気分転換をしよう

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今日は母の日。遠く海の向こうに暮らす母を想う日。最近寝込んだらしい母だが、大きくなった娘のことが心配らしい。それくらい私は頼りない娘なのだろうかと思いながらも、そんな母を有難く思う。いつも誰かが思ってくれているのは嬉しいものだ。それが母娘というものだろうか。うちの猫は生まれて間もなく捨てられてしまった。彼女は親猫のことを覚えているのだろうか。親猫は捨てられてしまった子猫のことを覚えているものなのだろうか。そうだと良いなと思うけれど。私達に共通語があるならば、一度訊いてみたいものだ。

15年前の5月に、私はフィレンツェに通い始めた。勤め先は、その昔ローマで働いていた会社の関係で、私は産休に入る人の穴埋めだった。ボローニャで仕事を得られずに悶々としている私をみて、古い知人たちが手を貸してくれたのだと思う。時間ばかりあって、エネルギーばかりあって、家の中で発散しきれずにいた私には、これ以上嬉しい誘いは無かった。ボローニャからフィレンツェに通う。イタリアでは別の町に通うなんて、あまりありえない話である。ボローニャ人はボローニャで働く。それがスタンダードだった。日本のように、毎日電車に乗って別の町や県に行くなんてことは、イタリアではあまり聞かない話だった。だから私がその誘いに乗ったと知った周囲の人々は、何でまた、そんなことをしてまで、と半分あざ笑ったような感じだったと思う。でも、仕事が無いと言って文句を言いながら家でごろごろしているよりは断然健康的だと思ったし、何よりも私は人に頼らないで生活する経済力を持ちたかったから、そして相棒のではなく、自分の同僚、自分の知り合い、自分の友人を切に願っていたから、これで良いと自分の中で納得してのことだった。勿論、朝7時20分の電車に乗るために朝5時だか5時半だかに目を覚まさねばならなかったことは辛かったけれど、そして家に帰ってくれば20時を過ぎていて、自分の時間などないままに一日が過ぎてしまうのは残念だったけれど、しかしそれと引き換えに私は得たかったすべてを得たと思う。そして私が幸運だったのは、職場がアルノ川とウッフィツィ美術館のすぐ近くにあったことだ。駅から散策しながら通った。帰りはいつも急ぎ足だったけれども、しかし今日はこの道、明日はこの道とかえながら、様々なものを見て歩いた。昼の休憩には川沿いを歩いて、若しくはシニョーリア広場をそぞろ歩いて、それとも食事を簡単に済ませて路地を歩き回った。ボローニャとは違う色。ボローニャとは違う雰囲気を持つ町。そうして平日を過ごしたから、週末に歩くボローニャ旧市街が面白かった。店に置かれているものの趣味も違っていた。私はボローニャとフィレンツェの間を行き来しながら、双方を比べてみたり、双方の良いところを探り出してみたりした。そうして5年も経つと通勤がしんどくなってフィレンツェ通いを辞めた。今度は運よく次の誘いがすぐに来て、家で悶々とする必要はなかった。其れっきりだ、フィレンツェとは。最近、ちょっとフィレンツェが気になる。別にまたフィレンツェに通いたいというのではない。例えばアルノ川の向こう側の緑豊かな丘とか、美術館とか、教会とか。昔私が家で悶々としていた頃、幾度か電車に乗ってフィレンツェに日帰り旅行した。其れは例えば5月のような良い季節だったり、夏の暑さが引いた9月の終わりだったり。この町は一年中旅行者が絶えなくて、美術館はいつも混み合っていたけれど、橋を渡って丘へと歩き始めると途端に人が少なくなる。フィレンツェ人のイタリア語に耳を傾けながら、此処がボローニャでないことを実感したあの日。石畳ががたがたで足が酷く痛くなった。それもこれもすべて良い思い出。久しぶりにフィレンツェに行ってみよう。知り合いの誰に声を掛けておかなくても、多分誰か一人ぐらいと街で遭遇するだろう。いつもそうだったように。5月のフィレンツェ。うん、いいアイデアだ。良い気分転換になること間違えなしだ。ついでに美味しいものでも食べることにしよう。

