夕立

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近頃、仕事帰りに寄り道をしていない。理由のひとつは酷い暑さだったから。とても寄り道したり、ぶらぶら歩きを楽しんだり、ウィンドーショッピングを楽しんでいる場合ではなかったのだ。それではここ数日の、一頃に比べたら断然涼しくなった夕方はどうかと言えば、やはり寄り道を楽しんでいない。今にも夕立になりそうな空だったから。一刻も早く家に帰るのが得策のような気がしたから。今日だってそうだ。目を丸くしてしまうほど涼しい夕方で、いつもならば散策をしたいところだけれど、向こうの空が真っ黒で、今にもその雲が頭上を覆って雨が降り出しそうだった。向こうの空とは、私の家がある方角だ。不思議なことに、その界隈は良く雨が降るのである。喜んでいるのは植物だけ。住人たちは、雨がよく降ることをあまり好ましく思ってはいない。
パン屋に立ち寄りたいのも止め、購入して置いた食べ頃のメロンと一緒に頂く生ハムを買い求めるのも諦め、真っ直ぐ家に帰ったところ、鞄を置いてテラスに通じる大窓を開け放ったところでひゅーっと音を立てて風が通り過ぎた、と其の直後に大雨になった。猫を抱きかかえて窓辺に立った。風向きが変わり、雨が窓ガラスを叩いた。傘を持たずに出かけた隣人たちが雨の中を走る姿を眺めながら、運が良かったと思った。寄り道もできなかったし、美味しいものも手に入れなかったけれど。雨とは言うが夏のそれは明るくて悲しい印象はこれっぽっちもない。雨は嫌いだけれど、夕立という言葉は好き。これに関しては子供の頃から少しも変わっていない。
雨に濡れて光る緑。夏色と呼ぶのが相応しい。




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