空気が冷たい日は空が青い

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数日前から冷たい風が吹き始めた。もう、南からの暖かい風は何処を探してもなく、乾燥した、首元を脅かすような北風が我が物顔して吹いている。10月にしては温暖だったのだ、だからすっかり忘れていたけれど、もうそんな北風が吹いても少しも可笑しくなかったのだ。二晩ほど強い風が吹き荒れたから、街路樹の葉が随分と落ちてしまった。落ち葉が風に吹かれると、かさかさ、かさかさ、と音を立てる。そんな音に耳を傾けながら、じきに秋が終わるのを感じるのだ。
季節の変わり目は気をつけなくてはいけない。と、いつも遠くに暮らす母に言い聞かしているくせに、自分が体調を崩してしまった。いや、なに。単なる熱と頭痛だけれど、それも3日も続くようなら少々うんざりするもので、最後は仕事を早々に切り上げて家に帰えるなり泥のように眠った。こんなに眠ったのは久しぶりだった。相棒が、よくもそんなに眠れるな、と感心したほどだ。眠り。それは私にとっては最良の薬。どんな薬を服用するより、これが一番効き目がある。私はそんな風に教えられて育った。同じように教えられて育った姉もまた、今でもそうだと信じていることだろう。

土曜日。朝から冷たい風が吹いて、昼間と言うのに12度しかない。素肌にセーターを着て丈の短い薄手のトレンチコートを羽織って家を出た。来週の土曜日は祝日で何処も彼処も休みになるに違いないから、今日のうちに旧市街を楽しんでおこうと思ったのだ。停留所でバスを待つ人達の装いが、昨日までと随分違う。一様に身を包んで、冷たい風に負けまいとしているかのようだった。自分なりに厚着と自負していた私だったが、人々は季節の一歩先を歩いているようだ。薄着の人達はロシア辺りから来た人達。このくらいの寒さは何でもないわと言うかのように。そういえば、彼らは4月になると早々に半袖になっていたっけ。イタリアの春は彼らにしてみれば夏のようなものらしい。少し前までショーウィンドウの暖かいコートやブーツが季節はずれに感じていたが、今日はそれらが丁度よく見える。寒くなった証拠である。イタリアのモーダを観察するのが好きだ。色んな発想、感性、色合い、肌触り。そのどれにも刺激を感じる。そして何時かの流行が戻ってくるのを確認しては、ああ、母のクローゼットにこんなものがあった、などと思うのだ。モーダを観察するのが好きなくせに、自分がモーダを追うことは無い。私は私。私らしくいられることが大切なのだから。だから気に入りの店のショーウィンドウを眺めて美しいと思っても、素通りすることは容易である。私にとっては観察することは一種の趣味みたいなもの。しかし、靴だけには酷く弱い。だから好みのものに出会ってしまった時には、ショーウィンドウの前から離れるのが大変なのだ。靴は美しいだけではいけない。履き心地の良さ、歩きやすさも重要だ。うっかり店に入って試したりして、自分の足にぴったりくると、それはもう離れがたい、拒みがたい存在となるのだ。

空気が冷たい日は空が青い。いつか誰かが言っていたけれど本当にそうだと思った。夜中のうちに夏時間が終わる。明日目を覚ましたら、空が早くも明るいことだろう。その代わりに夕方暗くなるのが早くなる。秋が早々に引き揚げて、冬がやってきそうな予感がする。


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コメント

こんにちは。心地よい風景ですね。人々は寒くても楽し気に見えます。大きな木ですね。
モーダって言うのですね。いい刺激を与えられて見るのが好き、だからといって買ったりするわけでもなく自分らしくというのは、よくわかります。イタリアの美意識、靴にも表れていますか。

2014/10/26 (Sun) 15:42 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。この広場は中央郵便局前に在るのですが、数年前綺麗になって素敵な場所に変身しました。老若男女、色んな人が寛いでいます。
私が思うに靴こそイタリアの美意識でしょう。靴に注ぐ関心はすごいもので、人の視線はまず靴に行くように思われます。モーダを気にしない人達だって、靴はピカピカに磨き上げます。それがイタリア人の美意識でしょうか。

2014/10/26 (Sun) 22:05 | yspringmind #- | URL | 編集

こんばんは。中央郵便局の前はすっきりきれいになりましたね。
Giardini di Piazza Minghetti
Giardini、その名前のとおり、ここはちょっとしたGiardiniのようで、静かな落ち着いた雰囲気がありますね。
東京も冷たい風が吹いています。今は冷たい風が心地よいです。

2014/10/27 (Mon) 17:19 | アルプス #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

アルプスさん、こんにちは。以前の中央郵便局の前ときたら、ちょっと不審な人たちが潜んでいるといった印象でしたね。それがすっかり明るい印象になって、今は市民が気持ちよく楽しめるようになりました。
ボローニャは急激に寒くなって、朝晩は5度くらいまで下がります。もう暖房なしではいられない、そんな季節になったんですねえ。

2014/10/28 (Tue) 18:51 | yspringmind #- | URL | 編集

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