情熱

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気温が随分上がったようだ。なのに以前と同じように寒さを感じるのは、多分湿度のせいだろう。話によれば明日から数日雨が降るらしい。えー、雨かあ、と残念がる私を、知人が窘める。纏まった雨が全然降らなかったのだから、必要な雨、恵みの雨だ、と。確かにしばらく纏まった雨が降っていない。恵みの雨とはよく言ったものだ。これでは私も文句の言いようがない。

仕事帰りに、靴の修理屋さんへ行った。数日前に持って行った靴を引き取るために。気に入りの靴とは言え、此ればかり履いているものだから随分と傷んでしまった。持ち込んだ靴を見せながら踵の部分のゴムの取り換え、爪先の部分に滑り止めのゴムをしっかり張り付けて、それからぐるりと取り囲む底の部分が傷だらけだから何とかしてほしいと説明する私に、店主が頷きながら、任せてくださいよ、と言ったのは一昨日のことだった。そうは言っていたけれど、あんなに傷だらけでは、彼もお手上げではあるまいか。あまり期待せずに引き取りに行ったところ、驚くほど美しく仕上がっていて、店先で、えーっ! と歓喜を上げた。購入した時の姿に戻ったと言えばよいだろうか。手放しに喜ぶ私に店主は満足そうであった。求められた代金は踵のゴムの取り換えだけ。残りの作業は店主が靴への情熱でしたことだから、代金不要とのことだった。この仕事を始めたのも靴が好きだからと言うだけある。感心しながら店を出た。これで暫く安泰。この靴は壊れるまで履きたい、大の気に入りなのだ。

情熱とは何と素晴らしいことか。私は情熱を持っている人が好きだ。それは、多分、私が遠い昔に情熱を失ってしまったからなのかもしれない。そんなことを思いながら寒い冬の夜をひとり歩いた。




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コメント

No title

こんにちは。

今日は立春です。あちこちで梅の花が見られますが、陽ざしは暖かいものの風はまだ冷たい関東地方です。
昨日は節分で、どこでも「恵方巻」がいい方角の情報とともに売られていました。もともとは関西の方の風習だと聞きましたが、今では関東のあたりでも皆楽しむ行事となっています。

靴のお話。
さすがおしゃれなイタリアだと思いなが拝見しました。
そして、自分の好きなことに傾ける情熱ときたら、とぎれることがないのはどこも変わりがないようです。

私も先日、メガネの鼻あてが汚れてきたので交換に行きました。
お店の方はそれの交換ばかりではなく、メガネのゆがみを調整や洗浄までしてくださったうえに、スペアのメガネまで同じように対応してくださいました。
「僕はメガネが好きだから、メガネ屋になったんですよ」と。
度をあげて新しいものを作ろうかな、と思っているとハナシをすると、あれこれ顔に似合うフレームを出してくださり、意図せず長居をすることになりました。

自分の好きなものに対する情熱を垣間見るのはまたこちらも楽しいものです。
いいエネルギーを放出しているかしら、と我が身を省みたひとときでした。


春までまだ寒い日々が続きますが、お元気でお過ごしください。

2017/02/04 (Sat) 04:34 | 大庭 綺有 #- | URL | 編集
Re: No title

大庭 綺有さん、こんにちは。立春ですね。立春とは、なんと良い響きなんでしょうか。春が、ええい!と重い腰を上げて立ち上がった、そんな感じ。日本の暦は季節感があって美しいですね。
靴が好きな人が、靴職人ではなくて靴を修理する仕事に就いたことに関心を持ちました。直しながら愛着のある靴を長く履くこと。私が靴を引き取りに行った時、彼が直していた靴も長年掃きこんだ形跡がありました。靴の裏のすべり止めや、踵の部分を張り替えながら、まだあと何年も履くのでしょうね、この靴の持ち主も。そして彼はそういう靴の主の存在を嬉しく思っているようです。
眼鏡屋さんも靴の修理屋さんと共通項がありますね。情熱とは素晴らしいものです。情熱という呼び方も、パッションという呼び方も大好きです。情熱のある人はいいエネルギーを放出している…そうかもしれませんね。うん、きっとそう。

2017/02/05 (Sun) 22:11 | yspringmind #- | URL | 編集

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