日向志向

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今週末はご機嫌。いつもに増してご機嫌だ。明日は復活祭、そして翌日も復活祭の翌日も祝日で、つまり3連休と言う訳なのである。振替休日などと言う気の利いたものが存在しないイタリアだから、祝日が日曜日にぶつかると涙を呑むことになるから、どんなに転んでも復活祭は日曜日と決まっているけれど、翌日の祝日もセットなので必ず3連休になる仕組みなのだ。全く有難い話である。天気も良く、海や山へ足を延ばしている人も多いことだろう。近年の不況で、リストラ一番手の対象になるのを怖がって余計な休みをとらなくなりつつあるイタリアも、復活祭は特別らしい。金曜日から長く休みをとる人が多いようだ。私は特に出かける予定はない。例年通りのつつましい復活祭を過ごすのだ。舅の居ない復活祭は寂しいけれど、喜ばせるべき姑が居る。年をとって体も不自由で特別楽しみもない彼女にとっては、身内で祝日を共に祝って過ごすのがささやかな喜びだ。子羊のグリルはしないけれど、美味しい料理を作って祝おう。そういう話になっている。

それにしたって空が明るいので、誘われるようにして外に出た。用もないのにクリーニング屋さんのドアを開けて、復活祭のお祝いの言葉を掛ける。復活祭は明日だけれど、当日挨拶を交わせない人とは数日前からこんな風に挨拶を交わすものなのだ。次はバスの停留所の背後に在るモレーノの床屋のドアを開けて、お祝いの言葉を掛ける。我ながら妙な行動をとっていると思うけれど、こうしたお祝いの言葉を交わすこと、喜びの声を掛け合うことは悪いことではない。そうした小さな喜びが積み重なっていけばいいと思う。
バスに乗って旧市街へ行くと、他の町から来た旅行者が沢山いた。復活祭の連休にボローニャに来ようと思う人達が居ることを私は嬉しく思う。フィレンツェやヴェネツィアと言った美しい町が存在するなかで、ボローニャを選んでやって来た人々。街歩きと美味しいものを堪能してほしいと思う。
朝晩の気温は低いが、昼間はすっかり春である。人々は日の当たる場所を陣取り、光合成でもするつもりらしい。サングラスをかけて寛ぐ姿に、此処が確かにヨーロッパであることを実感する。何というのか。太陽があるときは一瞬だって逃すまいと言うように、日向を好む人々。しかし、これも時間の問題で、あと数か月すれば強い日差しから逃げるようにして日陰を選ぶようになるだろう。
手打ちパスタの店に行くと驚くほどの混雑で驚いた。此処は二本の塔のすぐ近くに出来た店。数か月前に開店したので購入してみたところ、あ、此れだ、と思った。姑が元気だった頃に作っていた手打ちパスタと限りなく近かった。安くはないが普段これといって贅沢をしているでもない。レストランへ行くでもない私たち家族だから、せめてパスタくらい飛び切り美味しいものが食べたい、ということで、以来毎週通うようになった。店の奥にはテーブル席があるらしい。混雑の原因は此れらしかった。私は今夜の夕食用のタリアテッレと、明日の昼食用のトルテッリーニと少しの焼き菓子を購入して、さて、と店を出ようとしたところで、見覚えのある顔を見つけた。この近くでスカーフの店を営む女性だった。彼女は店を営む職業柄、人の顔を覚えるのが得意らしい。先に笑顔を投げかけてきた。彼女のところでスカーフを購入したことは数回あるが、最後に店に入ったのはもう2年も前のことだ。彼女の息子がアメリカの何処だかに就職して、年に一度しか会えないことを嘆いていたのは確か最後に店に入った時のことだ。こんにちは、と声を掛けてきた彼女に、お久しぶりと言葉を返す。彼女は昼食をこの店で済ませるためにやって来たらしいが、何しろこの混み具合だ、一体何時になったら席に付けるのか分からない、と溜息をついた。土曜日だから、と相槌を打つ私に、彼女は毎日昼食時はこんななのだと言った。どうやら彼女もこの店が気に入りで、しかも店が近いこともあって頻繁に足を運んでいるらしかった。でも、美味しいのよね、と言って笑う彼女に、ようよ、順番を待つ価値は十分にあると励まして、店を出た。

夕方が明るい。それも明日の夜明け前に夏時間が始まれば、更に明るい夕方が長くなるだろう。良い季節になったものだ。これからは仕事帰りの寄り道が楽しくなる。どんなに疲れていたって、明るい夕方を楽しまない手などあるものか。




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コメント

こんにちは。
日向はいりますね。
つよい日射しほど陽気になれます。

2016/03/28 (Mon) 15:21 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。太陽の光が元気を与えてくれます。それも、つばめさんが言うように、強いほど元気になれる。そういう人を私は沢山知っていますよ。

2016/03/29 (Tue) 22:17 | yspringmind #- | URL | 編集

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