根津を歩く

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私が日本について知らなかったことは山ほどある。私はいったい何年日本人をしていたのだろう、と首をかしげてしまうほど。そのひとつが根津界隈のことで、数年前から友人がその界隈に暮らすようになったことで初めて訪れる機会を得た。東京のことはよく知っているなんて思ったことはない。私はいつだって知っている場所は本当によく知っていて足しげく通うのだが、行かない場所は人が驚くほど、そこを大きく跨いで行ってしまう癖がある。それはイタリア居ても同じことが言えて、ボローニャほどの規模の街でありながら、知らない場所は徹底的に知らぬ。これが私なのだ。

さて、遂にやって来た好機会は暑い日で、小さな日陰を見つけるのも大変だった。私のために真昼間に外に出てきてくれたのは友人。6年前の夏にリスボンで出会った女性。人生というのは不思議なものである。こんな風に同じ時、同じ街に居なければ私達は一生知り合うこともなかっただろう。私の希望を叶えるために昼前の、太陽が頭上から照り付ける時間に私を迎えに来てくれた。美味いうどんを食し、路地から路地へ。そして根津神社。そしてまた散策。初めての根津界隈は小道が沢山あって、迷路のようだった。私は歩き続けたかったが、そうしなかったのは友人をそれに巻き込みたくなかったからだ。こんな暑い夏にやってきて、炎天下を歩き回るなんてことを彼女に課せたくなかったからだ。それから私自身のためにも。どこかで自分を制さなかったら、私は際限なく歩きまわり、その晩寝込んでしまうに違いなかったから。程々に、というのが最近の私のルールで、もう少し、と思うところで止めておくのが丁度良い。しかしそんなだから、私の根津界隈散策は心残りで、あと数回足を運ばねばならぬだろう。ところで昼食場所に選んだ釜揚げうどんの店は素晴らしかった。大テーブルに知らぬ人同士が相席するのも素敵だったし、もっちりとした胡桃豆腐も揚げたての特製薩摩揚げも、そして当然ながら釜揚げうどんも飛び切り美味くて、もう一度来たいと思った。今度は晩に。美味しいお酒を頂きながら。秋の美しい月などを眺めながら。友人がこの場所から引っ越してしまわぬうちに。

私の日本滞在はなかなかうまくいっている。どれひとつ取っても自分を取り囲む人たちの好意によるもので、それ無しでは上手くいかなかったことばかり。イタリアに帰るまで、まだ数日ある。また暫く帰ってこれないだろうから、存分堪能しておこう。そうすれば、またボローニャで頑張れるに違いないから。




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  • 2018/08/22 12:56

yspringmind

鍵コメさん、こんにちは。素敵な情報ありがとうございました。
このあたりへ行ったことは一度もなく、実は鍵コメさん同様、私もあまり惹かれるものはないというのが本当のところですが、しかしですよ、ちょっと検索してみたら、何やら素晴らしい店のようですね。残り数日ですが時間を作り出していっていたいと思います。知らないことは沢山ありますね。人から教えてもらうことばかりです。
  • URL
  • 2018/08/23 14:46

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  • 2018/08/24 02:43

yspringmind

鍵コメさん、残念ながら時間切れで次回のお楽しみになりました。今回は鰻にありつけず。まあ、ほかの美味しいをたくさん堪能したので良いとしましょうか。私も川魚に小さな偏見というか先入観があります。それを打ち破るごとく、次回はまず先にこの店に行ってみたいと思います。その前に姉に現地視察に行ってもらいましょうか。姉は美味しいものに目がないのですから。あははは。
  • URL
  • 2018/08/25 08:45

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