冬休み前

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西からの風が吹く日曜日。天気は上々で、気温も12度に上がった。家の中で一番日が当たる場所を陣取るのは猫。子供の頃の時自分とそっくりだ、と思いながら、暫く子供の頃のことを思い出していなかったと思った。私の両親は、日向を探しては其処に椅子を置いて本を読む私を、どんな風に思っていただろう。子供は風の子、なんて言葉とは正反対の、冬の間中家の中に閉じこもって絵を描いたり本を読む娘を眺めては、困ったものだと思っただろうか。私はあの頃と少しも成長が無く、冬になると家に籠りがちだ。土曜日の数時間の散策の楽しみを見つけたことを除けば。

先日本屋に立ち寄った。私は本が好きだから本屋は居心地の良い場所なのだ。なのに暫く足が向かなかったのは、一体どうしたことだろう。人には好みというものがある。映画にしろ、音楽にしろ、絵画にしろ。それは色の好みよりももう一歩踏み込んだパーソナルなことのような気がする。そして本の好みは、其の中でもとても個人的なことのように私は感じているのである。皆、自分の好みが一番良いと思っているに違いないのだが、私に言わせれば、どれも良くて、ただ好みに合うか合わないか、なのである。そういう私は最近これだと言う本に出会っていない。多分探していないからだ。ある日、私は旧市街のポルティコの下に在る本屋の前に立ち止まった。小さな子供向けの本を探していたからだ。まだ文字を読めない小さな子供が、お母さんと一緒に見て楽しめるようなもの。そんなものはないだろうかと思って。そうしたらウィンドウに面白いものを見つけた。それは大きな絵本だった。A3用紙サイズの本で、世界中の地図が描かれていた。そして地図の上に細かく挿絵が施されていた。例えばアフリカ大陸のこの町にはどんなものがあるとか、どんなことが有名だとか。それで店員に本を見せて貰った。子供向けかと思って開いてみたら、大人が楽しめるようにできていて、私は直ぐに夢中になった。細かく丁寧に書き込まれた挿絵は独特な味わいを持ち、眺めているうちに旅をしているような錯覚に陥った。いや、違う。旅に出掛けたくなるような気分になると言ったほうが良いかもしれない。兎に角この本を書いた人が世界中を歩き回わりながら見たり聞いたりしたことを、興奮しながら夢中になって描きこんだ、宝物のような本だった。とても刺激的な本と言っても良かった。店の人に訊いてみたら、子供向けと言うよりは大きな大人向けの絵本、とのことだった。何時間でも眺めていられる本、と言う私に、店の人は作者が聞いたら喜ぶわね、と言って笑った。私はその大きな本を棚に戻して、小さな子供向けの小さな絵本を購入した。でも、クリスマスに入る前にもう一度戻って来ようと思った。自分のクリスマスプレゼントを求めて。あの大きな絵本を手に入れるために。

明日はもう月曜日。憂鬱な月曜日の筈だけど、冬休みが其処まで来ていることを思えば、上手く通過できるだろう。喜びを喜びと感じ、美しいものを美しいと思う心を大切にしよう。何事にも感謝することを忘れなければ、必ず良いことがある筈だ。世の中とは、そんな風に出来ているのだ。


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コメント

こんにちは、yspringmindさん。
地図の本いいですね。
わくわくして。
子どもの本どんな本なのでしょう。シンプルでいいでしょうね。
図書館で本を借りるときに大切なことが分かりやすく書かれていてそう思います。
そういえば、前、テレビで星の王子さまの特集をしていて、私はテレビはあまり見ないし、星の王子さまも昔ちらっと見て何を書いてるかわからないと思ったのですがね。そのテレビでは、星の王子さまが大切なことは目に見えないんだよと言ってるのを聞いて、この年になってあらためて、はーそうだなと思ったのです。大切なものは見えない。
それにしても、世の中のスピードの早いこと。私は何か間違ってると思うのです。大まかには合ってると思うけれど。
便利にはなったけれど。どう考えたって、人間の持っているスピードのはんちゅうを越えています。機械に動かされている気がしてなりません。それに、必死になって人間が飛ばされないようにしがみついているようにしか見えません。
子どもたちのことを思うと、悪いことばかりにないにしても、今の日本はいそがしすぎる。それに、歯向かうことなく必死に真面目にみんながついていこうとしている。本当にこれでしあわせなのかしら。
子どもたちのことを思うとなんだか切なくなる。塾や習い事。
私は一人で句読点をうつきはなれない。ただ、せっかく生まれたなら、おもいっいきり生きたいのが人の本望ではないかと思う。特に女性は。そのパッションがわたしにはまだあるのだと信じて。ぜったいにはないのかもしれないけれど。旅に出よう。
日本らしさってボローニャに住まわれてなにか気づかれたことありますか。
いま、核家族化がすすんだり、洋建築の家庭が増えたり、よくラジオで聞くのが先が不透明で見えない時代という言葉です。暗中模索。ながーい、イタリアの歴史の今を生きている人たちも今を謳歌しようとしているのだと思うのですが、ほんとうにたいせつなことってシンプルですよね。ごくごくシンプル。むかしからかわらない。
それにどうも迷っているようにしか見えない日本にイライラしてもしょうがないけど。たとえば、イタリアで家族にとって大切にされているであろうことってどんなことでしょうか。
なんで、日本って裏と表があるのかこの年になっても意味がわからないのですよ。

2015/12/21 (Mon) 06:01 | つばめ #- | URL | 編集

yspringmindさん、こんにちは


あっと云う間にクリスマスになりますね^^

幸せな事に

今年は、早めに仕事を切り上げて

家族と、ゆっくり

イブの日を過ごせそうです

子供たちや、相方に感謝の日です

久しぶりに、大好きなリースリング系の白ワインも飲めそう♪

yspringmindさんも

素敵なクリスマス、お過ごしくださいませ^^


2015/12/21 (Mon) 09:59 | 高兄 #eP1cGWnA | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。この地図の本、正しくは絵本なのですが、本当に面白いのです。これをじっくり眺めるのは、さぞかし楽しいことでしょう。本の上で旅をする。過言ではありません。
大切なものは見えない。ということに驚き、感激しました。確かに思いやりや優しい心は目に見えないし、希望やと尊い気持ちも見えませんね。イタリアにおいて家族にとって大切にされていることは、家族を思う気持ちかもしれません。家族が一番大切。其の為には仕事を時には投げ出すこともあります。昔アメリカに居た時、イタリア領事館に知人が居ました。彼女はイタリア人。夫はアメリカ人で、ふたりの間には子供が居ました。ある日夫が東海岸の町の配属になったのですが、彼女はとても待遇の良い領事館の仕事を潔く辞めて、家族で引っ越しすることにしました。夫だけ赴任すると言うチョイスもあったのに。此の一件は、領事館の勤める全ての人の称賛となったそうです。其れほど彼女のポストは良い待遇で、まさか彼女が家族が一緒に居るために辞めるとは誰ひとり思っていなかったそうですよ。

2015/12/22 (Tue) 22:40 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

高兄さん、こんにちは。今年は本当にクリスマスがあっという間にやって来る、といった気分です。今年は早めに仕事を切り上げて家族とゆっくりだなんて、素晴らしいではありませんか。それでよいのですよ。そうして子供たちや相方さんに感謝する。こういう事って大切だと思います。きっと楽しい一日になりますよ。
素適なクリスマスになりますように。

2015/12/22 (Tue) 22:43 | yspringmind #- | URL | 編集

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