穏やかな天気の日曜日。明日がもう月曜日だなんて悲しすぎる。それにしたって頭痛。もう3日も治らないのはどうしたことか。


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コメント

こんにちは、yspringmindさん。
写真の奥にある王宮のような建築が古い時代にいざなってくれるようで、映画のセットみたいにも見えます。でも、前に歩いている人たちは至って現代の人々。
母の日にお母さんから思われるのはとてもうれしいですね。
フィレンツェ。
いま、どんな風が吹いてるのでしょうね。気持ちよい水色のようなそよ風かな。どんな鳥が飛んで、どんな若葉が繁って、どんな雰囲気で、どんな人々がすれ違って。想像します。昔から人の往来があった街は今も人が集まって来るのでしょう?世界に影響を与え
のは過去のこととはいえ、まだその気風は残っているはず。芸術性がある街に暮らすって、どんな感じなのでしょうね。想像を楽しみます。

おいしいものがたべれますように。

2015/05/11 (Mon) 15:23 | つばめこんにちは、yspringmindさん。 #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。奥にある建物ですが、これは一応由緒ある建物とは言え、昔はそれなり身分の高い人が暮らしていたのだと思いますが、現在は地上階が店。上階には普通の人が住んで居ます。そしてその奥に見える丸い屋根は教会の屋根。この辺りは大変混み合っているのですよ。私はそんな情景が好きです。
フィレンツェは、そうですね、初夏に似た風が吹いているでしょうか。急に気温が上がって来たので丘へと続く坂道を上ると汗をかくことでしょう。日差しが強くなりました。その分、日陰が気持ちよくなりました。建物が落す影の色も濃く、ああ、そんな季節になったのだな、と思いながら散策するのは素敵でしょう。
ボローニャもそうですが、フィレンツェにも沢山美味しいものがあるんですよ。

2015/05/12 (Tue) 23:08 | yspringmind #- | URL | 編集
こんにちは、yspringmindさん(^0^)

私は一度もイタリアには行ったことが無いのに、
こうしてyspringmindさんのブログを訪れるようになってから、
ボローニャの街を時々、散歩しているような気分になります。
異国の地で生きる日本の方のブログを、けっこう読んでいるのだけれど、
こういう気持ちになるのはyspringmindさんのブログだけです。

母の日そして父の日、母の誕生日に父の誕生日と、4月から6月にかけて立て続けにあるので、
私はその父母の日をまとめて、「誕生日おめでとう」コールをしました。
なんだか、ちゃんと親孝行が出来ないのがすごく歯がゆいのですが。

2015/05/13 (Wed) 12:42 | Naomin #- | URL | 編集

こんにちは

お久しぶりです

やっとパソコンの前にやってきました

ばたばたとした日々で ゆっくりとコメントができず・・・
母の日の二日後でしたか  
母の日の贈り物だと言って ケーキをお土産に持って帰宅してきた長女
同じ家に居ながらも 顔を合わすことなく過ごしていて
母の日が二日遅れで我が家にもやってきました


頭痛ですか・・・
私も二日間そんな感じでした
気圧のせいでしょうか?
お互い無理なく過ごしましょう~

2015/05/14 (Thu) 07:31 | 春風 #jgTtIlIo | URL | 編集

今日はドイツが休みで、やっとゆっくり読んでいます。私も母の日に母を思いました。思うだけで、それはいいのだと思います。それにしてもフィレンツェの話、すごく共感します。私もここでしごとがなくて鬱々とした日々があったから。特に初めてのパリはひどかった。結局金がなく一回帰りましたが。 また遊びにきますね。

2015/05/14 (Thu) 07:51 | inrei-reisan #pNQOf01M | URL | 編集
頭痛早く治りますように!

