フランス屋

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急に秋が深まり、今日のボローニャは最高気温ですや、やっと15度。午後3時くらいが一番暖かいらしいが、遂に暖かいと感じることなく夕方になった。寒さに強く、何時も寒いと言わない相棒が、冷えるとか、暖かいジャケットが必要だとか言うくらいだから、寒がりの私ばかりが寒いと感じている訳ではないらしい。こうした急激な気候の変化がある頃は、気をつけねばならない。温かくして、睡眠をとって、風邪を引かないようにしなくては。

数日前、久しぶりにフランス屋へ行った。その近くをいつも通るのに中に入らなかった理由は一応あった。別に嫌いになった訳ではない。寧ろ好きな部類に入る。健康上の理由と言えばよいだろうか。普段は何ともない食事が、夏場は暑さと疲れで私のアレルギー体質を触発することが多々あるから、外でのワインから少し遠のいていたのである。それでフランス屋に足を踏み込んだのは、5カ月ぶりだった。中に入ると店主が目を丸くして、シニョーラ! と迎えてくれた。いつもなら週に一度は顔を見せる東洋人客が、もう何か月も顔を見せない。どうしたんだろう。と、店主は妻と話をしていたらしい。そうしてボローニャに冷たい風が吹き始めた日に私が外の風と一緒に店の中に流れ込んできたものだから、目を丸くして、シニョーラ! となったらしい。久しぶりに立ち寄った店で働く人達の顔ぶれが新しくなっていた。訊けば7月の終わりに店で働いていた人達が辞めてしまったらしい。飛び切り美味しい菓子を作る青年にしても。あの美味しい洋ナシのチョコレートのトルタをもう二度と食べられないのかと思ったら、とても残念だった。どうしてみんなが辞めてしまったのかは、訊かないでおこう。それは店の問題だから。私はこんな風に気が向いた時だけに立ち寄る、単なる客でしかないのだから。それにしても、と私は話を替えた。最近のボローニャは一体どうしたことなのだろう、ワインを飲ませる店ばかりが次から次へとオープンする。旧市街に食料品市場界隈が二か所あるが、そのどちらの周囲にもワインを楽しむ店が密集している。数え切れないほど。もうこれ以上オープンしても流行らないのではないかと思うが、店が開けば何処もが繁盛して、それでもテーブル席に着けない人達が店の前で待っている。極めつけはマッジョーレ広場に面した店。未だ内装工事中で、更にはマネージャーや働く人を募集中ではあるが、此処が開店したら皆一度は此処に足を運びたくなるのではないだろうか。何しろサンペロとにお教会の正面で、ポデスタ宮殿の一部であるこの店は、一等地と呼んでも良い。中はどんな雰囲気なのか、どんなワインを置いているのか、と興味があり、オープンが大そう楽しみなのである。こんな一等地を手に入れることが出来るのは中国人かもしれない、彼らは本当にお金持ちだから、との私の推測に、成程、シニョーラの推測は興味深い、と店主は頷きながら、中国人ではないが大そうな金持ちだと言って教えてくれたのは、靴下類下着類のチェーン店をイタリア中に展開させた実業家ということだった。あんな一等地を! そう、あんな一等地なんですよ! 私達が顔を見合わせて、驚いていると、店の女の子が、ポデスタ宮殿って何かと訊ねた。彼女はパリから来た女の子。まだボローニャのことをあまり知らないらしい。パリから来たばかりなのにフランス屋での仕事をすぐに得た。ツイテイルと言っても過言ではないだろう。そのうち背の高い、美しいフランス男性がやって来た。どうやらこれから何かの催しがあるらしい。3種類のワインを試飲できるからシニョーラも、と誘ってくれたが丁重に断って帰ってきた。寄り道はしても、あまり遅くなると苦情が上がるかもしれないから、と。
久しぶりのフランス屋は、やはり楽しかった。平日の仕事帰りの疲れを癒す微妙な華やかさがあって良い。週に一度くらい寄り道するのは悪くない。いつもと違う人達と、仕事や生活から離れた、関係のない話をして。

