私が自分の人生の大黒柱

目を覚まして窓の外の様子を伺う。それは昔からの私の習慣。いつものように今朝も眠い目をこすりながら窓の外を眺めた。いつもと違うのは、外の眺めが日本だったこと。日本の朝。長時間座り続けた為に生じた腰痛が、昨夕羽田空港に到着したのが決して夢でなかったことの証だった。朝から暑かった。昼間はボローニャも負けずに暑いが、朝は窓を閉めたくなるような涼しさ。やっと20度を超えたくらい。だから私たちは、朝の数時間のうちに前日の疲れを癒し、新しい一日のエネルギーを蓄えるのである。しかし日本の朝は違う。既に25度を超えていて、少し動けば汗が額に浮かぶ。そして今日も暑くなるぞ、と空が私たちに語りかけているようにさえ思えるのだ。

語りかけは大当たりだった。暑くて汗を幾度もかいた。そんな中、私は家族に会いに出掛けて、全く楽しい一日を得た。夕食を共にして遅くなってしまったから、タクシーでホテルに向かった。そのタクシーの運転手が女性で私は酷く驚いてしまった。
女性の職業、男性の職業。今時そんな風に区分するのは遅れているかもしれない。アメリカでは私の女友達がタクシードライバーをしていたのだし。しかしどうだろう。見た感じ30代の彼女は、とても控えめな感じで、とてもタクシードライバーなどするようなタイプに見えない。それで私は彼女に話しかけてみた。夜間にタクシーを運転するのは怖くないのかと。訊けば訳あって会社を辞めてタクシーの運転手の職業についたらしい。初めは怖くて昼間だけしていたが、利用者の少ない昼間の収入だけでは生活していけない。それで夜間もするようになったと言う。此れまでに何度か怖い思いをしたけれど、生活していかねばならぬ。それでぎゅっと歯を食いしばって頑張っているうちに随分と強くなり、この環境に慣れたのだと言う。彼女が生きていくために選んだ仕事。大人になっても仕事に就かず誰かに頼る人が多い現代にもこんな人がいるのだと嬉しくなり、そして強く励まされた。30代に見えた彼女は実は今年50歳で、私が自分の人生の大黒柱、とキリリとした感じが嬉しかった。偶然会って、もう二度と会うことも無いに違いない彼女。そんな彼女から私は山ほどのエネルギーを分けて貰った。タクシーがホテルについて下車する際、お話を有難うと礼を言う私に、こんな話を客にしたのは初めてだ、話を聞いてくれて有難う、と彼女は言ってあっという間にホテルの前から去っていった。残されたのは真夏の夜の蒸し暑さ。でも、気分が良かった。みんな頑張っている。色んな場所で、色んな形で。今回の滞在で忘れたくない小さな出会いのひとつ。

日本の夏に相応しい蝉のコーラス。懐かしくも暑さが増して、時差ぼけの身に堪えた。明日は姉と銀座へ行く。




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コメント

No title

yspringmindさん、こんにちは

そして、お帰りなさい^^

蝉の声さへ、愛おしく、懐かしい事でしょうね

とは、云え

35度を越す、猛暑

熱中症に気をつけて下さいね

p.s

銀座と云えば、「天龍」のジャンボ餃子♪

ぷりぷりで、美味しいですよ、スタミナも付きます~^0^

2016/08/10 (Wed) 12:58 | 高兄 #eP1cGWnA | URL | 編集

こんにちは。
おかえりなさい。
暑いでしょう。

2016/08/10 (Wed) 16:28 | つばめ #- | URL | 編集
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2016/08/10 (Wed) 21:11 | # | | 編集
Re: No title

高兄さん、ただいま。日本の蝉の声。暑さが増すと言いながら、しかしやはり愛おしいです。それにしても暑いですね。相棒の情報によれば、ボローニャはここ数日涼しくて過ごしやすいのだそうです。ちょっと悔しいですね。
毎日美味しい物三昧です。一番美味しいのは普通の家庭料理です。

2016/08/12 (Fri) 15:01 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、ただいま。
暑いです。でも大汗かきながら毎日あちらへこちらへと歩いていますよ。

2016/08/12 (Fri) 15:03 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: No title

鍵コメさん、こんにちは。そうでしたか、先々週、日本に帰省していたんですね。日本の夏の湿度は高くも、今年のボローニャの夏も大変な湿度なので、どっこいどっこい、でしょうか。
頑張っている人を見て、気後れする必要は無いんですよ。だって皆それぞれなんですから。あなたはあなた、彼女は彼女、私は私、です。
私は帰省しても家族のところには泊まらずホテルに連泊するんです。何しろ25年も離れていて生活習慣がすっかり異なってしまったので、互いにストレスにならぬように、そして互いを拘束しすぎないように、と言う理由で。変わったスタイルの家族ですが、それはそれで良いと思っているのですよ。

2016/08/12 (Fri) 15:10 | yspringmind #- | URL | 編集

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