不揃いの苺

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復活祭の翌日の月曜日は祝日。これを何と説明すればよいのか、長年考えているが、やはり復活祭の翌日の月曜日、と呼ぶしかないようだ。兎に角、その月曜日は今年に限っては素晴らしい晴天になって、私を含めて、誰もが大喜びなのである。例えば遠くから家族が来ているならば、ボローニャ旧市街を皆で散歩することが出来るし、例えば郊外の丘などにハイキングやピクニックを楽しむことが出来るし。私はと言えば、此れと言った楽しいことは無いわけだけど、しかし晴天であれば気分が軽く、そして目覚めも良いのである。週に3日間の休みはとても体に優しい。そればかりでなく、考える余裕も得られるし、本を読む時間も得られる。週休3日制なんてうまい話が転がっていたら、すぐにでも飛びつきたいものである。

相棒が苺を買って家に帰って来た。まだ、スペイン産が主流だった3月は苺を買うのを控えていたが、最近になってようやく国産が出回り始めた。私は野菜でも果物でも国産が好きだ。さらに言えば、国産の中でも地元で収穫されたものが一番いい。しかし其れに拘っていたら、手に入らぬものが多すぎるというものだ。大きさや形には拘らない。匂いが良いもの、ひと目で見て美味しそうなものなら、不揃いだって、不格好だってよいと思う。
数年前、苺を山ほど買った、ボローニャ郊外の農家から。甘い匂いだったけど、見かけが悪いから売れないと言っていた。面白い。此処は日本ではないのに。日本でならばわかる話だが、ボローニャでこんな話を聞こうとは夢にも思っていなかった。自然に育てられた苺だもの、少しぐらい不恰好なのは当たり前のような気がした。私がボローニャに暮らし始めた頃、人々はそんな見かけで苺を買うことなどなかったのに。いい匂い。その一番いい匂いがする箱を店の人に指さして、これを頂戴、と頼んでいたものだけど。それとも、店の人に甘い匂いのするのを選んでね、と頼んだり。どの客も粒の揃った良い色のを、とは言わなかったのに。山ほど苺を買ったのは、そんなことを気にせずにいい匂いだと言ってふた箱求めた私と相棒に、売主が気をよくしてふた箱おまけしてくれたからだ。こんなに食べられない、なんてことは無い。少しは綺麗に洗って角が立つほど泡立てた生クリームと頂いて、少しは苺を縦に四つ切にして、器に一杯になったところでたっぷりの砂糖、そしてその上から檸檬をふたつ分絞って冷蔵庫で冷やすのだ。同じ苺でもこんなに違う味わいだから、飽きることなどある筈が無い。そして残りは綺麗に洗って四つ切にしたものを冷凍庫で保存するのだ。此れが夏場に大活躍する。暑くて食欲のない夏の午後に、凍った苺と牛乳、砂糖をミキサーに掛けたら、とっても美味しいのが出来るのだから。それとも冷凍しておいた苺とレモンジュースと砂糖を煮込んで、苦めに焼いたチョコレートケーキの上に乗せるのもいい。うちでは苺があるだけで、食卓がとても華やかになる。そしてこんな風だから、形や見かけがどんなだって、かまわないと言う訳だ。甘くて美味しい。此れが一番大切。

そうして思うのは、人間の世界でも見かけで人を判断してはいけないということだ。外側からは分からない素晴らしいものが中に詰まっていることだってあるのだから。反対に、素晴らしい人に見えるけれど、実は見せかけと言うこともある。見かけに惑わされない人間になる。言うのは簡単だけれど、少なくとも私には沢山の時間が必要なようだ。


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コメント

あゝ其のいちごの食べ方はものすごく美味しそう!
復活祭の祝日を利用して数日地中海沿いの港町に行っておりました。私も今年はじめての国産苺を買いましたよ。旅先なので少しだけ。庭に出したテーブルでいただくお昼ごはんのデザートにしました。
今朝のマルシェでは、もう時期外れかと半ば諦めていたシチリア産の柑橘類が出ていて嬉しくなってそれこそ不揃いなオレンジ、レモン、ミカンにベルガモットを袋にいっぱい求めました。太陽の味がしますもの。
良い季節になってきましたね。

2015/04/08 (Wed) 22:41 | kimilon #036/uE16 | URL | 編集
Re: タイトルなし

kimilonさん、こんにちは。復活祭の休暇は地中海沿いの港町に行っていたんですって? いいですねえ。暖かい日差しが溢れていて、リラックスできたのではないでしょうか。庭でも昼食。冬にはできない事のひとつですね。そういう小さなひとつひとつで季節を感じるのは楽しいですね。
イタリアでもオレンジはもうそろそろお終い。勿論、八百屋さんへ行けばあるけれど、ピークは過ぎたようですよ。私はそんな中から、熟れて甘ーいのを選んでね、などと注文して袋一杯に詰めて貰うのです。見かけなんてかまいません。兎に角中身で勝負なのですよ。

2015/04/09 (Thu) 21:19 | yspringmind #- | URL | 編集

こんにちは、yspringmindさん。
イチゴに、そんなにもたくさん食べ方の楽しみが在るのですね。

形で判断するかしないかで、見方も大分ちがいますね。ボローニャはそうではないのですね。

2015/04/11 (Sat) 01:46 | つばめ #- | URL | 編集
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2015/04/11 (Sat) 15:49 | # | | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。子供の頃は苺と言ったら潰して牛乳と砂糖がスタンダードで、牛乳と砂糖の代わりに練乳をかけるということくらいしか思いつきませんでした。でも、どんな果物も色んな食べ方があるということを大人になってから知りました。贈答用の果物の箱詰めには関心が無くなってしまいました。

2015/04/11 (Sat) 21:09 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

鍵コメさん、こんにちは。国産は何より新鮮だし、それに自国の基準の上で育てられているのはとても安心です。私は不揃いであると、安心するのです。つまり自然な形で育てられたのだろう、と。
確かに、果物は生が一番美味しいです。でも、色んな方法で手を加えることによって、市販の菓子よりもずっと美味しい菓子になるのだと思います。しかも安全。酸味の強いりんごと胡桃をソテー。そんなことを考えたことはありませんでした。今度、作ってみます。
それで鍵コメさんが春はあさりとはまぐりが美味しいと言うので、急に食べたくなりました。特にはまぐり。あさりはすぐに手に入るけれど、はまぐりはどうかしら。

2015/04/11 (Sat) 21:20 | yspringmind #- | URL | 編集
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2015/04/12 (Sun) 10:15 | # | | 編集
Re: タイトルなし

鍵コメさん、こんにちは。そうなんですよ、私は昔から火が通った林檎が大好きなのです。オーブンで焼いたリンゴ、フライパンで焼いたリンゴ、煮たリンゴも。素適なレシピを有難うございます。レーズンは何となく想像がつくのですが、胡桃を加えた時の味が想像できずにいます。さっそく週末に作ってみようと思います。私は思うのですが焼きりんごと生クリームは、意外なほど合いますね!

2015/04/14 (Tue) 19:36 | yspringmind #- | URL | 編集

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