初めてお便りします。
2年前のボローニャに訪れ以来、Blogで紹介してくださる街並みは、とても懐かしく感じながら、丁寧な内容と共にいつも癒されております。フィレンツェから日帰りで行き帰りの電車が大幅に遅延しドキドキしたのを思い出しました。長く働いていると環境の変化を求めたくなります。イタリアに住みたい!夢を叶えるよう行動しなければと悩む日々です。


2015/05/14 (Thu) 16:11 | すみれ #XO1QcXfI | URL | 編集
Re: こんにちは、yspringmindさん(^0^)

Naominさん、こんにちは。一緒にボローニャを散策。まだ見たことのないイタリアを、ボローニャを散策している気分になって貰えることを、嬉しく思いました。
今年は母の日と母の誕生日が同じ日にあたりました。昔からこのふたつの日が近すぎて、子供だった私は混乱していました。大人になってようやく区別がつくようになりましたが、いつも遠くからのお祝いばかりです。元気にしているうちに親孝行しておかなくては。と思いながら親不孝な娘です。

2015/05/14 (Thu) 21:44 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

春風さん、こんにちは。忙しくされているようですね。忙しく出来るのは元気な証拠。でも程々にお願いします。
お嬢さんがお祝いしてくれたそうで、嬉しいですね。2日遅れというところは、案外お嬢さんのテレからくるものなのかもしれませんよ。ほら、私達にもそんな時代があったように。
頭痛は結局5日間続きました。多分季節の変わり目、気圧のせいだと思います。でも、これをアラームだと考えて、スローダウンすることにしました。ゆっくりいきましょう。

2015/05/14 (Thu) 21:50 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

inrei-reisanさん、こんにちは。今日はドイツの祝日でしたか。こんないい季節に祝日とは、全く気が利いていますね。
私は時に好きな仕事をしている訳ではないのですが、経済的自立が好きな人間なので、仕事があること、仕事をする元気があることを深く感謝しているのです。勿論それだけが人生ではない。勿論そうです。でも、私にとってはとても大切なこと。共感していただいたそうで、嬉しく思いました。

2015/05/14 (Thu) 21:55 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: 頭痛早く治りますように!

すみれさん、はじめまして。2年前にボローニャに来られたのですね。あの頃と変わっているのは、塔の前から延びる大通りが工事中であることくらいでしょうか。それ以外は其のまま。ボローニャが大きく変わることはキレから先もないでしょう。
イタリアの電車は遅れるのが当たり前。定刻通りだったらむしろ奇妙な感じがします。日本ではありえないことですけれど。私がフィレンツェに通っていた頃は、30分遅れ、1時間遅れが頻繁にあって、まあ、それはまあ大変でした。
これからもお付合いお願いします。

2015/05/14 (Thu) 22:01 | yspringmind #- | URL | 編集

yspringmidさん、ご体調いかがですか?
フィレンツェに5年通われてたんですね。
お疲れさまでした。車窓からの長閑な風景は穏やかな気分にさせてくれたのではないですか。羨ましいです。
今日は休みで一気に夏のように暑くなりましたが、ゆっくり過ごし心もリフレッシュ。
休暇を利用しイタリア旅行に行くのが、何より一番の楽しみです。
ここ数年は6月にお邪魔してたのですが、今年は秋に訪れる予定~夏が終わりその後もう少し(ふぅ~~)
これからよろしくお願いします。

2015/05/15 (Fri) 13:25 | すみれ #GYxcADzc | URL | 編集
Re: タイトルなし

すみれさん、こんにちは。結局一週間頭痛を引きずりました。疲れているのと、それからこのところの急激な気圧の変化のせいかもしれません。そのうち頭痛だったことすら忘れる日が来るでしょう。
フィレンツェに通っていた5年間。始めの数か月は、車窓からの眺めを毎朝夕堪能しました。何しろ緑豊かだし、空がきれいに晴れ渡っていたし。だから道中で電車が止まって30分も動かなくなっても、それも案外楽しく過ごすことが出来ました。ボローニャのあるエミリア・ロマーニャ州とトルカーナ州は隣りあわせなのに、何か絶対的な何かが違うと感じます。同じ緑も違うトーンに見えるのは何故でしょうか。
今年は夏が過ぎてからイタリアに来られるとのこと。楽しみですね。人々が街に戻ってきて落ち着いたところに来るのは、良いアイデアですね。夏の眩しさも魅力的ですが、肌のほてりが引いた頃の季節も素敵ですからね。

2015/05/16 (Sat) 13:26 | yspringmind #- | URL | 編集

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