旧市街へ行こう

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昨晩は、どのようにしてベッドに潜りこんだのかも覚えていないほど、くたくただった。疲れと赤ワイン。僅かグラスにほんの少し注いだ量の赤ワインが、此れほど眠気を誘うなんて。そういえば、暫くワインから遠のいていた。特に赤ワインから。何しろ毎日うだるような暑さだったから、血液循環をよくする赤ワインを避けていたのだ。なあに、秋になったら幾らだって楽しめるから、と思って。2か月ぶりくらいだっただろうか。身体が赤ワインを忘れてしまっていたのか、久しぶりのそれにびっくり仰天したのかもしれない。そういう訳なので、久しぶりに深い眠りについた。暫く眠りが浅くて、眠りが短くて、少々困っていたから、恵みともいうべき深い深い眠りだった。愛すべき赤ワイン。

そういう訳で今朝の目覚めは最高だった。よく眠った、という満足感。朝食を、猫は辛抱強く待っていた。ゆすり起こすこともせずに、寝室の入り口に辛抱強く座って待っていた。そんな猫の為に朝食を用意して、そして自分の為にカッフェを淹れて、数枚のビスコッティと果物の朝食を楽しんだ。空が青い。窓から流れ込む風は涼しい。このところ外出が億劫になっている自分に辟易していたから、今日は良いチャンスかもしれない、と、重い腰を上げて外に出た。家のことは帰って来てからすればいい。さもなければ明日に回したって、誰に文句を言われるでもない。

なかなか来ない13番のバスに乗ったのは、待ち始めてから20分も経ってからだった。その間、停留所の背後にある床屋の店主と世間話をした。夏休みは何処へ行ったとか、立ち仕事は腰が痛くならないのかとか、2週間日本に帰ったらすっかりイタリア語を忘れてしまって困っているとか。やっと来たバスに乗りこんで、バスの中から店主に手を振った。店主は長い話に終止符を打つことが出来て、きっと胸をなでおろしたに違いない。
旧市街では七つの教会群界隈で骨董品市が開かれていた。まだずっかり休暇から戻りきっていない感じで、人はまばら、店もまばらだった。だが、私はこんな閑散とした感じが好きだ。だいたい私は人混みが苦手なのだから。この夏、東京の人混みの中を歩いた時のことを思いだしながら、よくも目が回らずに、人にぶつかることもなく、前に歩くことが出来たものだと思いだしてクスリと笑うと、通りすがりの人が私を見て笑った。思いだし笑いを見られてしまった時の恥ずかしさ。全くもって恥ずかしかった。骨董品市の中で見つけたネックレス。赤い珊瑚の長いネックレスだ。ボリュームがあって美しい。どんな人が買い求めるのだろうと思いを巡らせた。そういえば数年前の冬、バスの中で銀色の真珠のネックレスを身に着けた年配の女性を見つけた。小粒の真珠だが何重にもなっていて、魅力的で美しくて見惚れてしまった。良く似合いますこと、と称賛の声を掛けると彼女は小さな子供の手を、恐らく孫に違いない男の子の手を握りながら、嬉しいと喜び、これが似合う女性になりたいと願っていたけれど、今まで誰も言ってくれなかったと言って笑みを湛えた。お洒落心は幾つになっても持っていたいものだ。私もそんな女性でありたいと思ったものだ。私が真珠のネックレスをすることはこれから先もないかもしれないけれど、私には私に似合うお洒落がある筈。別に真珠である必要はない。更に珊瑚は輪をかけて縁がない。眺めるだけ、目で楽しむだけだっていいだろう。久し振りの骨董品市は楽しくて、家具を鑑賞したり絵画をながめたり古本を手に取ってみたり、たっぷり2時間も楽しんだ。
土曜日の楽しみ。旧市街を散策する楽しみを夏の間やめていたのは暑さのせいだ。とても外に出掛ける気になれなかった。しかしそろそろ良いだろう。良い気候になったところで、平日の仕事帰りの寄り道も始めようか。

今夜はパスタ。ズッキーニとパンチェッタと大蒜のパスタ。日本の食事も大好きだけど、私はイタリアの食事も大好きだ。イタリアに暮らすことになったのは予定外だったけれど、食生活の点からいえば実に運が良かったと思っている。




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すぷーん

「私が覚えている日比谷界隈はなく、私は新しい大きな水槽の中の
 小魚のような気分になった。新しい街。。。」

この感じよくわかります。自分が持っていたニュアンスまで消えている。
この夏チューリッヒの友を訪ねました。 行かれたことありますか?
戦争をしない国は、途切れることなく数百年のスッキリした美しい  
建物で現代の生活が続いている。それを羨ましく思いました。
きょうの写真 好きです  こういう場所で本を見て歩く生活も。
赤が美味しい季節になりますね!
  
 
  • URL
  • 2018/09/08 20:28
  • Edit

yspringmind

すぷーんさん、こんにちは。言わんとしているこの感覚を分かって貰えて嬉しいですね。ありがとうございます。ところでチューリヒはまだ足を延ばしたことがありません。途切れることなく数百年のスッキリした美しい建物で現代の生活が続いている、というのがとても魅力的に感じました。戦争をしない国。それは素晴らしいことだと思いますよ。羨ましいですね。隣接している国なのになぜか遠く感じるスイス国。一度は訪れたい国のひとつです。
  • URL
  • 2018/09/09 21:02

moonriver

こんにちわ!

すこしづつ秋めいてきている今日この頃ですね。私は「女心と秋の空・・?!笑」状態です。



写真いいな~好きですよ、こういうのも(*´з`)

ゆっくりじっくりお気に入りの逸品が見つかるかもしれないしね!昔~フィレンツェでちょっと雰囲気のある小物や部屋に飾ると素敵なランプ、古本、などなど、探すのがたのしみでした。
珊瑚のネっクレス・・私も前々から欲しいとおもいつつなかなか・・・

ではまた!(^_-)-☆

 
  • URL
  • 2018/09/15 06:04

yspringmind

moonriverさん、こんにちは。夏と秋を行ったり来たりしているボローニャです。気温は再び高くなりましたが、しかし風は違う。もう夏の其れではありませんよ。
何を買い求めるわけでもありませんが、こういう場所を見て歩くのが大好きです。昔は気前良く購入していましたが、最近は家に物が溢れるのを防ぐためにも、あまり買い物をしないようになりました。見て楽しむ、手に取って楽しむ。そういうのを大切にしています。次の骨董品市は10月13日ですよ。
  • URL
  • 2018/09/15 15:49

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