が良ければ過去のことは、もういいじゃないか、と思うようになった。

良いキノコがが手に入ったので、夕食にキノコのパスタを作った。たっぷりのキノコに大蒜を二片ザクザク刻んで、それから先日青果店でひと掴み分貰ったペペロンチーノのひとつの半分を刻んで入れた。もう半分は数日前にやはり刻んでパスタに入れたが少しも辛くなくてがっかりだった。何だ、辛くないじゃないか、と憤慨したものだ。その辛くないペペロンチーノを終わらせるべく、残りの半分を刻んで入れたのだが、白ワインで乾杯して、さて、とパスタを口に入れてみたところ、ひゃーっ、辛い辛い辛い辛い。久しぶりにこんな辛い料理を食べてしまい、咽たり咳込んだり涙を流したりで大騒ぎだった。しかし大騒ぎしたのは私だけで、辛いのが大好きな相棒は、何処吹く風。ああ、君には少しから辛かったかもね、などと言いながら山のようなパスタをぺろりと平らげた。味見の段階ではわからなかった此の辛さ。一体どうしたことだろう。明日、青果店の店主にあったら恐ろしく辛かったと報告しよう。きっと店主は言うだろう。シニョーラ、ペペロンチーノとはそういうものですよ。辛いからこそ良いのですよ、と。

走る、飛ぶ、活動的なりす。テラスの前の菩提樹の枝の間を自由に動き回る姿を羨望の目で眺める猫。外の世界が羨ましいのかと外に出そうと試みたこともあったが、せいぜいテラスがいいところで、玄関のドアを出る勇気はないらしい。昔、ローマでイタリア人たちと共同生活をしていた時に居た血統書付きのタイ出身の猫は、隙あらば玄関のドアから脱走して大騒ぎだったというのに。猫にも様々な性格があるのだなあ、と今更ながら驚くのだ。




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