さて、楽しいことでも考えてみようか。

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一晩中雨が降って、朝になるととても冷え込んでいた。この様子では気温はあまり上がりそうにないとは思っていたが、昼過ぎになってもやっと15度という有様だ。数日前のあの暑さは姿を消してしまった。29度もあったなどと言っても、言葉が宙に浮いて消えてしまいそう。あれは本当のことだったのだろうか。それとも夢だったのだろうか、と。
頭痛がようやく収まりつつある。思うにこれは単なる疲れと、それから気圧の変化のせいに違いない。聞くところによれば、周囲にも同じような人が沢山存在しているようだから、大して心配する程の事でもないようだ。安心したところで、楽しいことでも考えようではないか。

数日前、驚くような暑い日になった夕方、旧市街に入って直ぐにバスを降りた。いつもならば旧市街の中心まで行ったところで降りて、別のバスに乗り換えて家に帰るのだけど。理由はジェラート。ジェラートはこんな暑い日でなくたって食べたくなるものだけど、ちょっとくさくさしていて、其の上30度近い暑さならば、ジェラートで気分を盛り上げるのが良い。いつもの店で冷えた白ワインを一杯、というのも悪くないけれど、くさくさした日にワインを頂くのは何かヤケ酒っぽくて良くないと思ったからだった。ワインは、もっと気分が明るい時に頂くのが好きだ。明るい気分が華やかになって、とても良い時間になるからだ。ボローニャには幾つものジェラート屋さんがあって、いい店が街中に点在しているのだけれど、最近Via San Vitaleの店に足繁く通っている。理由は沢山あるけれど、美味しいうえに店の感じがいいならば、足が向くのも当然というものだ。だから混んでいる。混んでいるのが嫌いな私だが、こればかりは仕方がない。ひとり客もいれば恋人同士もいるし、家族揃ってもいる。万人に愛されているということだろうか。いつもならば、そんな人たちに長く待たされるが、その日の私はとてもついていた。先客たちは既に注文したものを手に小さなテーブル席についていて、いつもの店の女の子が、店に入ってきた私を見つけて、チャオ! と言った。私と彼女がこんな風に挨拶を交わすようになったのは、多分2年前からだ。互いの名前も知らなければ単なる店の人と客の関係だけど互いに何か感じるものがあるのか、まるで友達のような口をきき合う。そうだ、それはあの冬の日からだ。この店の中に貼られていたチラシ。白黒写真で何か面白いことが書かれていた。すると彼女が話しかけてきた。ああ、シニョーラ、それはね・・・、と。興味を持って話を聞いているうちに、それが何処なのかようやく分かった私は、ああ、あの建物。車が頻繁にとおるから、おちおち歩いていられないけれど、あの道は好きでよく歩くのだと私は言った。建物はその道の左手にあって、一体何の建物なのだろうとずっと思っていたのだ。彼女はその建物によく行くらしく、それともその建物に関係しているのか、シニョーラ、行ってみたらどうでしょう、とても興味深いんです、と薦めてくれた。それで私は店を出ると其処に行ってみたのだけど、成程、味わいのある建物で、誰もが自由に入れるので様々な種類の人が出入りしていて、それを眺めているだけでも私の関心を酷く掻きたてた。数日後、店に行って彼女に感想を述べると、そうでしょう、そうでしょう! と彼女はとても喜んで、それから私達は友達みたいな口調で話をするようになったのだ。ところでこの店のジェラートはなかなかユニークだ。私が好きなのはかぼちゃのシナモン風味、それからヤギの乳とブルーベリー。カッフェもいいし、ヘーゼルナッツも濃厚でいい。時にはジェラートにカッフェを上から掛けたデザートも注文するけれど、兎に角どれを注文してもご機嫌なのだ。私は時々想像するのだ、彼女の名前を。彼女の外見から想像するに、カルラとかモニカとかクリスティーナとかではないだろう。そう、例えば、エリザベッタ、例えばベアトリーチェ、例えばフェデリカといったのが良く似合う。気軽に訊ねてみればいいだけなのだけど、それでは楽しみがなくなってしまうので、暫くこのまま想像し続けるのが良い。あまり親しくなり過ぎずに、彼女と親しく話をするのが丁度よいと私は思うから。店を出ると一組の男女。夫婦だろうか。夕日の中を自転車で行く。そんな5月の夕方。

楽しいことは自分次第で幾つでも見つけられる。楽しいことを楽しいと感じる心があるならば。そんな自分でありたいと思う。


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コメント

こんにちは、yspringmindさん。
一気に寒くなったのですね。
頭痛がおちつくことを祈ってます。
ジェラート、おいしそう。
ヤギの乳のが食べてみたい。
暑い日に食べるとしあわせですね。
そういう私も土曜日、久しぶりにサーティーワンアイスでマスカルポーネアイスにレモンソースが混ざったのを食べました。あまりマスカルポーネは分からなかったけど。

