歩く

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土曜日。張り切って起きたのは、旧市街に行こうと思ったからだ。いつもの生活に戻った途端に歩く量がぐっと減ってしまったから、せめて土曜日は歩きやすい靴を履いて散策をしようと思っていたのだ。天気予報は快晴。実際、起きて窓の外を覗いてみたら、空が青かった。ちょっと予想していたよりも外気は冷たかったけれど、それも散策には都合が良かった。簡単に朝食を済ませて家を出た。バスは随分来ていないのか、停留所に人が溢れていた。隣に立っていた老人が私に話しかける。どうしてイタリアはこうなんだ、大体イタリアは善人に優しくない、と。老人にしては背が高く、しゃんしゃんした、洒落た装いの彼は、どうやらイタリア国に不満があるらしい。外国人の私を見つけたので、その不満を訴えたいようだったが、丁度バスが来たので、その話はおしまいになった。バスは満員となり、私はひとり停留時の残った。別に急いでいるわけでもない。それよりも私は人混みが嫌いだ。例えば混んだバス。例えば混んだ電車。満席の飛行機も嫌いだけど、これは仕方がないと諦めることにした。その代わり、急いでいないときはこんな風にバスを見送る。どうせ直ぐに来る。無理して乗る必要はない。果たして次のバスは3分もしないうちにやって来た。前のバスに皆乗り込んだらしく、バスは驚くほど空いていた。

第2週末の今日は、七つの教会群の前の広場で骨董品市が開かれていた。8月はやっていなかったこの骨董品市。毎年夏場はやらなかったり出店が極めて少なかったりするものだが、楽しみにしていた人には残念だったに違いない。近頃、骨董品市の店の配置が微妙に異なって、そのせいなのか、見て歩くのがとても楽しい。何処にどの店が在るかわかるのは便利でよいけれど、何処に行ってしまったのかと探しながら歩くのは楽しいものだ。そうしてようやく見つかると、ああ、此処に居た、などと旧友にあったような気持ちになる。いつものように見て歩くだけ。今のところ、家に置く骨董家具や絵画を増やすつもりは、ない。
天気が良いせいか、それとも子供たちの学校が遂に来週の月曜日から始まるせいか、親子連れでショッピングをする姿が多く見られた。スニーカーを新調してもらう男の子たち。鞄を買い求める母娘。それから残りの休みを満喫するかのように、細身のジーンズを綺麗に履きこなした、髪の長い女の子が幾人もつるんでウィンドウショッピングを楽しんでいたり、兎に角町は大賑わいだった。私はその混雑の中を歩いて、歩いて、兎に角歩いた。そして相棒に頼まれた、パンを買い求めて、途中でバールで冷たい紅茶を頂いて、小さな菓子をつまんで、格好いいスニーカーをガラス越しに見つけて、気温が上がり始めて汗ばんだところで帰りのバスに乗った。大層、運動不足だったらしく、くたくただった。たったの2時間歩いただけで。何だかがっくりだったけど、少しづつ少しづつ、歩く習慣を取り戻せばいい。これから気持ちがいい季節だから、仕事帰りに歩くのもいいかもしれない。

今夜はきのこのパスタにしよう。新鮮なきのこが手に入ったから。私と相棒の好物だから。ひと足先に秋。




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