こんな空の日は思い出す

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今日も快晴。風もなく、穏やかな日曜日、と呼ぶのがぴったりだ。こんな空の日は、何故か子供の頃を思い出す。日曜日になると私と姉は林の直ぐ傍の小さな教会へ行って、帰ってくると父が昼食を作ってくれた。父が昼食を作ることは頻繁にあった。別に母が怠けていた訳でもなければ、母が居なかったわけでもない。単に父が食事を作るのが好きだったからで、そして私達は皆父が作る食事が好きだったからだ。食事、食事と繰り返したものの、父が作れるものには限りがあって、それは焼きそばとか、どんどん焼きと言ったものだった。どんどん焼きというのは東京下町で生まれ育った父にとっては忘れがたい、そして愛着のある名前であり、食べ物であったらしい。母もまた東京生まれだが、12歳違いの母にとっては其れほど馴染のあるものではなかったらしい。12歳違うと通過したものも違えば影響を受けたものも違う、というのが母の言い分だったけれど、だから母はそんな父と共有できないものが沢山あったから、姉や私に歳があまり離れていない人と結婚するようにといつも口癖のように言っていたけれど、私はそういうことにはあまり関心が無くて、実際11歳違いの相棒と一緒になった。だから母が私からその話を聞いた時、本当に良いのかと聞いたけれど、私は問題ないとの一点張りだった。そして20年以上経つ今も、性格の大きな違いは別として、好みや小さなこまごまとしたことがあまりに似通っていることで、母がいつも言っていた年が離れていることによる相違はあまり感じることが無い。勿論、私は日本人で相棒はイタリア人だから、文化や習慣の違いから生まれる小さな相違点はあるけれど、それはたとえ同じ日本人同士でも、イタリア人同士でも、夫婦とは血のつながらぬ他人同士によって成り立つのだから、似た者同士でも多少は相違点を感じることは違いないのだ。それでどんどん焼きの話だけれど、姉も私も父が作るどんどん焼きが大好きだった。あっという間に皿の中が空になった。父は嬉しかったに違いない。育ち盛りの小さな娘たちが、美味しい美味しいと言って、どんどん焼きを頬張る様子を見て。穏やかな日曜日から私がそんなことを思い出していることを10年も前に他界した父が知ったらば、どんな風に思うだろう。そういう話を父が逝ってしまう前にゆっくり話したかったなと思っていることを父が知ったらば、何と言うだろう。それよりも父は、きっとこんなことを言うに違いない。残された母を大切にするように。父はそんな人だった。我慢強くて寛大で、何時も家族を守ってくれた。
どうして今頃こんなことを思い出すのだろう。いや、もっと沢山のことを思い出してみようと思う。

あと一週間で夏時間が始まる。そして復活祭。それが終われば3月も終わりだ。駆け足で過ぎようとしている3月に、私は目を丸くしながら後れを取らないように走るのだ。そんなに急がなくてもいいのに、とぼやきながら。




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コメント

こんにちは。
いい写真ですね。

どんどん焼き。西日本出身なのでわかりません。お好み焼きの小さいのですか。
いいお父さんですね。いつも家族を守ってくれるお父さん。そう言い切れるお父さんをもたれて幸せですね。本当にうらやましい。わたしは父と青年期によくぶつかっていましたから。ぶつかっても全然通じ合えない。今はだいぶ普通に話せるようになりました。長女だからか、両親が何を考え何をしようとしているのか、よく観察してたんですね。母のことは、これでもかってくらい大好きでした。

2016/03/21 (Mon) 15:50 | つばめ #- | URL | 編集

こんにちは。
イタリアのアグリツーリズモに行きたいです。
イタリアにいきたーい。

2016/03/22 (Tue) 12:40 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。どんどん焼きというのはお好み焼きみたいなものですが、もう少し庶民的なもの、と私は理解しています。私は子供の頃から父が大好きでした。大人になっても、二十歳を過ぎた娘が駅で父親を見つけて、遠くからお父さん!と声を掛けるのを多分父は少し恥ずかしかったみたいですが、私は全然平気で。私はつばめさんとは反対で、母親は好きだけど苦手だったかもしれません。母は完璧すぎたので、完璧でない娘がじれったかったと思います。今は、老いた母が愛おしいですが、完ぺき主義は置いても少しも衰えていないようです。これには驚きました。

2016/03/22 (Tue) 23:59 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、どうしたの?イタリアのアグリツーリズモに行きたいですって?テレビか何かで紹介していたのでしょうか。

2016/03/23 (Wed) 00:00 | yspringmind #- | URL | 編集

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