土曜日は散策

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とても疲れていた。一週間、中身がぎっしり詰まっていたから、当然と言えば当然のことだった。外でも家でも、することが一杯。唯一よかったのは、木曜日の夕方に、爪の手入れをして貰ったくらいで、後はしなくてはいけない事ばかりだったから、気分的にもしんどかった。それかもうひとつ言えば、自分がしていることが実は無意味なことなのではないかと疑問に思い出したことも、気分的に疲れた理由だったかもしれない。このことについて言えば、暫く答えは出そうにない。まあ、そのほうが良いのかもしれない。冬が終わって春が来れば、この疑問も寒さと同じように少しは緩和して、自分なりに消化できるようになるだろう。兎に角、とても疲れていたので、土曜日ということを利用して、大いに朝寝坊した。猫はお腹が空いていたようだが、眠っていた私を邪魔することもなく、窓辺に座ってじっと待ってくれたようだ。目を覚まして、もぞもぞと起き上がると、窓辺の猫がにゃーと鳴いた。それは、お腹が空いたよう、とも聞こえたが、やっと目が覚めたのか、と言っていたようにも聞こえた。

朝食をゆっくりとって、家の片付けをした。最近外に出るのがとても億劫だ。多分、寒いからだ。でも、思い切って外に出た。家に居たら、また、しなくてはいけない事ばかりが目について、ゆっくりしないに違いないから。寒いのかと思えば、外の気温は10度にも上がっていた。空が青く、太陽の光がふんだんに降り注ぐ。バスの停留所に立っていたら、道の向こうの小高いところに建つ家の庭で、庭師が植木の手入れをしているのが見えた。それで思い出した。うちのアパートメントでも、敷地内の植木に手入れが数週間前にあったことを。
庭師が入ることは聞いていたが、仕事から帰って来たら3本の大きな樹の枝がすっかり切り落とされていた。夏には豊かに葉を茂らせて、近隣の住人たちからの視線を遮っていた、私の気に入りの樹たち。風にそよいでサワサワと音を立てる素敵な樹。バッサリと枝を落とされて、樹が3本直立不動するさまはあまりにも悲しかった。それから反対側に在った背の高い樹。これは根元から30センチほどのところでバッサリと切られていた。何ということ! と憤る私に上の住人も憤慨したが、もう元に戻ることはない。すべて済んでしまったことなのだ。この辺りは、樹を切るだけでも市の許可が必要である。管理人が許可をとったのかもしれない。兎に角、住人に一言も言わずに切るなんて。自分の手足を捥ぎ取られたような悲しみが押し寄せて、すっかり沈んでしまった。今でもその様子は悲しげだけど、また数年したら枝を伸ばして葉が茂るに違いない、そうでしょう? と窓辺から樹に問いかけ、自分を慰めるのだ。私にとって樹の存在は大きい。多分私は人間になる前は樹だったに違いないのだ。残りの2本の大きな樹は運よく災難を逃れた。私がこの家にしようと思った、大きな決め手となった樹たちだ。もしこれらまで切られていたら、私の怒りは爆発して、管理人に抗議の一言も言いに行ったに違いない。
遠くに見える庭師に、心の中で呼びかける。樹は切らないでくださいよ。手入れと切断は全く別ものなのだから。

3か月振りに髪を切った。髪を切るのはいい。とても良い気分転換になる。身の回りを整えるのは良いことなのだ。旧市街には人が一杯。楽しそうに歩く人々。ゆったりとカフェのテラス席に腰を掛ける人々。やっぱり土曜日は散策がいい。寒くても外に出るのがいい。


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コメント

こんにちは。
写真は昔の人が想像した海の生き物でしょうね。
今週はおつかれさんでした。木が必要なのはよーくわかります。なぜなら、木がそよいでいるのを見るだけで、葉っぱがキラキラしているのを見るだけで、うれしいです。
木が少しでも早く暖かい春の日のなかで芽を吹きますように。
こちらは、今日は日が出てほっとしています。

