陽気な人たち
- 2017/05/21 22:24
- Category: bologna生活・習慣
風が吹いている。強い風だ。尤も、風が吹くのは毎日のことで、この辺りでは珍しいことではない。丘が近いからかもしれない、と言ったのは誰だっただろうか。毎晩、窓の外でゆらゆら揺れる大木の枝を眺めるのがいつの頃からか習慣になった。明るい月夜はそうでもないが、今夜のような月が細って光を放たない晩は、小さな不安が芽生える。昔、私が住んでいた辺りでは、夜に風が吹くなど冬と春先くらいにしかなかったから。別に不安に思うことなどなどひとつもないのに。
今週末は5月らしい快晴でご機嫌だった。ご機嫌だったのは私ばかりでなく、道行く人も、バールに集う人も、それから通り過ぎていく車たちも。パパーッ、とクラクションを鳴らしながら走る車をいったいどれほど見ただろうか。どうやら結婚式を挙げたらしく、式に参列した人々や、関係ない人たちにしても、陽気なクラクションを鳴らして走った。幸せな人々を囃したてるクラクション。そうしては通行人たちが甲高い口笛を吹き、なんだかんだと歓声を上げる。この国の人たちが陽気な時は果てしなく陽気だ。悪いことではない。楽しいことや御目出度いことをとことん堪能することを知っている人たち。特にこんな良い季節は、誰もが陽気になっている。こういう時は便乗するのがいい。他人のことだけど、知らない人たちの結婚式だけど、お祝いの言葉のひとつも言いながら、新郎新婦の乗る車に向かって手を振る。そういえば6月末は相棒と私の結婚記念日。結婚式らしいことはしなかった。素敵な食事会もなかった。シティホールでの簡単な誓いだけだったけれど、でも24年。思いのほか長く続いた。旧市街の気に入りのカフェ・ザナリーニ。ショーウィンドウに並べられた美しい菓子を眺めながら、そんなことを思う。実際、こんなに長く続くとは、私たちの仲間は、そして私たち自身も、思っていなかった。爽やかなスパークリングワインで乾杯でもしようか。それとも、それとも。
明日はもう月曜日なのかとため息をつく。最近毎日が超特急で過ぎていく。この調子でいけば、あっという間に夏の休暇がやってくるに違いない。
つばめ
センスのいい夢の世界のようなケーキですね。これは、マジパン?のケーキでしょうか。
6月のお祝いおめでとうございます。