感覚的

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夢を見た。私が歩いているのは何処かボローニャではない別の街。そう、感覚的に感じたのは、目に飛び込んでくる色が違うからだった。私は感覚的な人間。今に始まったことではない。子供の頃からこんな風で、何時も周囲の人々の目を白黒させるばかりだった。理論整然と物事を説明できる人達には、そんな私はお馬鹿さんに見えただろう。でも、世の中にある物、在ること、起こることは、数字や理屈で割り切れるものばかりではないと思っていたから、そして私は人と同じでなくても良いと思っていたから、お馬鹿さんと思われたとしても別に気になどならなかった。寧ろ、人と違っているほうが良い。私は私なのだから。私はそんな風に思っていたけれど、此の気質は恐らく私が両親から受け継いだ沢山の物のひとつなのだろう。
それで夢の中で歩いていた街でのことだ。橋を渡った先に在ったカフェ。ガラス張りの、しかしそのガラスも夏場には取り外されると想像できる、窓際のふたり用テーブルに着いたのは、外を行き交う人々を観察したいと思ったからだった。暖かいオニオンスープ。朝焼いたパン。大ぶりのグラスに注いだ赤ワイン。肌寒い日にぴったりの簡単な昼食。店が混み始める前に入ることが出来たことを感謝しながら運ばれてきた食事を堪能した。赤ワインは上等なものを注文した。何時でも来れるような気もするけれど、次はいつ来れるかわからないから。私はいつもそんな風に思いながら、ワインだけは奮発して注文するのだ。酔う程頂く必要はない。美味しいのをグラスに一杯あればよかった。この辺りでは人気のある店らしく、次から次へと客が入って、あっという間に満席になった。幾人もいる給仕が忙しく行き交う。ひとりでテーブルに付いたけれど、店の中と窓の外の様子を眺めていれば退屈などするはずもなかった。もし私が此の街に暮らしたら、退屈する暇などないだろう。そう思いながら、しかしどんな街に暮らしたって、退屈な生活などないに違いないと思い直した。そうだ、どんな街だっていいのだ。自分次第なのだから。どんなにエキサイティングな街に暮らしても、受動的な生活をしていたらいつか退屈になるに違いない。まだテーブルに着いていたいような気もしたけれど、まだぼんやりと空想していたいような気もしたけれど、テーブルに着けずにいる客が目立ち始めたので、思い切って腰を上げた。
パリ。私が夢の中で歩いていたのはパリだった。そしてあの店のことは本当にあったこと。運河の近くの小さなホテルとつながっているカフェだった。あの店への道はすべて覚えている。一寸たりとも間違えずに行ける自信がある。
またパリに行きたいと言ったら、相棒が驚いた。パリに何があるんだい? その質問に、私は答えることが出来なかった。答えが見つからなかったからではない。返す言葉があまりにも沢山あり過ぎたからだ。そしてそのどれもが、あまりにも感覚的なものだったから。

9月が過ぎて、10月と11月を迎えて12月になったらパリへ行こうか。ほんの3日間でいいから。




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コメント

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2016/09/11 (Sun) 21:36 | # | | 編集
Re: No title

鍵コメさん、こんにちは。そんなことはありません。恥ずかしがることなどないのですよ。好きなものは好き、良いものは良いのです。私は昨秋パリに行くまで、憧れのと同じくらいパリを嫌っていましたが、あれは単なる美しい町への嫉妬、みたいなものだったようです。今は真っ正直に言いましょう。パリは美しい。パリが大好き。それほど言っても所詮私のような人間はフランスかぶれにはなれないのですよ。
冬にパリで。何だか小説みたいでいいじゃないですか。

2016/09/12 (Mon) 22:55 | yspringmind #- | URL | 編集

こんにちは。
そうですね。以前知り合いでどこにいても一緒よと言う人がいて、うそでしょ、それは人の価値観でそんなはずはないと町の雰囲気を感じとりやすい私は思っていたのです。わざわざ自分の触覚を折っていやだと思う町で暮らすことはないと。ビロロローンとたぶん自分から湯気みたいなものが出ていてその自分の波長が合う時や場所もあるし合わないときもある。人も動物も虫もどこかで生きていかなくてはならないから、そこに適応しようとしますよね。まえも、バッタが草の模様のようになっていてびっくりしました。でも、向上心がある人が、もしこのままでいいのよと思っている人達ばかりの所へ出向いたら、がっかりしますよね。たしかに、同じ町に住んでいても、楽しそうな人もいれば、そうでない人もいる。私は考えが子供なのかもしれませんが、ほどほどの町が、いいです。
yspringmindさんが、感覚的な人間で言いたいことがいっぱいあるから言えないと言われるのは、とってもよくわかりますね。逆に一言で言える人の頭の中はどんなにか整理整頓されているのか、もしくは決め付けタイプかのはずではないでしょうか。引き出しが一杯あるほど、豊かにもなれるし、たいへんな時もありますね。

2016/09/14 (Wed) 01:15 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。何処にいても一緒、と思えるのは不思議なことですね。街や、その空気や、目に飛び込んでくる色合いって相性があるものだと思いますよ、私は。そう言ったインスピレーションは大切だと思います。何処にいても同じと思う人は、そうした自分に合う街、わくわくするような街にまだ出会っていないのかもしれませんね。
ひと言で簡潔に言うのは難しいことですね。そしてその一言で相手に気持ちを伝えるのは、ますます難しいことだと思います。というのが、感覚的に生きている私の意見なんですが如何でしょうか。

2016/09/15 (Thu) 22:55 | yspringmind #- | URL | 編集

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