2016/02/07 (Sun) 05:38 | つばめ #- | URL | 編集

自然を大切にする此処の国も、樹を切るのは余程のことです
丁度、隣庭との境の聳える糸杉系の大樹が切られたところです。
近年強まる嵐への対策のようで、高い街路樹もポリスまで出動し切っています
私の場合は納得し、朝の窓からすかーんと広がる風景の美を受け入れていますが
其方では、どんな理由で切ってしまったのでしょうね。。 
明日は、カーニバルも延期の都市がある程の嵐が来るようです どきどき

イタリアは、ヘアカットの技術センスがいいでしょうね  
此方は、全くもってトホホなのです~~

2016/02/07 (Sun) 12:15 | すぷーん #EQkw1b1A | URL | 編集

これは 海獣ですか。おでこちゃんのいるかのようでもありますが。
その大きな樹が切られてしまったのは本当に残念ですね。昨晩はひどい嵐で やねの端のトタンが取れて飛んでいってしまいました。近くの城の庭園のなかの大きな樹は大丈夫だったかとずいぶん心配しましたが、難をまぬがれたようです。
それにしても 大木を切ってしまうとは よくよくのわけがあったのでしょうね。

2016/02/07 (Sun) 18:26 | kimilon #aKMr6UbQ | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。写真は海神の噴水の一部で、ボローニャの街の中心に存在します。移っているその部分は仰る通り昔の人が想像したであろう人魚の足元です。今でもこの噴水はボローニャのシンボル的存在で、私なんて何度も見ているのに飽きることもありません。
樹の存在は大きいのです。私は樹が無いところには生活が出来ないのです。樹が私に元気を与えてくれたり、樹の存在が私に勇気を与えてくれたり。全く樹というのは素晴らしいのです。早く目が出ることを祈りつつ、今度は絶対に切られないように見張っていようと心に決めました。

2016/02/08 (Mon) 23:29 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

すぷーんさん、こんにちは。そちらの国も自然保護に力を入れているようですね。お隣さんとの境に在る糸杉系の大樹が切られたとのことですが、いやあ、残念。確かにそれが無いことで明るくなったりもするでしょうし、樹が古い場合は危険が伴いますから切ってしまう必要もあるかもしれませんけれど。私、糸杉系の樹が好きなんですよ。
イタリアのヘアカットのセンスとか技術とか、それはもう驚くほどひどいのが多いですが、そして何度も失敗しては泣いたものですが、今通う店はとてもいいのです。数年前に散策している途中に気まぐれに入った店です。良い顧客を持っているようです。予約を受け付けてくれないので毎回待たされますが、もう他のところには行けないなあ、と言う程気に入っているんですよ。

2016/02/08 (Mon) 23:37 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

kimilonさん、こんにちは。これは海神像の噴水の一部で、海神の足元に4人の人魚が存在して、其の人魚はイルカに乗っているのです。ですからkimilonさん、正解! なんですよ。
ひどい嵐で やねの端のトタンが取れて飛んでいってしまったとは、それは本当にすごい嵐だったのですね。ボローニャでは近年そんなすごいのはありませんよ。ああ、テラスの植木鉢が飛ばされていったなんてことは何度かありましたが。
大きな樹は大風で倒れる心配がありますね。もしかしたら庭にあった樹は、案外老木だったのかもしれないなあ、と思い始めました。それであんな具合に切ってしまったのかもと。切ったところから元気な目が出ることを祈ります。前みたいに葉が茂ってくれると良いのですが。

2016/02/08 (Mon) 23:43 | yspringmind #- | URL | 編集

おでこちゃんのイルカの上に人魚が座っているのですね!

2016/02/09 (Tue) 09:19 | kimilon #aKMr6UbQ | URL | 編集
Re: タイトルなし

kimilonさん、昔の人はなかなか粋なことを想像したものですね。

2016/02/13 (Sat) 00:51 | yspringmind #- | URL | 編集

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