店員の女の子の名前を想像する楽しみは考えつかなかったです。
そうか、そんな楽しみがあったかー。
日本のように明子なら明るい子に育ってほしいなど意味があります。イタリアの人々の名前も意味を考えてつけられた名前もあるのですかね。聖人や昔の彫刻と同じ名前があって、へー、日本で言ったら、桃太郎や大仏(ちょっと違いますね)みたいな名前なのかなと思ったことが。
いまでこそ、日本ではレモンちゃんや祭ちゃんやはっぴちゃん、レオンなどおりまして、最初このような名前が流行り出した頃は、みんなえーっとびっくりしてましたが、いまでは慣れなのでしょうか、あまり騒がなくなり。意味のある名前が個人的には好きですね。
空想、想像やってみよう!子供心に戻った気分!なににも制約されず、心は自由という感じがしてきました。
ほんとに、いいことおしえてもらいました。






2015/05/17 (Sun) 15:34 | つばめ #- | URL | 編集

ジャラートでも白ワインでも自分の好きなものと好きな時間をしっかりわかってるyspringmindが羨ましいです。町歩きが功をなしているのでしょうか。私も来週からなんと一人旅を実行いたします!

2015/05/17 (Sun) 17:56 | inei-reisan #pNQOf01M | URL | 編集

yspringmindさん、体調落ち着いて良かったですね!
偶然です、私も16日夕方休憩の時さほど暑い日ではなかったのですが、甘~い物が無性に食べたくなりシュークリームと、ホワイトチョコがコーティング中はチョーコレートアイス更に生チョコ入りのアイスを頂きホット一息タイム。
一昨年フィレンツェで橋を渡り緑が沢山あるエリアの(笑)ジェラートを食べすっかりお気に入りとなりました。昨年もリピート同じお店に通い食後はモヒートのジェラートが何とも言えぬお味☆忘れられない美味しさ、その時の写真を眺めております。
かぼちゃにシナモン風味ジェラートにカッフェ興味深い美味しいでしょうね。
暖かい季節になると、外の空気を吸いたくなります。ランチお弁当もピクニックスタイルで夕方も外に出てアイスクリームいただきを日差しを沢山吸収しながら解放的に一人楽しんでおります。
いつも楽しみを増やし心豊かに過ごします。

2015/05/18 (Mon) 09:10 | すみれ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。返事が遅くなってごめんなさい。
一昨日の夕方から急に肌寒くなり、昼間でも15度にもなりません。先週は29度にも上がったのに。だから体調を崩す人が多いようです。私の頭痛もそのひとつでしょうか。治ったようで治らない。でも気にしないことにしました。そのうち治るでしょう。
人の名前とは不思議なものです。ちゃんとその人にい合うような名前が付けられているのですから。それを想像して言い当てるのが私の小さな楽しみのひとつで、しかしなかなか当たらないのが現実です。
イタリアに暮らすようになって、イタリアの名前をもてばよいのになどと言われますが、未だに自分らしい名前が見つかりません。多分、ずっと見つからないのだと思います。それでいいのですよ。

2015/05/22 (Fri) 22:27 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

inei-reisanさん、こんにちは。返事が遅くなってしまいました、ごめんなさい。いよいよ一人旅でしょうか。わくわくしますねえ。私もこの夏、短めの近場一人旅などをしてみようかと企んでいます。一人旅。これは本当に贅沢なことです。思い存分お楽しみくださいね。行ってらっしゃい。

2015/05/22 (Fri) 22:31 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

すみれさん、こんにちは。返事が遅くなってごめんなさい。
夕方にジェラート、本当に美味しいですね。小さなご褒美、みたいな存在で、こんな手軽にできるご褒美なんて嬉しいではないですか。
モヒートのジェラートですか。それはまだ頂いたことがありません。いや、お酒入りのジェラート自体を頂いたことが無いのですよ。ボローニャ辺りでは見かけませんが、本当は探せばあるのかもしれませんね。
これからの楽しみはジェラートだけではありません。スイカ屋さんで甘い甘いメロンを食べることも忘れてはいけません。ま、スイカ屋さんが開くまでにはまだ半月ほどありませけれど。イタリアではスイカをナイフで切り取って、切り取ったそれをナイフの先にさして口の中に入れるのですよ。変なの、と思っていたくせに、何時の頃からか自分もそんな風にして食べるようになりました。

2015/05/22 (Fri) 22:38 | yspringmind #- | URL | 編集

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