帰り道に思った。昨年パリに行ったのは、今ぐらいのことだっただろう、と。冷たい風が吹いてコートの襟を立ててセーヌ河沿いの道を歩いたこと。河に浮かぶ小舟を眺めたこと。路地を曲がりくねりしているうちに方向が分からなくなって困っていたら、何時だって通りがかりの人達が声を掛けてきて教えてくれたこと。この秋はパリに行っている時間の余裕がない。ほんの3日でもいいからと思うけれど。この秋は、フランス屋にパリの空気を求めることにしようか。




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コメント

No title

お久しぶりです。
このお写真は、セーヌ川?あるいは、ヴェネチア?素敵なお写真ですね。気に入りました。
こちらも、日が短くなり、夏は、朝5時に起きていたのに、最近は、朝6時30分くらいに目が覚めます。それも、雌猫(母娘)2匹に、お腹が空いたと起こされます(笑)気温も、徐々に下がり、気がつくと、もうショートパンツは履いている人たちは見当たらなくなりました。やっぱり、秋が、ひっそりとやって来ている気配を感じます。
どうか、お体にきおつけて。

2016/10/08 (Sat) 20:02 | キャットラヴァー #- | URL | 編集
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2016/10/09 (Sun) 11:47 | # | | 編集
Re: No title

キャットラヴァーさん、こんにちは。この写真はセーヌ河です。橋を渡った向こう側の河沿いをとぼとぼ歩いていたら、こんなところに辿り着きました。とても情緒があって好きです。ちょっとアムステルダムを思い出しました。
急に寒くなって、今夜から薄手の羽毛布団です。やっと安眠できるというものです。昨晩は寒くて何度も目が覚めましたから。
こんなに寒くてもまだサマータイムが続いているのが、何とも妙な感じです。今月最後の日曜日に正常の時間に戻ったら、夕暮れが早くやって来て、冬が近いのを実感するのでしょうね。ボローニャの秋は短いのです。

2016/10/09 (Sun) 20:05 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: No title

鍵コメさん、こんにちは。コメントを頂いたおかげで誤字をふたつ見つけました。有難うございます。
ところでボローニャは観光地ではないと思います。敢えて言うなら大きな見本市があるので、このために来る人達と大学関係で賑わっているのではないでしょうか。それとも近年観光化が進んでいるのかもしれませんが、観光するほどの見どころはあまりないのですよ。
そちらでは予約が必要なんですね。ボローニャでは予約なんてあまりしないんですよ。ま、金、土曜日はしておいた方が無難かもしれませんけれど。
半リットルの赤ワインを頼んで22ユーロですか。まあ、席代金も入っているんでしょうね。私はフランス屋で専ら立ち飲みですから、グラス一杯で5ユーロですが、しかしテーブル席につけば同じグラス一杯でも値段がアップしますよ。まあ、美味しかったからよいことにしましょうか。美味しくて手ごろな値段の店を探す。こんな楽しみ方もありますね。

2016/10/09 (Sun) 20:15 | yspringmind #- | URL | 編集
いいなあ

私はすっかり地元人と話せない外国人に逆戻り。はじめたばかりのオランダ語は一向に上達しませんが、なんとか頑張っています。久しぶりの再会。でも暖かくお話ができてよかったですね。そういえば来年1月にフィレンツェに行くんです。ボローニャまで足がのばせるといいのですが・・・

2016/10/13 (Thu) 18:03 | inre-reisan #pNQOf01M | URL | 編集
Re: いいなあ

inre-reisanさん、こんにちは。地元人と話せない外国人。そういう時期が私にもありましたっけ。やはり住んでいる町の人と話しが出来るのは楽しいことですね。inre-reisanさんは語学センスがありそうだから、大丈夫、そのうち気が付いたら、あら、普通に話をしているわ、と自分でも驚くに違いありません。
来年一月にフィレンツェですか。まあ、素敵。時間に余裕があったらば、是非ボローニャにも来てくださいよ。

2016/10/13 (Thu) 23:12 | yspringmind #- | URL | 編集

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