猫と私と楽しい時間

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夕方が長くなった。ほんの少しだけれど。毎日一分づつぐらい、日没が遅くなっていくらしい。壁に掛けられた新しいカレンダーによれば、1月20日にもなれば日没が17時以降になるらしい。このカレンダーは優れもので、日昇時間と日没時間のほかに満月情報、そして毎日の聖人の名前が記されている。モダンで洒落たデザインのカレンダーが沢山あるなか、私はわざわざこんな昔ながらのものを選んで使う。と、カレンダーを眺めながら思い出した。私がボローニャに暮らし始めた頃、相棒の両親の家の壁に掛けられたカレンダーがこんな風だった。若かった私はそれを見て、なんて古臭いデザインのカレンダーなんだろう、イタリアにこんなものしかないのだろうか、と思ったものだ。カレンダーをぼんやり眺めている私を見て舅が背後から声を掛けた。このカレンダーはいいんだぞ。ほら、満月の日が記されているだろう。それに聖人の名前だって。と言って棚の下の方からごそごそと他のカレンダーを引っ張り出して見せた。他にもいろいろあるんだけど、これが一番いいんだ。昔ながらのがやっぱりいい。あの頃の私は若過ぎたのか、そうかしら、なんて生意気な返事をしたけれど、今は舅と同じカレンダーを好んでいる。しかもわざわざ其れを探してまでして。舅が生きていたら、ほうら見ろ、やっぱりこのカレンダーが一番いいだろう、と得意げに、勝ち誇ったように言うだろう。

それで今夜は満月なのだ。日没頃に見た藍色の空に見えた黄色く光る満月。近所の家の屋根の上に見えた満月を指さして、猫に話しかける。ほら、あれが満月。こんなに黄色く光る満月は暫く見ていないから貴重なの。猫がそれを理解したかどうかは疑問だが、少なくとも満月を気に入ったらしい。丸い緑色の瞳を更に丸くして、遠くの満月をじっと見つめていた。光るものが好きなのかもしれない。
今日はたっぷり猫を可愛がった。何故なら昨晩猫はとても寂しかったからだ。19時前に相棒と家を出た。ボローニャ県とフェッラーラ県の境辺りにある町に暮らす友人夫婦のところへ行くために。近所に暮らす他の夫婦と一緒に一台の車で出掛けたと言う訳だ。友人夫婦の間に生まれた子供が一切の誕生日を迎えたので、彼らの家族に交じって一緒に祝おうという算段だった。一体何人集まったのか、30人近くいたのではないだろうか。子供の誕生日を理由に皆が集まって楽しんだといっても間違えではなかっただろう。楽しい夕べで話が弾み、家に戻って来たら零時を過ぎていた。てっきり猫はさっさと眠りに就いていると思っていたのだが、帰って来たらいつもの場所に居ない。探してみたらキッチンの、私の椅子の上に体を丸めて待っていた。その様子は猫がうちに来た初めの数日の様子によく似ていて、何か不安を感じているような、何か悲しいような、そんな感じだった。猫ちゃん。待っていたなんて。そう言って抱き上げると悲しそうな目でさらに体を丸めるのだった。可愛そうに。一度置き去りにされた猫は、過去の記憶が消えないのか。私達がもう戻ってこないのではないかと心配したのではないだろうか。相棒がソファの上に寝転がると猫は相棒に寄り添って体を横たえた。猫にだって心がある。子猫のうちは沢山かまってあげなくてはいけないと思った。すっかり安心するまで、過去の記憶がすっかり消えるくらいに。そのうち、放っておいてよ、ふん、なんて思うくらい、私たちとこの家に慣れてくれればいいと思う。

それにしたって冬の休暇が残りたったの2日となって、時間が経つのは早いものだと驚いている。つい最近クリスマスだったのに、つい昨日新しい年を迎えたような気がするのに。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう、と言うことなのか。


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コメント

biciclettaの写真、さりげなくて実によいです。

若い頃は全く理解できなかったのに、年を重ねるとわかることが沢山増えてきて、最近そんな事ばかりなので楽しいです。
私は2015年のカレンダーは世界の山々のカレンダーにしました。山が大好きなので。

以前私も猫を飼っていたのですが、その猫との関係、思い出があまりにも深すぎて、もう猫は飼えないだろうと思っていましたが、長い年月を経て、ようやく新たな出会いを求めてもよいのではないかという気持ちが芽生え始めました。けれどもやはり、猫ではなく犬なんです。思い出は尊いです。

猫はyspringmindさんの言葉をすべて理解していると思いますよ。猫と心が通じ合う、そんな穏やかな幸福な時間をお過ごしください。

2015/01/05 (Mon) 13:30 | アルプス #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

アルプスさん、こんにちは。私も同感です。若い頃は理解できなかったのに、年を重ねて少しづつ分かることが増えてきました。此れも年を重ねて見なければ分らなかったことですね。年をとることは未だに受け入れにくいのですが、今でも若いままでいたいと思ったり、心の年齢と外側の年齢のギャップで葛藤したりもするのですが、少しづつ分かることが増えていくことをとても喜んでいるのです。山のカレンダーですか。それは素敵ですね。私のカレンダーには写真もイラストも全くない、必要的カレンダーで洒落っ気ゼロ。
猫を可愛がると言いながら、今日は猫と喧嘩をしました。猫と喧嘩・・・よく考えたら大人げないですね、わたし。ははは。

2015/01/06 (Tue) 17:24 | yspringmind #- | URL | 編集

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