さよなら夏時間

P1010950 small


週末は晴天が似合う。ゆっくり目を覚ます土曜日の朝、窓から陽が射しこんでいるのを確認すると思わず笑みが零れる。まだ眠っていたい気分であるが、晴天には勝てない。と言っても平日に比べたら充分遅い時間だけれど。猫も諦めたのか、早く起きろと催促しない。

カフェラッテとビスコッティで簡単な朝食を済まし、足取り軽く外に出る。これが私の土曜日のスタンダードだ。何しろ日頃椅子に座りっぱなしなのだ。歩く時間、動き回る時間は貴重なのである。建物の外の更に庭の外に出てガチャンと扉を閉めたところで、忘れ物をしたことに気が付いて鞄の中を探ってみたところ、鍵を持って出なかったことに気が付いた。これは困った。困ったと思ったのはこういう理由だ。今朝相棒は早めに家を出たのだ。近所のバールの常連で、この近所に住んで居るシルヴァーノ老人と、今頃イモラの丘陵地帯へ車を走らせている筈だった。老人が長年通っているワイン農家にワインを買いに行くためだった。今年に入ってから数度にわたって老人からワインを頂戴しているが、其れが何とも素晴らしくて、保存料だのなんだのが使用されていないこのワインに相棒も私もぞっこんになってしまった。すると老人が、ちょうどワインを買いに行こうと思っていたとこだから一緒に来るかい?と誘ってくれたらしい。それで相棒は車を走らせる役を買って出て、今朝はいそいそと出掛けたと言う訳だった。相棒が家を出てからかれこれ2時間経っていたが、さてどうだろう、もしやこの近くに居るってことはあるまいか。一応訊いてみようと思って電話してみたら、老人は他の人と一緒にイモラへと車を走らせることにしたそうで、すぐ近くに居ることが分かった。老人は連日忙しい相棒を見ていたので、そういう根回しをしていたらしい。君の分も買ってくるから、安心していいよ、と言って、自ら車を運転して出発したそうだ。85歳なのに。大丈夫かなあ。そんなことを心配しているうちに、鍵を開けに相棒が家に戻ってきた。開口一番に相棒が言う。君らしくないな、鍵を持たずに出るなんて。全くその通りだと思った。生まれて初めて鍵を忘れたことに私自身驚いていた。昨日は職場に着いてから腕時計をしていないことに気が付いた。外に出掛ける時は決して忘れない腕時計を忘れるなんて。全く私らしくない。私は一体どうしてしまったのだろう。
旧市街の様子は秋が深まっていたが、思いがけず気温が上がってどの人も表情が明るかった。今日は冷たい風も吹かず、黄色く色づいた葉が光って美しかった。路地から路地を渡り歩いて、疲れたところで店に入った。ジェラート屋さんだ。VENCHIと言う名のその店には、一頃毎日のように通った。ジェラートの質の高さは勿論だけど、便利な場所にある上に、店にひとり感じの良い女の子がいるからだ。何時の頃からか、彼女は私が店の外を歩いていると中から手を振ってくれたり、ジェラートを注文すると山のように盛ってくれるようになった。今日も中に入ると彼女が大きな声で挨拶してくれた。秋冬しかない、栗のジェラートを注文しようとしたら、今年はまだ始まっていないと言う。シニョーラ、今年は11月からなんです。そう言いながら、私の注文のジェラートを盛ってくれた。ジェラートは山盛り。随分サービスしてくれたのね、と彼女に目で語り掛けた。言葉にしなかったのは店の中に他の客が居たからだ。剃ると彼女も目で返事を返してきた。勿論、シニョーラ! 混み始めた店内から抜け出すべく、彼女にご機嫌で手を振って外に出た。ジェラートを食べながら旧市街を歩く。母が見たら、なんて行儀の悪いこと! と窘めるに違いない。

夜中の間に夏時間が終わる。目が覚めたら冬時間の生活が待っている。一時間だけの違い。恒例のことながら、とても苦手だ。


人気ブログランキングへ 

コメント

こちらは、11月2日から冬時間になります。その前に、ハロウィンがあり、明日は、子供達の仮装大会が、ダウンタウンで行われます。
秋が、あっという間に深まり、街頭樹は黄金の色に染まっています。今年は、なんだか、紅葉を楽しむこともなく、時間に追われて過ごしている感じです。今、外は雨が降り続けていて、秋が終わり、長い、寒い、冬がやってくる気配を感じます。
感謝祭も、もうじきやってきます。

そうだ、私、最近、イタリア映画を4本見ました。『けがれなき悪戯』、『木靴の樹』、『天使の詩』、『フェラーラ物語』非常に懐かしい作品ばかりです。

お身体に、気おつけて、お過ごしください。

2015/10/25 (Sun) 02:45 | キャットラヴァー #mQop/nM. | URL | 編集
Re: タイトルなし

キャットラヴァーさん、こんにちは。そうなんですよね、アメリカとヨーロッパでは一瞬そのタイミングが違うのですよね。私がイタリアに住み始めた頃は、まだ、ハロウィンはあまり浸透していませんでしたが、10年程前からまるで昔からハロウィンの習慣があったかのようにイタリアに馴染んでいます。面白いですね。時代が変わったと言うことでしょうか。
冬時間になって暗くなるのが早くなりました。冬を迎える心の準備はあるものの、此れから長く暗く冷たい冬がやって来るのかと思うと、やはりため息が出てしまいます。
けがれなき悪戯、この映画は随分昔に見たのを覚えています。フェラーラ物語は・・・ネットで調べてみましたが、まだ観たことはありませんでした。うーん、なかなか辛い話ですね。

2015/10/25 (Sun) 17:24 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する