素敵な人

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ピアノーロ。ボローニャ郊外の丘の町で、数年前まで私と相棒が住んでいた場所だ。ピアノーロの家を去りボローニャに戻ってからすでに4年が経つけれど、今でも姑が住んでいることから、私達の中のピアノーロは今でも現在進行形だ。そのピアノーロのある場所で第二次世界大戦時の不発弾、それも随分と威力のある大きいやつが発見された。それを本日処分すると言うことで、7時から14時までの通行止め及び住居からの撤退が命じられた。避難所が設置さたが到底入りきる住人数ではない。そして例えば姑のように健康上の理由で住居から離れるのが困難な人も沢山居る。と言うことで、相棒は姑の為に住居に籠る許可書を医者に求め、早朝から姑の家に缶詰だ。大戦中、この辺りからトスカーナ州境に沢山の兵士が分散していたと言われるが、こんなことがある度に成程と思う。よくあることなので今回も無事に終了するに違いないが、やれやれ、そういう訳でうちは日曜日だと言うのに早朝に起床して大騒ぎだった。

降りそうで降らない雨。今日もそんな風に一日が始まった。まだ夏物を身に着けているが、しかしもう肩を出すような気温ではない。時にはカーディガンのような羽織物が必要になる。まるで9月下旬のような涼しさだ。日本から戻り、仕事に戻るとボローニャのリズムに戻る。仕事帰りに旧市街に立ち寄れば、残りをすべて埋め尽くして100%いつもの自分だ。ポルティコの下を歩きながら、夏の休暇からやっと戻って久しぶりに開いた店先を眺める。まだ夏物をばかり。しかしこんな涼しさだから直に初秋向けの物も置かれるだろう。私の好きな店は8月の間は改装工事中で、9月からとのことだったから、多分来週辺りには秋物を並べて新装オープンだろう。サルディの時期以外に世話になったことの無いこの店だけど、ちょっと興味があるので立ち寄ってみようと思っている。と前方に女性。少し先の方から素敵な感じの女性が歩いてくる。白いスニーカーを素足で履く彼女は白いシャツに良い色合いのグリーンのさらりとしたカーディガン、そして足首の出る丈の明るいグレーのパンツを履いて、短い髪に黒いサングラスが良く似合っていた。文字にしてみれば実にシンプル極まりなくて、何がどう素敵なのかを書き表すのは難しいが、彼女は確かに素敵で、すれ違う誰もが一瞬振り向かずにはいられなかった。彼女は、私達のクローゼットの中にあるごく普通のものを、此れとあれと、此れ、と簡単につまみ出して上手に組み合わせることが出来る才能のある人なのだろう。高価なものは無くてもよいだろう。素材と色合い。他には何が必要なのだろう。着る本人の心意気だろうか。私は彼女が横を通り過ぎる時に、彼女の表情を眺めながらそんなことを考えた。その瞬間、彼女は私に振り向いて口角をキュッと上げた。サングラスの為に目の表情は分からないが、口元でわかる、彼女は楽しそうだった。彼女が素敵に見えるのは、彼女のそのセンスばかりではなく、彼女の気持ちなのかもしれない。既に横を通り過ぎて遠ざかる彼女の後姿を眺めながら、うん、やはり彼女は素敵だ、と思った。こんな人が時々いるのがボローニャ。やはり私はボローニャが好きだ。

飛行機に長時間座っていたせいだろう、背中から腰、そして左足が異常に痛い。帰省するたびにこんな風になるのかと思いやられる。そして、何歳までこの長旅を続けることが出来るだろうかと思った。何時か11時間の飛行に耐えられなくなる日が来るかもしれない。それとも時代が変わって5時間飛行で日本に帰ることが出来る日がやって来るのだろうか。そうであればいいけれど。そうなってくれればいいけれど。




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micio

yspringmindさん、こんにちは。
去年のクリスマスにミラノのレストランのトイレに入っていたときに、個室から出てきた女性が凄く素敵で、目があったときにニコッと笑いかけてくれたので、
"あなたのベリーショートの髪型は素敵ですね"
と言ったら嬉しそうに髪の毛を見せてくれて、切り方を説明してくれたのですよ。
彼女の姿も素敵だけれども、笑顔を見せてくれたのが1番素敵だったのかもしれません。
こんなことが自然にできてしまうイタリアやイタリア人が好きですね。
残念ながら、東京ではできないです。
  • URL
  • 2018/09/04 09:40
  • Edit

yspringmind

micioさん、こんにちは。イタリアでは素敵なことは案外、それがたとえ見知らぬ人であっても声を掛けて褒めることが多いですね。だから、褒め上手さんも多ければ、褒められ上手さんも多いです。
ミラノの人は案外気さくなんですよ。あんな洒落者の多い街で、さぞかしツーンと澄ましているかと思えば、生粋のミラノの人であればあるほどとても気さくなようです。これは私が感じた印象でしかないかもしれませんけれど。
日本に帰省した時に、素敵な人が居たので思わず声を掛けて褒めたのですが、褒められたことがあまりないのか、それとも日本ではそういうことは言わないのか、兎に角、相手は驚きで口が利けないようでしたよ。みんな、もっと褒められ上手になればいいのになあ、と思いました。そして皆が人を褒めるようになればいいのに、とも思いましたよ。
  • URL
  • 2018/09/06 21:20

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