きりきりと刺す空気

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数日寒い日が続いている。勿論、1月なのだから当然といえば当然。しかし朝晩の、キリキリと肌を刺すような空気は、やはり特筆しておきたいような寒さなのである。嬉しいのは、少し体調を持ち直したこと。寒いうえに不調ではやり切れぬ。だから一日も早く元気になりたいと願っていた。そんな私が好んで摂っているのが搾りたてのオレンジジュース。シチリア産の、飛び切り甘い奴を選んでね、と言葉を添えて買ってきたオレンジ。毎日、相棒と3個づつ絞っているのであっという間に無くなってしまう。そうしては青果店に出向いて袋一杯買ってくる。ビタミン剤を利用するのも手だけれど、やはりオレンジに勝るビタミンは無い、と言うのが私の考えである。

昨日、フランス屋に立ち寄った。理由は気に入りのチーズを買うためだった。いつものあのチーズ、と言うだけで分かって貰えるようになったほどになった。私が何故、いつものあのチーズ、と言うか。別に気取っている訳でもなければ常連ぶっている訳でもない。そもそも私は月に2,3回しか立ち寄らないのだから常連とは呼び難い。それにこんなことで気取ってどうするのだ。気取るならば、もっと別の場所で別の形で気取るのが良い。では何故なのかと言えば、何度聞いても複雑なフランス名を発音できないだけではなく記憶できないからである。それで諦めていつものあのチーズと呼んでいるうちに、店の人も、ああ、あれね、と分かってくれるようになったのだ。それにしても店は酷く空いていて、私以外に客が居なかった。外は酷く寒いし、其れではワインの一杯でも、と言うことになり、店主が薦める特別のワインを頂いた。ボルドー地方の赤ワイン。ラベルを見たら2007年だった。一本購入するにはちょっと手が出ないけれど、こんな風にグラスに一杯だけならば、私のような者でも気軽に楽しむことが出来るというものだ。最後の一本だったらしい。私のグラスに最後の一滴まで注いでくれた。それにしても奥さんは最近見掛けないけれど元気なのかと訊けば、仕事で忙しいらしく、店に来ないことが多いそうである、最近は。夏ごろ良く店に来ていた彼の二番目の娘は、おばあちゃんの家に行くことが多くなったらしく、もう何か月も見ていない。次に見掛ける時は、きっと成長していて私を驚かせるだろう。まだ一度だって会ったことのない彼の最初の娘は、もう20歳くらいで、最近日本語の勉強に夢中らしい。その影響なのか、店主も日本のことを知りたくてならない。古くから残る日本の美は何処で見ることが出来るのかとか、四季があるのかとか、関心は尽きない。私がこの夏帰省すると述べると目を輝かせたが(きっと便乗して一緒に日本へ行ってみようかなどと考えたのだけど)、夏の、しかも8月はカンカン照りのみならず蒸し暑い、と知ると直ちに気持ちが萎えたらしい。初めて日本へ行く人には飛び切り美しい時期に行ってもらいたい。だから春か秋を目指すようにと言っておいたがどうだろう。例えば5月。例えば10月。私が好きな月たち。それにしたってなぜ日本語を学ぶようになったのだろう、彼の娘は。日本語はイタリア人たちにとってミステリアスな言葉なのだろうか。それとも美しい響きを持つ言葉なのだろうか。私がフランス語に憧れを抱くのと似ているのかもしれない。

帰りのバスの中で近所のバールで働いている青年に声を掛けられた。此れから店に行くのだと言った。それに続けて月曜日は誕生日だったのだと嬉しそうに言った。そして思い出し笑いをしながら言った。呼び鈴が鳴ったからドアを開けたら、お父さんと兄さんが立っていたこと。シチリアから誕生日を一緒に祝うために来てくれたこと。でもサプライズだったから、何の準備もなくてひとつのベッドを3人で分け合って眠らねばならなかったこと。それでいて彼はとても嬉しそうだった。それであなた、幾つになったの? と訊けば25歳。若いわねえ、毎日が楽しくて仕方がないでしょうとからかったら、うん、楽しくてどうしようもないよと笑った。そんな若さと元気と素直に喜ぶ彼が、とても眩しく見えた。私にもそんな時期があったのだと思ったら、居ても立っても居られなくなった。と言っても昔に戻れるでもなし。私は今を満喫することを覚えることにしよう。


