ちょっとバールに寄ろうか

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日曜日。ボローニャ郊外の丘の町ピアノーロに暮らす姑のところで恒例の日曜日の昼食会、そしてその片付けを終えて、夕方ボローニャに帰ってきた。家の近所のバールに立ち寄ってカッフェを楽しむのが、姑の家から戻って来た時の楽しみのひとつである。直ぐ其処が家なのだから、家でカッフェをしても良いかと思うけれど、バールとはちょっと特別な存在で、その前を素通りできない、若しくは吸い込まれるように入ってしまうものなのである。ちょっとバールに寄ろうか、といった具合に。日本人の私ですらそうなのだから、イタリア人にとっては尚更だ。イタリア人にとってバールとは、無くてはならぬ存在と言っても過言ではないだろう。

バールに入って直ぐ左手にあるカウンターで、カッフェをふたつ注文した。奥ではサッカー観戦する老人たちの群れ。サッカーの中継は有料番組でしか観れない。この辺りの老人達はサッカーの時間に合わせてバールに来るのである。家で静かに観戦するより、バールで馴染の人達と一緒に観る方がずっと楽しいじゃないか、ということらしい。昨晩、ボローニャはインテルと闘って敗れた。勝った時には何日経ってもその話で盛り上がるが、負けた時はゲームが終わっると誰もそのことには触れない。うっかり昨日は残念だったねなどと言おうものならば、油に火を注ぐようなもので要注意だ。カッフェに砂糖を入れて小さなスプーンでぐるぐる混ぜていると、奥の群れの中から笑顔が可愛いシルヴァーノ老人が出て来た。私は老人を呼び止めて、来週の土曜日にワイン農家にワインを購入しに行くことを確かめた。相棒が先週くらいから何度もそのことについて話していたからだ。シルヴァーノとワイン農家に行くこと。前回は赤ワインしか購入しなかったけれど、今度は白も購入しようか、と。ところが老人は嬉しそうに言うではないか。数日前に買いに行った、と。彼の地下倉庫のワイン棚がすっかり殻になってしまったので、待ちきれなくなったらしかった。そうして大きなガラスの壺3個分、つまり75リットルの赤ワインを購入したこと、それがとんでもなく美味しいことを得意げに教えてくれた。ええ、私達も購入したかったから一緒にワイン農家に行くのを楽しみにしていたのに、と私が憤慨して言うと、それなら近いうちに少し分けてあげよう、と彼は言った。そして近いうちに相棒を連れてワイン農家へ行くことを約束してくれた。老人はこのワイン農家の顔ききで、彼が行くと特別なものが出てくると言う仕組みなのである。それにしても今回のワインはとんでもなく美味しいそうだから、全く楽しみなことである。ワインを購入したら、今度は瓶にワインを注いでコルク栓をする手間があるけれど、美味しいワインの為なら仕方があるまい。シルヴァーノ老人もまた、もうすぐ80代半ばであるが、こんな楽しみがあれば暫く病気にも掛からず元気にやっていけるだろう。

ところでシルヴァーノ老人のサーモンピンクのセーターは実に良く似合っていた。若々しくてとても素敵だと褒めると、とけるような笑顔を見せた。綺麗な色を身に着けると気持ちが上向きになるのだそうだ。成程ね。成程ね。ちょっと私も見習ってみよう。




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コメント

こんにちは。
バール。いいですねえ。
なんであんなにイタリア人は表情がゆたかなんでしょうね。

2016/03/14 (Mon) 16:00 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。イタリア人にとってバールとは、単に美味しいカッフェやカップチーノを頂く場所ではなく、一種の社交場なのだと思います。情報交換の場、交流の場、お喋りしてストレス解消をする場なのではないでしょうか。
ところでつばめさん、イタリア人と言ってもつまらない人も勿論いるのですよ。他人と自分を比較したり、悪口を言う人も妬む人も沢山います。何処の国にも居ると言うことですよ、そう言う人は。そして、そう言う人とは拘らないのが得策なのです。

2016/03/14 (Mon) 23:47 | yspringmind #- | URL | 編集

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