凍える土曜日

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2日間の祝日の後は土曜日。明日は日曜日なので、今日は貴重な一日。何が貴重かといえば、店が普通に開いていることが貴重なのだ。昔に比べたら俄然店を開ける日、時間が多くなったにしても、しかし祝日と日曜日は昔通りと思うとよい。まあこれはイタリアに限ったことではない。ヨーロッパの多くの国がこんな感じなのだから、そう思えば別に苦痛でも何でもない。ただ、兎に角、食料品や薬などを買いそびれると困ることになる。そう言う訳で貴重な一日と呼ばせて貰おう。

今日は朝からさっさと起きてボローニャ旧市街に出掛けた。酷く寒いからしっかり着込んで出掛けるようにと相棒が言っていたが、着込んでいてもまだまだ寒く感じる朝だった。俄かに風が吹いていた。ボローニャの冬は寒いけれど、風が吹くことはあまりない。少なくとも私はそう記憶している。兎に角その風が凍るように冷たく、すれ違う人々の装いもまるで北国のようだった。いや、私はまだ北国の冬を経験したことが無いから、こんなものではないのかもしれない。ただ、ボローニャにしてはやけに厚着で、北国のようと表現するのがぴったりくる。
冬のセールはまだ公には始まっていないけれど、多くの店では秘密で割引を繰り広げている。其れを何故知っているかといえば、私が電話番号を残している数軒の店から、誘惑のメッセージが届いているからだ。一般のお客さんよりも先駆けて割引しますよ、と言った感じの。私はどの店の常連でもない。なのに電話番号を店に残してあるのは、実に単純な理由なのだ。丈詰めである。例えばパンツ類の長さ調整、コートの丈や袖の長さの調整。私が衣服を購入するときは、必ずこの作業がついて回る。そうして仕上がると店から電話を貰って、引き取りに行くと言った具合なのだ。電話番号を残すメリットがこんなところに現れるとは。常連客に交じって恩恵を受けることが出来るのだから案外悪くない。一着購入するのに常にエクストラの費用が掛かっているにしても。それで、そのうちの一軒に立ち寄ってみた。常連さんと思われる客が幾人もいた。店の中をぐるりと見せて貰って外に出た。有難いことに私の心を刺激するものはひとつもなかった。相棒にそう言ったら、きっと喜ぶことだろう。次の店に入るのは止めにして暫く辺りを散歩した。しかしそれも長く続かなかったのは、どうにも寒くていられなかったからだ。まるで雪の日の寒さ。不本意ながら帰りのバスに飛び乗った。寒い寒い。私はそんなことを幾度も小声で言いながら、停留所から家までの道のりを歩いた。

早い夕方に、強い、冷たい雨が降った。雨の中、いつものバールに行った。知人とカップチーノを楽しむために。そうして店を出る頃には、あの冷たい雨はすっかり雪に変わっていて、私を酷く驚かせた。雪が降るなんて。ああ、雪が降るなんて。山にスキーに行くと言っていた知人は喜んでいるだろう。街に残った私には、雪は決して嬉しくないけれど。

ああ、雪が降るなんて。


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