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日曜日に雨が降った。此れはあって欲しくないことのひとつ。特に10月1日。多くの人がローマ法王のボローニャ訪問を楽しみにしている日曜日だ。恐らくは、法王が通る道沿いにその姿を一目見ようと多くの人が待っていたに違いなく、そうした彼らの為にも雨は降ってほしくなかった。私は、法王の姿を見に行くつもりはなかったし、それに風邪が悪化して扁桃腺を腫らせたから、家から一歩だって出る予定はなかった。でも、実を言うならば、私は現在のローマ法王であるフランチェスコさんの柔和な表情が大好きで、一目その笑顔を見たかった。法王の存在に関しては、そして法王の人選に関しても、様々な意見があるけれど、私はそういうことを全て飛び越して、フランチェスコさんの柔和な表情が好きなのだ。見ているだけで気持ちが穏やかになる、そういう表情を持つ人は、それほど多くはないだろう。

ローマに行ってしまった私をよび戻すために、相棒がふたりで暮らすためのアパートメントを旧市街の近くに借り、私達が此処で新しい生活を始めたのが10月1日だった。がらんどうのアパートメントを借りた。内装工事を自分たちでする契約を数か月前に済ませて、相棒が少しづつ手を加えたアパートメント。契約時にはキッチンの流し台も、電球のひとつすらついていなかったけれど、ローマから帰って来てみたら、キッチンには流し台とオーブン付きガス台、冷蔵庫が設置されていたし、アメリカから持ってきた使い慣れたテーブルや椅子が置かれていてほっとした。ベッドがなかったから大急ぎで近くの大型店に足を運び、ついでに洗濯機を購入すると、最低限の生活の準備が整ってほっとした、そんな日であった。ボローニャに帰ってきた日は晴天だったのに、翌日から雨になった。そして来る日も来る日も雨で、ようやく雨が止んだのは私がぼろーぬあに再び腰を据えてから10日も経った頃で、私はひとりで仲間が沢山いるアメリカの海の街へと発つ日だった。相棒が一緒に発たなかったのには何か訳があっただろうか。あの日から21年経った今はいくら考えても思いだせない。でも、覚えているのはボローニャを発った日と、3週間後に帰って来た日は、驚くほどの快晴だったことだ。あれほど毎日雨が降っていたのが嘘のように。あの秋は楽しかった。相棒と再びふたりで暮らし始めた秋。再びスタート地点に戻ってボローニャの生活を始めた秋。
この秋は雨が少ないことを願う。きのこが沢山生えなくたっていいじゃないか。晴天の秋であって欲しい。そうして明るい秋を楽しむために、外にどんどん出て歩こうと思う。そのためにも早く風邪を治さなければ。扁桃腺など腫らせている場合ではない。

窓辺にたたずむ猫が私の問う。外の木の枝にとまっている鳥たちは、何故飛ぶことが出来るのか。自由に飛び交う鳥たちを目で追うその様子は、私の猫もいつか飛びたいと願っているかのようだ。私が幼少の頃、空を飛びたいと願っていたように。青く高く澄んだ空を飛び交うツバメのように。




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