3連休

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さあ、3連休だ。そう思いながら目を覚ました。そういえば昨晩も同じようなことを考えながら、眠りについた。近年、祝日が土曜日、日曜日に重なることが多かったイタリア。振替休日などという洒落たものは存在しないので、こうした3連休は実に嬉しい。嬉しい嬉しいと思っていると、益々嬉しくなるものだ。だから、昨日からうっすらとした頭痛が続いているものの、気分は上々。猫もそれに気づいているらしく、若しくは嬉しい気分が感染したのだろうか、兎のようにぴょんぴょん跳ねながら足元に纏わりつく。
時間を気にせずにゆっくり朝食をとる喜び。朝食は一日の元気の源。これを抜いては私の一日は始まらない。時々、朝食は食べないという人に出会うけれど、私は朝食を抜いたら一日が台無しになる。それから、旅先などでホテルの朝食もよいけれど、出来ればアパートメントを借りて、ぼさぼさ頭のパジャマ姿で、自分が丁寧に淹れたカッフェに温かい牛乳をたっぷり注いでビスコットを浸しながら、のんびり朝食をとるのがいい。何時だか何処かの店の人にそんなことを言ったらば、ああ、分かる、それが一番、と同意してくれたけれど、あれはクリーニング屋の女主人だっただろうか。

3日間、したいことを存分しよう、と考えていた。機嫌のよい猫をたっぷりと可愛がり、それから家じゅうの気になっていたことをやっつけて、外に出たら既に午後の2時になっていた。空は相変わらず明るいが、風は意外なほど冷たかった。5月を目の前にしてこんな気候とは、いったいどうしたことだろう。道行く人たちは、まるで風邪を引くくらいなら格好が悪い方がずっとまし、とでも言うように、冬のジャケットを着こんで首にスカーフを巻き付けていた。いつもならば私が一番着込んでいるけれど、今日に限っては違うらしい。誰もが着込んでいて、私の厚着は目立つこともない。
旧市街へ行ったのには理由があった。カッフェを淹れる道具の取り換え部品を購入したかったからだ。この道具というのは、俗にモカと呼ばれるもので、大きいものから小さいものまで、そして色んな形のものがある。うちにあるのはスタンダードの形のもので大きいのから小さいのまで、多分5個くらいあるはずだ。でも、毎日使っているものは一番小さい、小さなカッフェ用のグラスに2杯分のもので、少なくとも24年は使っている。それほど長く使い続けられるのは、取り換え部品なるものが店で売られているからだ。取っ手が火にあぶられて変形してしまったら取り換え、接続部分のゴムが古くなれば取り換え、フィルターの役目の果たす金属の小さな穴がどう綺麗にしても詰まっての手におえなければ取り換え、だから、古いからと言って、ぽいっ、と捨てるなんてことはないのである。きれいに磨いてずっと使い続ける。決定的に壊れるなんてことは無いであろう、このモカは、多分私と相棒とこれからもずっと付き合い続けるのだと思う。さて、ボローニャ旧市街の大通りに、うちにあるモカのメーカーの店がある。数年前そこに路面店ができて大変重宝しているのだ。さて、店は驚くほど混雑していた。一部の商品を大幅割引しているからである。その対応に店員が追われているから、店の人と話をするまで随分と待たねばならなかった。小さいモカの接続部分のゴムが欲しいと言うと、店の女性が2種類見せてくれた。どちらも小さいモカ用だが、若干異なっているらしい。これは一番小さいモカ用。これが若干大きいモカ用。と、言われて、うーんと唸ってしまった。小さいモカは1種類しかないと思っていたからである。店の人は、モカの胴体に何か書かれていた筈だと言った。ほら、こんな風に、と店にあったモカを取り出して見せてくれた。それで私は困ってしまった。うちのモカには何も書かれていない、何しろもう20年以上使っているから文字など消えてしまったのだろう。私が困った顔でそういうと、彼女は、それではシニョーラが使っているモカはこれです、もうひとつのは数年前に発売されたばかりの新サイズですから、と言った。こうして私は取り換え部品を手に入れた。彼女は私に釣銭を渡しながら、それにしても20年も使っているなんて、と言った。だから、正しくは24年以上使っていること、古いけれど気に入っているから、色々取り換えながらこれからも使うことを釣銭を財布の中にしまいながら答えると、モカは古ければ古いほど美味しいカッフェを淹れられます、家にもそういうのがあるんです、と彼女は出口に向かう私に言った。振り返ると彼女はとても嬉しそうで、ああ、彼女も古いモカを大切に直しながら使っているひとりなのだと思った。

家に帰ってきたら、テラスの真ん中にバジリコの鉢植えが置いてあった。随分前にバジリコの苗を購入したが、大きな鉢に植え替えする時間がなくて放っておいたところ、すっかり元気がなくなっていたそれを、どうやら相棒が植え替えてくれたらしい。たっぷり水をくべられた柔らかい黒い土。見違えるほど元気を取り戻して、バジリコの濃い緑の葉がピカピカ輝いていた。




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コメント

こんにちは、yspringmindさん。
今日は暑かったです。
休みほどうれしいことはないですね。
コーヒーおいしそう。
ふだん、紅茶を飲むのですが、昔飲んだ喫茶店のコーヒーは、酸味とコクがあっておいしかったです。
道具が古い方が、いい味になるって、おもしろいですね。24年もの、いいですね。
ところで、エスプレッソはほんとにキュッと飲むのですか。

2017/04/30 (Sun) 11:59 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。えっ!暑かったんですか。羨ましいですねえ。こちらは5月にしては寒くて、セーターなんて着ていますよ。休みは、やっぱり嬉しいですね。そう感じる心は健全です。今ではカッフェ(エスプレッソ)が当然になりましたが、2年に一度日本に帰った時、珈琲専門店が丹念に淹れたコーヒーを頂くのが本当に楽しみなのです。イタリアのカッフェとは違ううまさ。拘りも感じます。ところでイタリアのカッフェは確かにきゅっと飲みます。私はふたくちで飲み干しますが、ほかの人はどうなのかしら。

2017/05/01 (Mon) 13:36 | yspringmind #- | URL | 編集

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