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コメント

yspringmindさん、こんにちは

御身体、回復され何よりです

やはり、体調が悪いと

何をするにも、大変ですから^^;


そちらも、真冬気候ですね

京都も、最近、春の様な暖かさでしたが

昨日より、真冬に逆戻り

ひえええ><

2015/01/29 (Thu) 05:09 | 高兄 #eP1cGWnA | URL | 編集

yspringmindさん 寒いですね。ここ数日 リヨンは寒い上に湿っぽくてどうにもいけません。 さむくても 太陽が出ていると全然ちがうのですけれど。
25さい 遠いかなたです。そんな日 自分にもあったのですよね。毎日が楽しくてしょうがないなんて。でも いまの自分 今日このときを満喫すること。私もおぼえなくっちゃ。。

2015/01/29 (Thu) 09:04 | kimilon #036/uE16 | URL | 編集
Re: タイトルなし

高兄さん、こんにちは。やはり元気が一番ですね。ボローニャもさることながら京都は冷え込んでいる事でしょう。1月が終わろうとしていますが、冬はまだまだ続きそうですね。

2015/01/29 (Thu) 22:18 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

kimilonさんbん、こんにちは。ボローニャは太陽が出ていて気分がよくも、外のなんと寒いこと。昼間も4,5度で風など吹こうものなら頭のてっぺんからつま先まで凍り付いてしまいそうです。
青年の話を聞きながら自分の25歳の頃のことを思い出しました。特別なものは何ひとつ持ち合わせていなかったのに、楽しくて幸せだった、あれはどういうことなのでしょうね。今を楽しむこと。これは簡単そうで難しく、しかし実はとても簡単なことなのかもしれませんね。

2015/01/29 (Thu) 22:24 | yspringmind #- | URL | 編集

こんにちは、yspringmindさん。
シチリアの男の子のうれしそうなこと!!親子で祝えて、ベッドも3人で分け合うなんて!!なんて、率直で、なんてうれしい誕生日!
食べ物、プレゼントなんていりませんね。
こんな話が聞けるだけで、yspringmindさんに会えてよかったなー。日本のニュースを見てるとおかしなことも多いのでね。もっと、普通の話をニュースで取り上げてほしい。特記した変なニュースは隠すのはよくないけど、あんまりにもひどいのは一般人もついていけないし。だから、シチリアの青年の話は、どんなにかホッとしたのです。ふつうの話として。
もっと、日本においてもこのようなはなしが聞けますように!

2015/01/30 (Fri) 16:09 | つばめこんにちは、yspringmindさん。 シチリアの男の子のはなし、とっても幸せな誕生日!! ベッドを3人でわけあって、 #- | URL | 編集

こんにちは、yspringmindさん。
はっはー、少々酔っぱらいましたー。ワインにて。
地元に帰りたーい。
いい大人になって、こんなに酔っぱらうのははじめてです。
もう、なんでもいいや。なんでもいいのです。もしも、今度会えたら飲み会ですー。いい歳してはめを外しました。まあいいや。失礼。

2015/01/31 (Sat) 17:04 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。このシチリアの青年は、今どきの若い子にしては珍しくピュアで大好きです。いつも遠くの方から小さな私が歩いているのを見つけては、大きな声で名前を呼んで手を振ってくれます。相棒曰く、この青年は今どき珍しいタイプらしく、相棒の仕事(アンティーク家具の修復)の仕事を教えて引き継いでもらいたいなどと考えているようですよ。うん、確かに。この青年なら継ぐことができるかもしれない、と私も思いました。ただねえ、この青年は、夏場に無数のトンボの絵が描かれたTシャツを着ていたことがあって、虫が嫌いな私としては、この青年のセンスはいまいちかなあ、と。ははは。

2015/01/31 (Sat) 19:25 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさんてば、酔っ払いですね。たまにはいいでしょう。
私、一度ワインで寄って翌日から3日ほど体調が最悪になったことがあるので、ワインは2杯までと決めています。なので酔っぱらうまで行かないんですよ。たまには酔ってはしゃぐのはいいと思いながらつばめさんてば、羨ましい。

2015/01/31 (Sat) 19:28 | yspringmind #- | URL | 編集

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